無観客配信ライブ<11(イレブン)>新木場STUDIO COAST(2020年11月13日)

22/7[ライブレポート]グループの歴史に熱い涙を刻んだ無観客配信ライブ「11人で同じステージで一緒に歌えてうれしい」

Pop'n'Roll 編集部

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2020.11.17
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22/7が、2020年11月13日に新木場STUDIO COASTにて無観客配信ライブ<11(イレブン)>を開催した。TVアニメ『22/7』で歌われた11人のキャラクターのキャラソンがバラエティ豊かなステージングでライブ初披露となったほか、その主題歌であり、これまでは8人で歌われていた2曲を11人体制で再構築。また、2作連続オリコンウィークリー2位を獲得し、話題のユニット曲「半チャーハン」もMV公開というさらなる展開を見せる中、早くも2021年2月に7枚目のシングルをリリースすることを電撃発表した。本記事ではその無観客配信ライブ<11(イレブン)>のオフィシャルレポートをお届けする。

取材・文:キツカワトモ
撮影:ソニー・ミュージックレーベルズ

無観客配信ライブとなった本公演は、開演前からサプライズが盛りだくさん。突如、9月の<Anniversary Live 2020>で披露されるやいなやSNSを席巻したユニット曲のMVが「半チャーハン~全日本半チャーハン協会 活動のご紹介~」なるタイトルで流れたのだ。

しかも、全国100店舗もの半チャーハンの映像とともに“フルポーションでは多すぎるけど、ちょっと小腹を満たしたい”という客の要望に応えるべく、それを得意気に振る舞う中華料理屋の大将の姿がコミカルに描かれていて、アイドルのMVとは思えないほど“半チャーハン”にスポットが当たっていたのには度肝を抜かれた。

そんなユニット曲のペンライトを使った楽しみ方のレクチャーや、開演アナウンス、さらには具だくさんのお好み焼きを模したユニークな円陣の模様など、緊張にも勝るメンバーたちの笑顔に期待が高まる中、1曲目を飾ったのは最新シングル曲「風は吹いてるか?」。真っ直ぐな眼差しで歌われる“目を覚ませ!”というメッセージに、距離を越えて引き込まれていった。

また縦横無尽のカメラワークで、11人のフォーメーションの強固さを1カットで見せつけたり、1人ひとりの表情を順になめながら、その個性を浮き彫りにしていくところも、無観客配信ライブならではだろう。曲間の振りもシームレスに、特別な一夜が1つの物語へ紡がれていく。

そして、冒頭でもふれた「晴れた日のベンチ(海乃るり・倉岡水巴・高辻麗・武田愛奈)」の中毒性あふれる「半チャーハン」を始め、愛に苦しむ大人の女性像をセクシーに表現した「蛍光灯再生計画(河瀬詩・白沢かなえ・帆風千春・宮瀬玲奈)」の「タトゥー・ラブ」、甘くゆるふわなウィスパーボイスに脳が溶けてしまいそうな「気の抜けたサイダー(天城サリー・西條和・涼花萌)」の「ソフトクリーム落としちゃった」へと、ユニット曲が続いた。

無観客配信ライブ<11(イレブン)>新木場STUDIO COAST(2020年11月13日)
無観客配信ライブ<11(イレブン)>新木場STUDIO COAST(2020年11月13日)
無観客配信ライブ<11(イレブン)>新木場STUDIO COAST(2020年11月13日)

いよいよ、今回の目玉とされていた11人が演じるキャラクターたちによるキャラソンがライブ初披露となるメドレーコーナーへ。メンバーカラーの小花柄に、フリルの袖口が愛らしい揃いの衣装も新鮮だ。

トップバッターの河野都(CV.倉岡水巴)が「夢の船」でこぶしをきかせた美声を響かせ、満面の笑顔で福を呼び込めば、戸田ジュン(CV.海乃るり)が、くるくると軽やかに回りながら「人生はワルツ」でワンダーランドへといざなう。

一転して、ゴージャスなミラーボールが輝く下、スタンドマイクに手を添えてリミッターを振り切るパフォーマンスを見せつけた佐藤麗華(CV.帆風千春)の「優等生じゃつまらない」。丸山あかね(CV.白沢かなえ)は「感情無用論」で、キャラクターを象徴するメガネを用いて、クールな表情の中に一瞬だけ笑顔をのぞかせ、魅了した。バルコニーに一人立ち「孤独は嫌いじゃない」を歌う斎藤ニコル(CV.河瀬詩)の可憐さの中にも揺るがぬ瞳の強さは、高嶺に咲く気高き花だ。

続いて、舞踊派のふたりが見せた素足のコンテンポラリーダンスも圧巻。滝川みう(CV.西條和)が「One of them」で普段の寡黙な姿とは打って変わった全身全霊のダンスで心象をあらわにすれば、その背後から明るく元気良くスポットライトの中へと飛び出してきたはずの藤間桜(CV.天城サリー)が苦悶に飲み込まれ“生きることに楽になりたい”とワガママに本心を叩きつける。

立川絢香(CV.宮瀬玲奈)は、熱っぽい視線を送りながら「Moonlight」をくちびるに乗せ、コートや剥製と戯れるその空間をVIPルームへと変えた。最後は、神木みかみ(CV.涼花萌)東条悠希(CV.高辻麗)柊つぼみ(CV.武田愛奈)による「神様に指を差された僕たち」。3人の固く結ばれた絆からさらなる未来へと、人差し指の示すドラマが感動を呼ぶのだった。

無観客配信ライブ<11(イレブン)>新木場STUDIO COAST(2020年11月13日)
無観客配信ライブ<11(イレブン)>新木場STUDIO COAST(2020年11月13日)
無観客配信ライブ<11(イレブン)>新木場STUDIO COAST(2020年11月13日)

