Ange☆Reve[ライブレポート]初の全国ツアーで“天使”と“堕天使”の二面性をパフォーマンス「この5人のAnge☆Reveでいろんな景色を見ていきたい」
Pop'n'Roll 編集部
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Ange☆Reveが、結成6年にして初の全国ツアーの千秋楽を飾るライブを11月28日(土)に日本橋三井ホールで開催した。当初、今年5月に開催予定のライブであったが、コロナ感染症の影響で半年遅れての実施。動員は通常定員の約50%以下に制限し、感染拡大防止を目的に厳重な入場体制を取るとともに、配信での生中継も同時に行なった。本記事では、同公演のオフィシャルレポートをお届けする。
<Ange☆Reve First Tour 2020>日本橋三井ホール(2020年11月28日)
取材・文:前田俊之
撮影:林晋介
“ファイナル楽しんでいくよー! あんじゅれ下克上!”という佐々木璃花の影ナレとともに「Overture」が会場に鳴り響くと、純白の衣装に身を包んだメンバーが登場し、グループのデビュー曲となる「勇敢な恋のセレナーデ」でライブの幕を開ける。
ライブのニューノーマルを模索する昨今において、会場でのコールなどが制限されているため、ファンも一丸となってその空間をメンバーと華やかに作り上げていこうと、サプライズで用意した白いサイリウムを一斉に発光させてライブを盛り上げる。
冒頭のMCで吉橋亜理砂は“ツアータイトルも今年2月に発売したアルバムタイトルもシンプルにしたように、「この5人が今のAnge☆Reveです!」と言えるライブにしたいと思います!”と前置きした上で、“Ange☆Reveのコンセプトでもある「天使」と「堕天使」の二面性をたくさん発揮して、どっちのAnge☆Reveも楽しんでもらいたい”と意気込みを語った。
その言葉どおり、純白の衣装をまとった前半戦は「Stare!」や「Maybe Baby」など、デビュー初期の曲を中心にキュートで可愛いパフォーマンスを披露。
天使的な魅力を存分に発揮する王道アイドルナンバーが続いたものの、その雰囲気は、アルバムのリードトラックでもあった「泣かないよ」が始まると一変。成長するにつれて悩み揺れ動く女心の歌詞が印象的なナンバーが続き、堕天使の世界へと向かうストーリーに展開していく。
そして、そんな少女の殻を破り大人の女性へと変化する瞬間は、彼女たちの楽曲の中でも最もシリアスな内容の楽曲である「セフィリア」で訪れる。
間奏で激しいビートにダンスと照明が応酬する中、純白の衣装は一瞬にして黒の衣装へと豹変し、堕天使へと変身を遂げたのだ。この楽曲のパフォーマンス中にステージ上で早替えをするという演出に、さすがに会場のファンからも感嘆の声が漏れる。
セットリストをすべてメンバーで決定しているという彼女たちだが、6年の活動の中で幅広い内容の楽曲群の歌詞や雰囲気を天使と堕天使というカテゴリに二分し、それを自立する女性の光と闇に昇華して1つのステージで構成するあたりは、グループとしての構成力の高さ、セルフプロデュースの成熟度を非常に強く感じさせる。気づけば40分間MCなしで、ノンストップで彼女たちは歌い続けていた。
そして換気を目的とした長めのMCを経て、続く今回の全国ツアーの目玉となる新曲の「Starry Light」の披露を宣言。この曲は彼女たちのヒットナンバー「Colorful」のアンサーソングとして、作詞、作曲、振り付けなどを当時のクリエイターに依頼し、書き下ろした新曲となる。
また歌詞は、がむしゃらに夢を追いかける「Colorful」発表当時からさまざまな紆余曲折や挫折を経験し、“今の5人が最高のAnge☆Reve!”として胸を張るために、がむしゃらだけではなく、決意を持って夢に対峙する気持ちや、支えてくれる人への感謝が反映されたものとなっている。
サウンドや振り付けにも随所に「Colorful」要素が散りばめられているだけに、古くからのファンにも早々に受け入れられた様子で、すでに会場では完全に振りを覚えてコピーするファンも多く見受けられた。
ラストスパートでは「イトシラブ」や「運命的%」といったライブの定番曲を畳み掛け、本編は「Starry Light」のモチーフソングとなる「Colorful」で幕を閉じる。ライブの盛り上がりポイントを押さえた上で、それぞれの曲が立つようなストーリー性のある構成となっていた。
最後の挨拶では、それまで曲により天使・堕天使を切り分けて表情豊かにパフォーマンスしてきたメンバーだが、原姫子の“初めてのツアーで! 念願のツアーを開催できたのはみなさんのおかげです! ありがとうございました! この5人のAnge☆Reveでいろんな景色を見ていきたいです”という言葉をきっかけに全員が涙を抑えられなくなる。
また普段はクールな権田夏海の“言葉が出ません。この5人でよかった……”というつぶやきからは、さまざまな困難の中ツアーを通して結束力が高まったことがうかがえた。
最後に、佐々木が“Ange☆Reveが大好きという気持ちだけで6年間続けてきて、本当にいいメンバーに出会えて嬉しいと思っています”と、メンバー、スタッフ、ファンへの感謝を伝え、会場からは惜しみない拍手が送られた。
ライブは約2時間にわたって行なわれ、ダブルアンコールを含めて31曲が披露されたが、初めてとなるツアーで挑戦したのは、可能な限り曲が織りなす世界観を魅力的に披露すること。それによりメンバーチェンジが激しかったこのグループにとって、現在のメンバーの完成度の高さを改めて実感できるライブとなった。
この厳しい情勢の中、全国ツアーを通してメンバーの結束力とセルフプロデュース力を一層高めることに成功したAnge☆Reveの今後に期待したい。