第11回:活動自粛|二丁目の魁カミングアウト ミキティー本物の「本物のアイドル論」

第11回:活動自粛|二丁目の魁カミングアウト ミキティー本物の「本物のアイドル論」

第11回:活動自粛|二丁目の魁カミングアウト ミキティー本物の「本物のアイドル論」

アイドル界のさまざまなトピックを、唯一無二のゲイアイドルだからこその視点で斬り込む連載コラム(隔週土曜日公開)。今回のテーマは、アイドル活動の自粛。新型コロナウイルス感染拡大という誰も経験したことのない事態に直面して、ミキティー本物が選んだアイドル活動の形とは?

歌を届けられないことの無力さを感じた

昨今のコロナウイルス感染拡大の状況って、私たちもみんなも生まれて初めてのことですよね。私たちも、目標だった中野サンプラザでのライブを終えて、次のステップに進もうとしていた時にこのような情勢になってしまったので、なんというか言葉にできない気持ちでした。

今、毎日メンバーとスタッフと集まって話し合いをしています。ライブができない代わりに、YouTubeライブをやろうか、ツイキャスをやろうかって。でも、そういうことをやろうとすればするほど、歌えないことの現実を目の当たりにしてしまうんです。歌を届けられないのに、それをやることで何になるんだろうと、無力さみたいなものを感じてしまって、いつも話し合いで終わって結論が出ないんです。だから、この事態の前では、こんなにも自分たちが無力になるんだっていうことを思い知りました。

私たちも、みんなと同じで毎日ニュースを見て、いろいろなことを判断しています。ライブをやってほしい、やらないでほしい、いろんな意見がある中で、私はどの意見も間違っていないと思っているんです。でも、わかっていてほしいのは、私たちも初めてニュースを見て状況を知るんです。そして、その段階から話し合いが始まります。メンバー、スタッフ、ライブ会場と話し合って、キャンセルの費用とか、延期をするなら空いている会場はあるのかとか探したりします。それって電話1本で終わる話ではなくて、1つのライブを中止するだけでも、たくさんの代償があるので大きな決断になります。そうやってどのライブもイベントも、みんなでとてつもない時間と労力をかけて判断しているので、そこはわかってもらえたらな、と思います。

東京以外でのフリーライブも計画していたし、私の生誕祭も、遠方から来てくれる予定だった子たちもいたし、みんなの交通費、宿泊費のことを考えるとすごくやるせないし、申し訳ない気持ちでいっぱいです。最初は、特典会をやらずにライブだけやろうかとも考えていたんですが、私たちはフリーライブが多いから、特典会をやらないと費用だけがすごくかかってしまうという事情もあります。そもそも今の状況では、ライブの開催自体も慎重に考えなくてはいけないと思っています。

歌えなくても私たちはアイドル

4月からどうするのかというのも、今の段階では何もわからないんですよね。ライブをやりたい、やろうって気持ちはあるけど、その日ごとに状況が変わっているから、私たちも身動きが取れません。だから私も、無力さを感じて“何もできない”とひねくれていたんですけど、私の誕生日に、ファンの人たちがTwitterでたくさんメッセージをくれたんです。私がいないのに誕生会を開いて、その写真を送ってきてくれる人たちもいて。そういうみんなからの言葉にすごく元気をもらったんです。その時に、ライブができないからって悲観的になるんじゃなくて、私もみんなにライブ以外で元気を届ける方法を探さないとって思いました。そこから気持ちが変わって、今できることを探してみようと考え始めるようになったんです。歌えなくても私たちはアイドルだから、違う形で希望を与えないといけないなって。

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