バラエティ豊かな歌番組のような一幕を終え、常に彼女たちと一心同体にあるキャラクターの魅力を表現できた喜びを1人ひとりが伝える。また、ここで2021年2月24日に7枚目のシングルをリリースすることが発表となった。

帆風が“みなさん、走る元気は残っていますか!?”と呼びかけ、重心低く構えれば「韋駄天娘」で後半戦が始まる。「Rain of lies」では一緒に雨上がりの喜びを舞い踊る客席が見えるような、また“未来があるから”のメンバーを呼ぶコールさえも聴こえてくるような不思議な一体感を伴いながら、エネルギーの塊となって突き進んでいく11人。息つく間もなく踊り続けるハードなブロックは「何もしてあげられない」で、生きることの過酷さを感じさせる迫真のパフォーマンスへと昇華されていく。

やがて、この一心不乱に突き進む流れが予感させていたものが、確信に変わる時がきた。流れたのは、本ライブのダンスレッスンへと臨む彼女たちのビハインド映像。“フォーメーションが変わってるけど、見応えのあるものになってると思う”、“時間が過ぎるのが早いのは、きっと自分で思っている何倍も楽しんでいるから。やっぱり11人でいるからかな”、“<11>というライブの題名も、終わった後に「こういうことだったんだ」と思ってもらえたら”、“ここからまた新たなスタートになるよって、安心してほしいです”――。

そして、本来であればライブ冒頭に流れるであろうオーバーチュアへと続いていく。世界中から、会場へと送られる期待を巻き込みながらカウントダウンが進む。

無観客配信ライブ<11(イレブン)>新木場STUDIO COAST(2020年11月13日)
無観客配信ライブ<11(イレブン)>新木場STUDIO COAST(2020年11月13日)
無観客配信ライブ<11(イレブン)>新木場STUDIO COAST(2020年11月13日)

西條の胸を刺すセリフに始まる「ムズイ」。そこに立つのは、11人のメンバーだ。本来8人で歌われたTVアニメ『22/7』の主題歌が、劇中で3人のキャラクターが加わったように、11人の曲へと生まれ変わっている。

隙のないフォーメーションを、ぐるりと360度で迫るカメラ。一時休養していた倉岡の復活を感じさせるソロパートが響く中、5組のペアが抱きしめ合うシーンに画面を越えた感動が押し寄せた。

そんな互いをライバルに見立ててバチバチと火花を散らす様が凛々しい「僕らの環境」、今にももつれそうな高度なステップを繰り広げながら前へ、前へと進む思いを歌い上げる「足を洗え!」。その先でたどり着いたのは、これもやはり11人曲となり、かつてより広くなった夢の地平を描く「空のエメラルド」だった。“ここから始まるんだ”という希望に満ちたフレーズが、キラキラと反射する。

“11人で同じステージで一緒に歌えてうれしいです。一緒に信じて待っていてくれたみなさん、本当にありがとうございました!”。こらえきれずあふれた涙とともに、万感の思いを伝えた高辻。ラストナンバー「11人が集まった理由」のやさしいメロディがすべてを癒し、全26曲、約2時間にわたったスペシャルライブは幕を閉じた。

円周率の近似値に“無限に続く可能性”を見出し、冠されたそのグループ名。もとは8人のキャラクターの声優を募集するオーディションから始まり、合格した11人で活動してきた22/7は、時に3人を舞台袖に残しながら歴史を刻んできた。ともすれば常に何か欠けた状態にあった彼女たちが、ついに完全な“円”となる。自らの強い思いで巻き起こした風にあおられ、走り出すそれは止められない。22/7のこれからに期待したい。

無観客配信ライブ<11(イレブン)>新木場STUDIO COAST(2020年11月13日)
無観客配信ライブ<11(イレブン)>新木場STUDIO COAST(2020年11月13日)
無観客配信ライブ<11(イレブン)>新木場STUDIO COAST(2020年11月13日)

22/7 無観客生配信ライブ<11(イレブン)>

2020年11月13日(金)
新木場STUDIO COAST

セットリスト

M1.風は吹いてるか?
M2.ポニーテールは振り向かせない
M3.不確かな青春
M4.願いの眼差し
-MC-
M5.半チャーハン 晴れた日のベンチ(海乃るり・倉岡水巴・高辻麗・武田愛奈)
M6.タトゥー・ラブ 蛍光灯再生計画(河瀬詩・白沢かなえ・帆風千春・宮瀬玲奈)
M7.ソフトクリーム 落としちゃった気の抜けたサイダー(天城サリー・西條和・涼花萌)
-Short MC-
≪キャラソンメドレー≫
M8-①夢の船 河野都(CV.倉岡水巴)
M8-②人生はワルツ 戸田ジュン(CV.海乃るり)
M8-③優等生じゃつまらない 佐藤麗華(CV.帆風千春)
M8-④感情無用論 丸山あかね(CV.白沢かなえ)
M8-⑤孤独は嫌いじゃない 斎藤ニコル(CV.河瀬詩)
M8-⑥One of them 滝川みう(CV.西條和)
M8-⑦生きることに楽になりたい 藤間桜(CV.天城サリー)
M8-⑧Moonlight 立川絢香(CV.宮瀬玲奈)
M8-⑨神様に指を差された僕たち 神木みかみ(CV.涼花萌)・東条悠希(CV.高辻麗)・柊つぼみ(CV.武田愛奈)
-MC-
M9.韋駄天娘
M10.ロマンスの積み木
M11.Rain of lies
M12.未来があるから
M13.何もしてあげられない
-映像~overture-
M14.ムズイ
M15.僕らの環境
M16.足を洗え!
M17.空のエメラルド
-MC-
M18.11人が集まった理由

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