アヤ・エイトプリンス［インタビュー］ビジュアルブックが見せた未来への決意「先入観や固定観念は持たずに活動していきたい」

『bouquet』はファッション界隈の方に、『スプリンクル。』は女の子必見の1冊

ーーそれでも1月17日に無事に『スプリンクル。』『bouquet』の2冊をリリースしました。少し時間が経ちましたが、反響はいかがですか？

アヤ：
喜んでいただけているという感触はありますね。コメントやTwitter、そして実際に会った方々からお褒めの言葉を言っていただけました。さらに“このショットが好き”などありがたいお言葉もいただけて。私だけの力じゃなく、ここまでみなさんと頑張って来られたからこそ、みなさんとともに喜べたことは本当に嬉しかったですし、頑張ってよかったと思いました。何よりホッとしましたね。受け入れてもらえて本当によかった。

ーーソロで活動すると、きっとやること1個1個の反応が怖いですよね。

アヤ：
本当そうなんです！　 ずっと怖くて……。“そんなによい物じゃない”みたいな反応だったらどうしようと思うことが何度もありましたからね。これはビジュアルブックだけじゃなく、グッズのデザイン、曲の雰囲気や歌詞など曲の評価もそうですね。ただその中でも今回のビジュアルブックに関しては、自信が持てる作品に仕上がりました。

ーーそうなんですね。2冊に分けたのはアヤさんの要望ですか？

アヤ：
お話をいただいた時に、いろいろご提案いただいたのですが、その中に2冊に分ける案が出て、“できるなら2冊に分けたいです”とお願いして決まりました。2冊に分ける上で、どのように対比させるか考え、そして可愛い系とカッコいい系を別々で、しっかりと振り切れるように作ろうと考えました。

ーー結果的にすごく良い結果になりましたね。

アヤ：
本当によい写真集になりました。すごくありがたいですし、嬉しいです。

ーーそんな自信を持ってお届けする2冊ですが、アヤさんのお好きなショットを教えていただけますか？

アヤ：
『bouquet』の方では、赤いセットアップを着た写真が1番気に入っています。このビジュアルブック2冊ともになんですが、衣装やロケーションなど、みなさんと相談しながら私がほとんど決めたんですよ。そしてこの赤いセットアップの写真に関しては、絶対ススキがある場所で撮りたいとお願いしました。けっこう無理なお願いだったのですが、“どうにかならないですかね？”とずっと言っていました（笑）。ススキがある場所って意外とあまりないんですよね。さらに台風が来ていた時期だったので、場所が荒れちゃっていて（笑）。撮影期間はススキのシーズンではあったんですが、なかなか撮影許可も下りなくてすごく苦労しました。

ーーそこまでススキにこだわった理由はなぜ？

アヤ：
『bouquet』の方は、ハイファッションの衣装を中心に撮影したいと考えていたので、実際にハイファッションが載っている雑誌を買って勉強してみたんですね。そしたらハイファッションの写真は、大自然の中で撮影していることが多かったんですよ。岩場でスタイリッシュな格好をする、みたいな。それが私もすごくカッコいいと思ったので、それを撮りたいと考え、お願いしたんです。

ーーこの写真はすごくギャップがありますね。

アヤ：
すごく変なポーズをしたんですよ。カメラマンのJumpei Yamadaさんに“こうしてみて”などと言われたりしながら、変なポーズを取ってみました（笑）。

ーーアヤさんは昔から変なポーズや変顔などお好きですよね（笑）。

アヤ：
もともと好きなんですけど……そうですね、めちゃめちゃ恥ずかしい（笑）。

ーーいい意味での“違和感”があるお写真ですよね。ハイファッションの中にもアヤさんらしさが出ています。

アヤ：
そうですね。この写真は、いろいろな方にかなりウケがよかったです。面白いと言っていただけることが多いですね。いい意味でお客さんを裏切れた写真だと思います。

ーーそうですね。ガチガチのハイファッションかと思いきや……。

アヤ：
抜け感がある写真でもあります。よい写真がここぞとばかりに使われているので、全体としてもすごく面白いビジュアルブックになっています。『bouquet』は今まで着たことのないような衣装を着ていることが注目ポイントです。ファッション界隈の方にぜひ見ていただきたい。わかる人にはわかるブランドの衣装や装飾を身に付けているので、ぜひ注目していただきたいです。

