第12回:ライバル|二丁目の魁カミングアウト ミキティー本物の「本物のアイドル論」
第12回:ライバル|二丁目の魁カミングアウト ミキティー本物の「本物のアイドル論」
アイドル界のさまざまなトピックを、唯一無二のゲイアイドルだからこその視点で斬り込む連載コラム(隔週土曜日公開)。今回のテーマはライバル。女性アイドルシーンの中で活動しているゲイアイドルが持つライバル観とは?
<TIF>に出て、やっとほかのグループと同じ土俵に立てた
私たちは二丁ハロでアイドル活動を始めて、二丁目の魁カミングアウトになるまで、本当にファンがいなかったんです。対バンやアイドルイベントも、私が振り付けをやっているコネクションで出させてもらっていました。だから本当に“申し訳ございません”って気持ちでステージに上がらせてもらっていたので、当時はほかのアイドルがライバルという気持ちは一切なかったですね。
でも、二丁魁になって、<TIF>などのフェスに出始めてから、やっと同じ枠に入れたなと感じたんです。<TIF>はコネクションではなくて、主催者側から本当に声をかけてもらえたので、その時に、やっとほかのグループと同じ土俵に立てたと思えました。
本当の売り上げや人気はまったく見えない
だけど、結局ライバルって、どこを見るかによって変わると思うんです。パフォーマンスなのか、動員なのかって。例えば、世の中には売れていないけど歌のウマい子はいっぱいいますよね。そんな天性の歌声の持ち主には私たちは敵わない。CDも、今のアイドルはいろんな特典をつけてたくさん売っているし、対バンの動員でも、入場時にお目当てのグループの名前を挙げたらチェキ1枚無料といった特典をつけているから、実際の数字がわからないんです。だから、アイドルになってみて、本当の売り上げや人気って、全然見えないんだなと思いました。
私が人気を判断する基準にしているのは、ワンマンライブをどこの会場でやっているのかということ。私たちと同じぐらいに始めたグループが、中野サンプラザやZepp Tokyoでワンマンをやると発表された時はやっぱり焦りました。それと同時に、そう思えたのは私の中ですごい成長だなと。前までは“すごいね、観に行きたいね”って思っていたけど、今は“悔しい! 先に行かれた”って思うことの方が多くなったんです。それは、やっぱり同じ土俵に立てたからそういう気持ちになれたんだと思います。
私たちはマラソンだけど、ほかのグループは短距離走
でも、そうやってほかのグループを意識することも、私たちがZepp Tokyoに立ったぐらいになくなったんです。たくさんの人に見てもらうために何かをするよりも、もっと大事なことがあるんじゃないかなと。私は一生アイドル活動をやっていきたいから、もっとファンのみなさんと想い出を作りたいと思っています。ほかのグループのことを意識し過ぎて、誰かよりももっと先に行こうって考えてばかりいたら、ダメになっちゃう気がしました。だったら、もっと確実な一歩をファンと進む方が大事。そう考えるようになってからは、あまりほかのグループのことを気にしなくなったし、焦りがなくなりましたね。
結局、アイドルって辞めていってしまうことも多いですよね。どんなにすごいと思ったグループでも、翌月には解散発表をすることもあるので、そうなると、“すごい! 悔しい!”って思った気持ちを返してと思ってしまいます。ずっと一緒に競争していける関係性だったら、意識するのも張り合いがあっていいけど、そうじゃないんですよね。私たちはずっと活動し続けるけど、ほとんどのグループは途中でいなくなってしまう。私たちはマラソンだけど、みんなは短距離走だから、種目が違うんですよね(笑)。それに気づいてからは、ほかのグループのことを意識しなくなったのかなと思います。
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