第19回:つりビット解散から中域アイドル減少問題〜小出祐介&南波一海「小出は明日、昨日の南波と連載する」〜

第19回:つりビット解散から中域アイドル減少問題〜小出祐介&南波一海「小出は明日、昨日の南波と連載する」〜 つりビット解散から、今年を振り返っての中域アイドル減少問題を語る

小出 祐介

南波 一海

2018.12.29
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南波が小出のために選んだアイドル曲を聴いて、2人が気になっていることをフリートークする連載。今回はつりビット解散から今年を振り返っての中域アイドル減少問題。

南波:
つりビットが2019年3月に解散ですね。シーンからいい感じの中堅どころがいなくなってしまう危機が。

小出:
ホントですよ。

【つりビット「TOKYO WONDER GIRL」】

小出:
いい意味で昔っぽいことやってる。遅れてきたEspeciaというか。(しばらく聴き込んで)いや、すげーいい曲じゃないですか。

南波:
10月10日の魚(とと)の日にリリースされた新曲です。フィジカルじゃなくて配信シングルなんですよ。

小出:
えー! そうなんだ。これはめっちゃいいよ。

南波:
僕ら、シティポップ的なものには、いろいろ言うじゃないですか。

小出:
でも、これは素晴らしい。まずメロがいいもん。

南波:
そうなんですよ。なのに解散が迫っているという。

小出:
そうなっていくとさ、結局、強いものしか残らなくなっていくよね。

南波:
ドンシャリだけになっていくという。中域あたりがちゃんとあるから面白いのに。

小出:
そうなんですよね。そこが豊かだったから僕らは楽しいのに、そこが抜けてしまっていくとね……。僕ら、ドンには積極的ではないじゃん。南波さんはシャリを追求してはいるけど、それは中域が担保されているからこそのシャリだろうし。

南波:
そうそう、ちゃんとやっているところがあるからこそ、余剰の部分の面白さも引き立つという。

小出:
でしょ? それなのに真ん中が抜けちゃうと、シャリはただのシャリにしか見えなくなってくるから。

南波:
なんか、表現がドンシャリのシャリじゃなくて寿司のシャリにスライドしちゃった感が。

小出:
あはは(笑)。でも、ホントにシャリだけだとつらくない? 来年以降のこういう仕事を、僕らが楽しんでできるのかっていうことになってくると思いますよ。(再びつりビットを聴き込んで)言っておきますけど、これめっちゃいい曲ですよ。太字で書いておいてください。これは僕の年間ベスト上位に入ると思います。特にサビがよくできてる。

南波:
だけどリーチすべきところにあまりリーチしていない感じもあって。数年前だったら、もっと広がっていそうな気もするんですけど。

小出:
あーマジでもったいないなぁ。

南波:
解散は本当にショックだなぁ。今年の中域の乱れの堰を切ったのは、アイドルネッサンスかもしれないですよね。

小出:
瓦解の始まりがそこかー。たまたまっちゃたまたまだとは思うけど、あそこで起きた波が2018年のバイブスを作った可能性はありますよね。

南波:
<TIF>でアイドルネッサンスがつりビットとコラボをしたのが懐かしい。

小出:
“透明すぎて見えなかった”という伝説を残した2組が消滅という。あのとき、こんな未来が待っていたなんて想像しただろうか。

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