無観客ライブ配信で怪物音響!? ギュウ農フェスが見せた心意気｜「偶像音楽 斯斯然然」第28回

クマリデパートの強さとFES☆TIVEの2.5次元っぽさ

後半戦は、ナチュラルボーンアイドルというべき、2組が印象的だった。

まずクマリデパート。幾何学的多面性を見せた「シャダーイクン」にファンキーな「極LOVE浄土」という振り幅も魅力だが、なんと言ってもアイドルシーンにとどまらず、いろんな界隈で最近よく耳にするパワーワード“ネコちゃんになっちゃうよ〜”。先日とあるバンドの打ち合わせで、この情勢ゆえにツアーをどうするか、など重々しい空気と緊迫感漂う中、タトゥーとピアスだらけのかなりロックなデザイナーさん（♀）が、いきなり“ネコちゃんになっちゃうよ〜”と言い出し、その場が一気に和んだことがあった。なんとも人々の心を平穏にさせる呪文である。それにしても、いくらアイドルとはいえ、“あざとい”、“狙い過ぎ”、一歩間違えば嫌味に捉えらてしまうこともあろう怪曲をサラっと歌い、“あ、カワイイな”と思わせてしまうクマリデパートの強さ。これが何気にすごいわけで。あの4人だからこそ歌える曲であり、4人だからこそ生まれた曲でもあり。

ネコちゃんになっちゃうよ〜/ クマリデパート

そして、FES☆TIVEである。前回のギュウ農フェスでオクタゴンとの相性がバッチリだったり、「ハレとケ！あっぱれ！ジャパニーズ！」の破壊力が個人的にツボだったりしたのだが、そのあと、ゴニョゴニョと5人編成となってしまった。しかしながら、それをマイナスとならなかったのはこのグループの強さ。背格好の似た5人の少女たちがコミカルにステージをところ狭しと歌い踊る様は、先天的なアイドルというよりも、海外から見たジャパンカルチャーとしての日本の女の子像を具現化したような2.5次元っぽさを醸し出す。ビジュアルが異様なほどキャッチーなのである。この日は「ハレとケ！あっぱれ！ジャパニーズ！」のカラフルポップな衣装もあって、強くそれを感じた。それにしても、今アイドルフェスでいちばんの盛り上がりを見せる、といっても過言ではない「OIDEMASE!! 〜極楽〜」を筆頭としたFES☆TIVEのお祭り曲を無観客ライブで改めてじっくり観ると、ただの“沸き曲”で片付けられない楽曲の持つ強度と5人のポテンシャルを感じずにはいられなかった。あのナゾの一体感を味わえる日が1日でも早く来ることを願うばかりである。

FES☆TIVE「ハレとケ！あっぱれ！ジャパニーズ！」 LIVE Date 2019.08.21 TSUTAYA O-EAST「MARQUEE祭 Vol.38」