ーーアヤさんのファンの方はアイドル好きや音楽好きの方が多いと思いますが、『bouquet』を見たことをきっかけに、ぜひファッションにも興味を持っていただきたいですね。

アヤ：
本当にそうです。『bouquet』を撮影していただいた、カメラマンのJumpei Yamadaさんとは、『bouquet』をきっかけにファッション業界のお仕事をいただけたらお互いにとってプラスだよねと話をしていました。そこも狙っている、というのもポイントですね。そのために、爪痕を残せるような1冊にしようと決め、意気込んでから撮影に臨みました。

ーーなるほど。アヤさんはスタイルがよいので、ファッション系のお仕事は適任だと思います。

アヤ：あざっす！　あとはこの写真では、化粧品のCMも少しイメージしました。ぜひ関係者のみなさま、この写真集を見てCMなどの依頼をください！（笑）　お願いします！（笑）

ーー一方、『スプリンクル。』のお気に入り写真はどれでしょう？

アヤ：
『スプリンクル。』の方は、めちゃめちゃあるから……。どれにしようかな。1枚に決めるのは少し難しいんですけど……トイレでのショットが1番のお気に入りですかね。顔が写っていないんですけど、ポップさに加えて少し艶やかさがあるのがいいですね。全体的にお洒落な構図、ポージングなので好きですね。本当にいいショットだと思います。

ーー確かにアヤさんのスタイルのよさも表れている写真ですし、顔は全部写っていないですが、表情が口元だけでわかるのがいいですね。

アヤ：
そうですね。ありがとうございます。あとはネイルを見せているところにもファッション性があると思います。セクシーになりすぎず、それでいてアートとポップなカジュアルさが共存している。すごくいいバランスだと思っています。多くの要素が、この1枚に詰まっている感覚です。『スプリンクル。』に関して最初は、わりとナチュラル系にしようかと思っていて、よくある女優さんやモデルさんのリラックスした姿が写し出された写真集に近づけようと思っていたのですが、結果的にビューティ系にもなっています。テーマがちょっとバラついた感はあるんですけど（笑）。女の子の憧れそうな衣装やロケーション、雰囲気になっている。それが『スプリンクル。』だと思います。バラエティに富んだ1冊ですね。

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ゼロからのスタートで物を作り上げることは貴重な体験、かなり熱が入った

ーービジュアルブックの撮影を通して、大変だったことは？

アヤ：
1番は準備が大変でした。私はもともとファッションにそこまで詳しくなかったので、雑誌を見たり、スタイリストさんに聞いたりしていました。今まで経験のないことでしたし、必要な衣装を決めてから自分で集めたので、撮影準備が1番大変でしたね。

ーー衣装を集めたんですか。

アヤ：
そうです。ニューヨークなど海外から取り寄せることもしましたね。海外のサイトでドレスのような衣装を頼んだんですけど、到着に2週間くらいかかる物もあって（笑）。撮影予定日に間に合わない可能性もあったので、あらかじめ“衣装が届かなかったら、申し訳ないんですが、日程を組み直していただけないですか”とお伝えしました。それで結局、1週間ズラしてもらうという事件がありましたね。

ーーすごいお話ですね。ただ、自ら衣装を集めようとする姿勢は素晴らしいですね。

アヤ：
やるからには自分が着たい衣装を全ページに載せたいという思いがあったんです。だからこの際、海外からでも買っちゃおうと決心しました。

ーー素晴らしい心掛けと行動だと思うのですが、昔からすべてきっちりと計画をして、あらかじめ勉強して行動するという性格だったのですか？

アヤ：
どうなんだろ……。今回に関しては、特によい作品にしたいという気持ちが強かったんですよね。だからスタイリストさんにすべてお任せにせず、自分で衣装、メイク、ヘアアレンジなどもやることによって、自分のイメージを反映させて表現しつつ、理想的な、よりよい作品を目指せると常に考えていました。だからできるだけスタッフさんと相談して撮影をして、私が持っているイメージを写し出せるように動いていただきました。逆に私が持っていない感性をヘアメイクさん、衣装さん、カメラマンさんからいただくことで、インスピレーションを増やしながら、お互いに齟齬が生まれないようにしましたね。私にないイメージを、スタッフさんからいただけたこともかなりプラスに働きました。

