HOT DOG CAT［ライブレポート］渋谷WWWで無観客生配信ライブを開催！メンバー自身も楽器をプレイ

取材・文：長澤智典
撮影：本間裕介

バンドによって生み出される音が会場中を震撼させ、轟音に包まれる中、メンバーがステージへ姿を表す。ライブは、自らの魂へ気合いを一気に降り注ぐように「オリンピック・ハイテンション」からスタート。4人はいつも以上に気迫を込め、声を張り上げる。画面越しで観ているファンに、少しでも自分たちの気持ちを伝えようと、メンバーは心のエナジーを放出していく。観客という熱を吸収するフィルターがないせいか、4人の気迫がダイレクトに身体を震わせ、無観客ライブということを実感させていた。

そこがどんな環境だろうと、ただただ無心に音をぶつける演奏陣。その気迫を背にした4人も、声を1つに重ね合わせ、自分たちの想いをぶつける。たとえ観客がいなかろうと、笑顔で「オフィーリア」を歌う4人は輝きを放っていた。目の前に人がいないだけで、カメラレンズのその先から数多くの人たちの視線が注がれていると信じているからこそ、4人は大きく手を伸ばしながら“君に逢いたくて／だけど逢えなくて”という歌詞を表現し、苦しい胸の内を歌声に乗せ響かせていった。

笑顔を絶やすことなく、むしろ、満面の笑顔で4人は「イロイロナイロ」を歌い出す。“みんなと一緒に声出すよ”と、彼女たちは、そこに仲間がいることを信じて声を上げていた。この日、4人がいろんな“色”の中から選んだこの無観客無料ライブ配信は、伝えたい、届けたい想いがあるからこそ、その呼びかけが強い電波になって視聴者に届いたのであろう。

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MCでは、“本日は無観客ライブとなっております”、“カオスだぜー!!”と騒ぐ4人。メンバーは、ステージに置いてあったカメラを用いてメンバーやフロアを映すなど、無邪気な姿を見せる場面も。

鈴本りんが“ピュアピュアな恋愛心を歌った”と曲紹介をし、「炎上キャンプファイヤー」を初披露。拳を振り上げ、力強くステップを踏む振り付けからスタート。4人は疾走感のあるナンバーに合わせて、声を張り上げながらエンジョイ。目の前にファンがいたら、“大炎上”する楽しさに満ちた光景が会場に生まれそうであった。彼女たちは“君が好きになっちゃったんだ”と歌いかける。無観客でなければ、“好きになっちゃった”という大原莉奈のセリフのあと、観客からは“俺もー!!”というコールが入っていただろう。
　
次にステージから飛びだしたのは、Billy &The Slutsのカバー曲「イツモノヨウニ」。ピッチの甘さが露呈するのもご愛嬌。この歌に触れていると、彼女たちの姿を“いつものように笑顔”で観ていたくなる。4人も沸きだす高揚をパワーに変え、弾けたステージングを描きだしていた。いつものように、いつもの環境ではないけれど、いつもの彼女たちと画面越しで触れ合えている。それを味わえたことは素直に嬉しかった。

続く、「純情アイスティー」では、ちょっぴりセンチメンタルな気持ちを歌い上げる。そこに愛しい仲間たちの想いがたくさん集まっていると感じていたのだろう、彼女たちの視線が捉えていたのは動きまわるカメラではなく、フロア全体。会場に向かって笑みを浮かべる4人の姿がとても印象的であった。そのままメロコアチューン「ワンダフルライフ」へ。4人は画面越しの人たちを煽りだす。この環境を共有できている今の状態こそが“ワンダフルライフ”だと信じているかのように、テンション高くダンスをくり広げていた。

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“今、世界中から声が聞こえてきた”、“ヤッホー、世界中‼︎”という無邪気なMCは実にHOT DOG CATらしい。大原莉奈の“近所迷惑になるくらい声出していいですかー！”の言葉を合図に披露したのは、3月10日（火）に発売する最新シングルの表題曲「曖昧me」。この楽曲は、みんなで一緒に“オイオイ”と声を張り上げ、フロアを熱狂で染め上げるもの。もちろん、この日、会場には4人の歌声しか響いていないが、画面の先では“ヘイ！”と声を忍ばせ叫んでいた人たちもいたのではないだろうか。4人は、いつものライブのように“オイオイオイ”と元気に叫んでいた。その元気が世界中に響いていたなら嬉しいことだ。

「凸凹フレンズ」の重なりあう4人の歌声を聞いてると、気持ちがワクワクしてくる。彼女たちが体温と感情を持った歌を届けるからこそ、置かれたその場がどうであろうと胸が高鳴る。“みんなで一緒にワンワンニャンニャン”の掛け声から「キラキラ☆ポジティブ」を披露した。

“近所迷惑になるくらい大きい声出せんのかー！”と、先程と同じ叫び声を上げる大原莉奈。白河陽奈のタイトルコールを受け、本編最後を飾る楽曲として「青春18キック」をアクト。舞台上を目一杯使い、歌い躍る。確かにこの日は無観客ライブだった。でも、機材だらけのフロアの中でさえ、いつものライブと同じように胸を昂らせ、4人の眩しい姿を自分は追いかけていた。それは、画面越しに観ていた人たちも同じだったと信じたい。間違いなく、いつものライブの姿であった。むしろ、逆境の中テンション高く始めたこともあり、いつも以上にエナジーとカロリーを消費させる熱さをHOT DOG CATはこの会場に描きだしていた。

