BLACKNAZARENE 南向いずみ［インタビュー］実力派異端児が辿ったボーカル人生「いろんな声は出せるけど、無理な声を出すのは歌人生に絶対に良くないと思った」BLACKNAZARENE 南向いずみインタビュー前編

ポスト

英語で作詞する時は、基本的に言葉のリズムとか音の感じを優先して決めている

──音大時代には、バンドはやっていたんですか？

南向：
バンドはやってなかったですけど、大学でショーケースみたいなイベントがあって、学内のオーディションに通ると出られるってことで、仲の良い友達と出たりはしてました。

──オリジナル曲で？

南向：
そうです。オリジナルじゃないと出させてくれなくて。でも、私はコードがつけられないので、メロディだけ書いて、作曲科の子にコードをつけてもらって、みんなでアレンジして……って、死ぬほどひねり出して2曲作りました（笑）。

──死ぬほど（笑）。どんな感じの曲？

南向：
1つはYUIさんみたいな、サビでメロディが跳躍するレンジが広い曲で、もう1つは洋楽っぽいのが作りたかったので、初期のアヴリル・ラヴィーンみたいな爽やかなロックですね。YUIさんみたいな曲は、私が先にメロディを書いたんですけど、ロックの方は、コード進行を先に作ってもらって、ギターの音をずっと聴きながら、その場で歌詞とメロディを一気に考えてレコーディングしました。最初に思いついた英語をメロディに乗せて歌ったものを、最終的にちゃんとした英詞に直していって。

──おお！　英語も得意なんですよね。

南向：
ちょっと得意です（笑）。

──どこで身につけたんですか？

南向：
もともと英語がしゃべれるようになりたいなってフワっと思ってて、小学生の時から英会話をやり始めたら、やっぱり英語は好きかも！と思って。で、中学で英語の授業が始まったら、先に始めてる分やっぱり他人（ひと）よりできるんで、それが嬉しかったんですね。で、他人の発音が悪いのが許せなくて（笑）。

──発音が良すぎる自分が、逆に浮いちゃうパターンですね（笑）。

南向：
まさにそれでした（笑）。それくらい英語は好きだったんですけど、数学が壊滅的にできないんですよ（笑）。それで、高校は完全に文系の勉強しかしないところに行こうと思って、英語を特化して学べる科に入ったんです。だから、英語は週に10時間ありました。1日3コマある日もありましたし。

──BLACKNAZARENEでも、南向さんが作詞した「WILL」は英詞ですよね。

南向：
そうですね。デモの中で、作曲者の方が英語ではないけどそれっぽいイメージの言葉で歌っていて、“こういう音をここでハメたいんだ”ってわかったので、それっぽい英語の“音”で入れていく感じでしたね。

──ストーリーというよりは、言葉の音とかリズムの感じで歌詞を作っていった？

南向：
そうですね。「WILL」だったら、歌い出しの“♬It is～”の部分は、デモで絶対に“It is～”って言ってるように聴こえたので、ここはそうしようって決めて。あとは、ずっと携帯の“メモ”に思いついた言葉をメモしてるので、そこからイメージに合う日本語をちょっとずつハメていって、おおまかなアウトラインを作ってから、それを英語にしていきました。でも、基本的に言葉のリズムとか音の感じを優先して決めるので、日本語のアウトラインは作りますけど、英語は意訳みたいになってます。

──そこまで英語ができるんだったら、英語の方が歌いやすいのでは？

南向：
それ、実はあるんです。ミックスボイス（地声のような声の強さを保ちつつ、裏声のような高音域を出す）ってあるじゃないですか。日本語だとミックスボイスはめちゃくちゃ歌いづらいんですよ。ミックスボイスができるようになったのは、大学でアリアナを歌いたいなと思って練習したのがきっかけだったので、日本語でミックスボイスを出してないから、今だにウマくできないですね。それをほかのボーカリストに話した時にも、みんな“確かに日本語でミックスボイスはやりづらい”って言ってて、“なんでなんだろうね～”って（笑）。

ポスト

ポスト

個人YouTubeチャンネル開設！

音楽チャンネル『南向いずみOfficial Channel』では、さまざまなカバーやセルフカバーなどの動画をアップしていく予定。

第1弾として公開されたのは、南向が定期的に行なっているアコースティック編成での生配信ライブでも披露したRADWIMPSの「なんでもないや」のカバー動画。

BLACKNAZARENEの攻撃的なボーカルとは一味違う、南向の表情豊かな歌を聴くことができる。

第1弾動画　RADWIMPS「なんでもないや」