ーーその意識は、ソロでやり始めたからこそ芽生えたのかもしれないですね。

アヤ：
確かにそうかもしれないです。それはこのビジュアルブックの制作を通して体感しました。何も決められていない、ゼロからのスタートでモノを作り上げることは貴重な経験です。ソロになってからすべてにおいてゼロからのスタートなので、レールを作っていかなきゃいけない。だからこそ1個1個に熱を入れたかったんです。このビジュアルブックはそれに初めて挑みました。

ーービジュアルブックのエピソードを聞いていると、アヤさんは本当に熱量が高いと思いました。

アヤ：
ありがとうございます！　このビジュアルブックは、スタッフさんに“すべてが印象強くて、思い出に残る撮影だった”と言っていただけたので、本当にやってよかったと思いました。

ーー素晴らしいお話です。関係者の方にも、アヤさんがスタッフを動かしたことや熱量が高いことが、結果的にこの素晴らしいビジュアルブックを生んだというお話を聞きました。本当に評価が高かったです。

アヤ：
ありがたいお話ですが、私は全然まだまだなので……。もっと精進しないといけないと思います。

ーー謙虚な姿勢も素敵です。みなさんにぜひ2冊とも買っていただいて、見ていただきたいですね。

アヤ：
ぜひ買って見てみてください。保存用と観賞用と……（笑）。

ーー合計で6冊くらい買わないといけないですね（笑）。

アヤ：
そうです（笑）。

ーー改めて、この写真集を制作したことで成長したと思うところは？

アヤ：
私自身、まだまだだとは思いますが、ゼロからどのようによい物を作り上げるのかということを、このビジュアルブックを通して考えさせていただけたことは、本当に成長に繋がりました。制作する上で、ご迷惑をおかけしながらとなってしまいましたが、“何をやりたい”“このようにしたい”という思いを自分から考え発信し、よい作品を作り上げるためにはどうしたらよいのかを、自分で考えられたことは、非常によかった点ですね。この意識が芽生えるだけですごく大きい。どのように自分を見せたいかもすごく考えさせられました。アイドルの時はそれがほとんどなくて、衣装は用意されていましたし、楽曲もすでにあったので、本当に全部が最初からあったんです。自分で全部考えなきゃいけなくなった時に初めて、サポートしてくれる人のありがたみを知ることができました。例えばタイトルを決める時や表紙の写真をどれにするかなど、ここまで自分で決めるんだという驚きが多くて。今までは考えたことすらなかったから。タイトルも字体をどうするか自分で決めたんですよね。今までの人生で字体を考えることなんてなかったですからね！（笑）　“字体ってそもそも何があるの？”というところからスタートでしたし（笑）。でも、細部まで自分で決めてやり切れたことは、かなり大きいことですし、結果的に完全燃焼できたと思います。やり切った感覚は自分の中でも大きいです。

ーーだから完成した時の喜びは大きかった。

アヤ：
めちゃめちゃ大きかったです。完成した本を見てすごく感動しました。“この写真を載せます”とデータでは送られてきていたので、携帯を見て“この写真が載るんだ”と知ってはいましたが、ちゃんと本になってから見ることで、初めて実感が湧きました。“やっとできた〜！　嬉しい！”と。長丁場だった分、本当に嬉しかったですね。

ーー感慨深いですね。きっとその経験やゼロから作り上げて楽しいという感覚は、これまで絶対に体感できなかったことであり、そしてこれから先も追い求めていきたいという気持ちになったのではないですか？

アヤ：
本当にそのとおりです。自分がこれからどういうことをしたいとか、そしてどのような服を着たいかなど、考えるきっかけになったのが、このビジュアルブックです。今後もより頑張っていきたいと思えるビジュアルブックになりましたね。