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アンコールは、開演と同様に映像からスタートし、4人はバンドスタイルで登場。大原莉奈がベースを、白河陽奈と鈴本りんがギターを、そして黒沢あかりがヴォーカルとタンバリンを担当し、「イロイロナイロ」をプレイ。必死にコードを追いかける鈴本りんや、手元を見ながらもコーラスを入れる白河陽奈や大原莉奈、3人が演奏に必死だからこそ、そのぶん盛り上げようと声を張る黒沢あかり。お互いに支えあいながら、笑顔を忘れず必死に歌い演奏する姿に初々しさを覚えずにはいられなかった。今後もこの“HDC BAND”は継続していくとのことで、ファンの前に立つ姿を楽しみに待ちたい。

MCコーナーでは、所属事務所I-GETのプロデューサーであるNAOKIより、次のワンマンライブは7月17日（金）に恵比寿CreAtoで開催することと、＜HOT DOG CAT新メンバーオーディション＞の開始というHOT DOG CATの最新情報が告知された。

その後、メンバーがこの日のライブについてコメント。

鈴本りん：
わたしは自分に自信がなくて、いつもネガティブになってスタッフさんやメンバーにいろいろと迷惑をかけてきたからすごく申し訳ない気持ちでいて。人生どうしていこうか？という悩みもファンの人たちにもしてきました。だからこそ今日は、“ライブで見せてやろう”という熱量がすごかったです。直前までファンの方々の応援をもらえていたし、メンバーもずっと一緒に支えてくれたからこそ、こうやって笑顔で乗り切れたと思っています。

黒沢あかり：
あかりはお客さんと一緒に楽しみたい人だから、今日は画面越しのように同じ空間で一緒に盛り上がることができないのが本当に悔しくて。あかりは、みんなとの楽しい時間を共有していくことを普段から心がけながら生きています。今回は全世界に配信されてるし、HOT DOG CATは全世界に広がるくらいのアイドルグループになりたいと思っています。

大原莉奈：
この天井の高い会場で、生バンドの音を響かせて、みんなのコールを聞きながらワンマンをするのを楽しみに4人で頑張って活動をしてきました。今日を迎えられたのはすごく嬉しいけど、やっぱり悔しい気持ちが大きくて。リハーサル中も、今、ここで見ている景色と3時間後に観る景色は変わらないんだなと思ったら悲しくなってきて。でも、悲しい気持ちが、“絶対に渋谷WWWにまた戻ってきて、ここにお客さんを呼んで、今日の悔しい気持ちを晴らすぞ”という気持ちに変わりました。絶対に渋谷WWWにHOT DOG CATは戻ってきます。HOT DOG CATは波瀾万丈なグループ。そういうのも、みんなと一緒にこれからも楽しんでいけたらいいなと思っています。

白河陽奈：
正直、無観客でワンマンライブをやると言われた時は悔しい気持ちもあったけど、いろんな人が私たちのことをすごく引っ張ってくれて、いろんな人に支えられて活動しているなというのを改めて感じました。去年から私たちはワンマンライブをさせてもらえるようになりました。初めてのCDもリリースします。ずっと“やりたい”と夢に描いていたことが、今は“成功させたい”という目標に変わりました。それってすごく素敵なことだと思います。その目標を成功させたら、また次の夢ができて、それがまた目標になってと、それがずっと続いていったらいいなと思う。でも、想定外のことが起きたりと上手くいかないこともあると思うんですよ。だけど、それがHOT DOG CATらしいなと思います。ファンのみなさんをたくさん振り回してしまい、申し訳ない気持ちもあるんですけど。私たちは、なかなか経験できないことを経験しながらこれからもパワーアップしていくので、みなさんもついてきてくれたら嬉しいです。今日披露したかったワンマンライブを、また違った形でみなさんに届けようと考えているので、その時はみんな遊びに来てくれたら嬉しいです。

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アンコールでは、再び新曲「炎上キャンプファイヤー」を披露。メンバーもかなりホットなテンションでライブを再開し、“キャンプファイヤー！”と叫びながら、この空間で生きる今を思いきり楽しんでいた。

HOT DOG CATは、この日最後の楽曲として「オリンピック・ハイテンション」をセレクト。冒頭にテンションを上げようと歌ったナンバーを、最後にハイテンションの状態で熱唱した。彼女たちはポジティブなパワーで、“楽しむ”を“楽しい”に塗り替えていった。世間が何と言おうと、自分が信じた答えに全力でぶつかれば、そこには間違いなく1つの幸せが生まれる。このハプニングかつサプライズな状況も楽しんだものが勝ちなのだ。いつもならフロアに向けて発射されるキャノン砲が、この日はメンバーへ向け発射されており、その遊び心にもグッときたものがあった。

演奏が終わり、“見えたー”、“みんないたよ、ここに”と彼女たちが笑顔を見せる。それが、この日の答えであった。

なお、本ライブの模様はYouTubeチャンネルで視聴することが可能となっている。

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