【対談後編】寺嶋由芙×ミキティー本物（二丁目の魁カミングアウト）｜現在のアイドルシーンへの想い「運営とアイドルが公平じゃない様子が見えると、悔しい気持ちになる」寺嶋由芙×ミキティー本物（二丁目の魁カミングアウト）対談後編

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メンバーが“私にお願いしたくて”って言ってくれるなら、喜んで振り付けしたいの（ミキティー本物）

――運営側もアイドル側も、どちらも覚悟ができていないままアイドルを始めるケースが多いように感じます。

寺嶋：
運営の人は歳を取っても、メンバーを入れ替えれば、またそのグループをやり直すことができるんですよ。でも、女の子たちはある程度の旬の時期があって。顔とかキャラクターとかを全面に出して活動している中で、運営側とアイドルが公平じゃない様子が見えると、なんだか悔しいなっていう気持ちになっちゃいます。

ミキティー本物：
ホントにそうだよね。

――どう変わっていけばいいんですかね？　アイドルというものを簡単に始められる時代になってしまったじゃないですか。

寺嶋：
それがいいことでもあるんですよね。だって、散々モーニング娘。になりたくてオーディションも受けてたけどなれなくて、でも今こうやってアイドルをやれている自分もあるから。

ミキティー本物：
だから、いい部分と悪い部分があるよね。私はアイドルの振り付けとかもやっていて、2回目レッスンする時はメンバーが違って、また振りを変えなきゃいけなくてとかあったりすると、私もその子のことを考えて振りを付けているわけで。それが急にいなくなって運営の人からは、“もうその子は辞めたから、ほかのメンバーの前ではその子の話はしないでください”とか言われたりするわけよ。そういう風な経験がこれまで多かったから、その経験が積み重なってくると、“今のアイドル業界って何なんだろう”って思っちゃうんだよね。そういうことはすごく多かったなって思う。辞める本当の理由って想像するしかないじゃん。そうなると、“誰かしらが悪かった”っていう結論をみんな勝手につけるじゃない。それが私は気持ち悪くて。逆にそう言って、すごく表では悪く言われてるけど、実際の裏側はそれとはまったく違ったり。それが見えちゃう立場に私はいたから、そういうので振り付けを辞めようと思って、一時期振付師の仕事を辞めてたの。

――ただ振り付けをするだけでなく、ほかの情報まで入ってきちゃうとしんどいですよね。

ミキティー本物：
そう。だから今は、自分の中で信用できるところにしか振り付けしないって決めてる。

――“信用”というのは、どういう部分を指しているのでしょうか。

ミキティー本物：
“なぜ私が振付をするのか”っていう部分が分からないと、けっこうイヤで。そのメンバーの子たちが“ミキティーさんにお願いしたくて”って言ってくれるなら、喜んでやりたいの。そう言ってくれた子がケガとかで辞めていったとしても、私が振り付けしたっていう気持ちは残るじゃん。その気持ちを胸に次のステップに進めるんじゃないかなって。でも、事務所が勝手に集めたグループで“とりあえずミキティーさんにお願いしたいんです”って言われても、なぜ私に振り付けをやってほしいのかよく分からないところは、今はやりたくないなって思っちゃう。だから、そういうのでは今は引き受けてない。そこでこれ以上、傷つきたくないなって。だから、振り付けを大切にしてくれる人じゃないとキツいな。