SUPER☆GiRLS 樋口なづな［インタビュー］多彩な“私”を描く歌姫の情熱「歌詞に寄り添って歌で表現することが好き」

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アコギセットでは息遣いを意識して歌いました

――2019年11月22日開催されたソロライブ＜樋口なづな ドッキドキ！ソロライブ＞では、すごく楽しそうに歌っているなと思いました。

樋口：
スパガに入る前からソロライブをやりたいって言っていたんですけど、まさかこんなに早く実現するとは思っていませんでした。やることが決まった時には、すごく驚きましたし、緊張もしました。そもそもお客さんは来てくれるのかって心配でした（笑）。ありがたいことにキャパ数を上回る申し込み数で、嬉しかったです。その分、責任感とプレッシャーがありましたけど。ライブでは緊張した気持ちもありつつ、ファンの方と距離が近い会場だったので、目が合うとファンの方がニコっとしてくださって、それでリラックスできた気がします。途中からは練習したことをしっかり思い出しながら、歌詞の意味を考えて歌うことができました。

――今回は、松浦亜弥さんのアルバム『ファーストKISS』を全曲カバーするという企画でしたが、これはどのような経緯で決まったんですか？

樋口：
私は、SHOWROOMで開催されたオーディションからスパガに入ったんですけど、その時に、プロデューサーの樋口（竜雄）さんが、SHOWROOMのお部屋に来てくださったことがあったんです。候補者の女の子たちは、それぞれ得意なことを樋口さんにアピールしたんですけど、私は松浦亜弥さんの歌を歌ったんです。樋口さんは“声質がよく似ているな”って思ったそうで、それで新メンバーが加入して落ち着いてきたタイミングで、“こういう企画をやってみないか”って声をかけてくださったんです。私はハロプロさんが大好きなので、すぐに“やります！”って言いました（笑）。

――では、「ファーストKISS」を選んだのは……。

樋口：
プロデューサーの樋口さんが選んでくださいました。このアルバムって2002年にリリースされたんですけど、私は2001年生まれなので、私の人生と重なる部分があるというか、運命的なものがあるんじゃないかって言われました。

樋口なづなの「歌ってみたアイドルソングカヴァー」動画。松浦あやの『FIRST KISS』の収録曲をカヴァーした。

――先ほど歌詞の意味を考えて歌ったと言っていましたが、このアルバムの曲の歌詞についてはどういう印象を持っていますか？

樋口：
私の解釈が合っているのかはわからないですけど、“クラス”“卒業”“パパ”“ママ”なんていう言葉が出てくるので、高校生の私には合っているんじゃないかなと思って歌いました。歌詞に出てくるような、大人びた恋愛はしたことがありませんけど（笑）。悩んだり、モヤモヤしてしまう気持ちが詰まった曲が多いなと思いましたし、そういうところは私にも近いので、自分を歌詞の世界に当てはめながら歌いました。

――大人びた部分もあるものの、等身大で歌える曲だったんですね。今回、アコースティックギターの伴奏で歌うセクションも印象的でした。

樋口：
リハーサルの時からすごく緊張しました（笑）。自分の声がちょっとでも震えると、そのまま聴こえちゃうんですよ。自分の中では気持ちよく歌っていても、音を外しちゃうとすぐに気づかれてしまう。ごまかしがきかないんですよね。その反面、小さな息遣い……息を吸う音も吐く音も全部聴こえるので、息遣いを意識して歌いました。わざと吐く音を入れてみたり、息を吸う音を大きくしてみたり。やっぱり音源と比べると楽器の音数が少なくなってしまうので、そういうことで補えたらいいかなと思って歌いました。

――それはスパガではなかなか経験できないことですね。スパガではオケに合わせて歌いますし、当然、ダンスもある。でも、ソロコンサートは、まさに“歌”だけで勝負しましたよね。

樋口：
表情と歌だけで見せなくちゃいけないというのはプレッシャーがありました。ファンのみなさんは、いつも歌と一緒にダンスも観ていますし、メンバーも大勢いるので、観るところがたくさんありますよね（笑）。でも、ソロは、私しか観るところがないので、どうしようって思っていました。ただ、歌詞に合った振付……“恋”だったらハートを空中に書いてみたり、“1人”だったら指を1本立ててみたりとか、その瞬間に思いついたことでも、ファンのみなさんはちゃんと観てくださって。あ、最初は緊張しすぎて、マイクを持っていない方の手が、ずっと足のところにあって、手持ち無沙汰感がありました（笑）。でも、自分が楽しくやっていると、ファンのみなさんも、私の思いつきの振りを一緒にやってくださったりしたので、だんだん手持ち無沙汰な感じではなくなっていったと思います。

――やっぱり自分が楽しむことが大事なんですね。

樋口：
そうですね。それにソロは、初めてということもあって、みなさん、温かい目で観てくださって、すごくやりやすかったです。今回、応募で落選してしまって観られなかったというファンの方も多かったようなので、次はもっと大きなステージで歌えるといいですね。それと、今回は松浦亜弥さんの曲を歌いましたけど、次はまた違うジャンルにも挑戦してみたいです。

――今回、あいみょんさんの「空の青さを知る人よ」も歌っていましたよね？

樋口：
ファンの方にリクエストしてもらったんです。いろいろな曲をリクエストしていただいたのですが、その中から選びました。この曲は、Tik Tokを見ていたら、流れていてすごく刺さった曲だったんです。あいみょんさんって、すごく面白い歌を歌う方だなって思っていたんですけど、その曲を自分が歌ったらどうなるんだろうと気になって選びました。

――樋口さんは“スパガの歌姫になる”という目標を掲げていますが、そうなるためには、今後どうしていくべきだと考えていますか？

樋口：
私の歌を聴いて、憂鬱な月曜日でも頑張ろうって思ってもらえたり、つらいことがあった時に“なづちの歌を聴こう”って思ってもらったり、歌を通して何かを伝えることができるようになりたいって思っているんです。それには歌がウマくならないとダメなんでしょうけど、歌の上達って、正直、自分ではよくわからないですよね。人に言われても“そうかなあ”って思いますし。歌って、万人に受け入れられるものではなくて……ある人は可愛い声が好きかもしれないけど、ある人は優しい声が好きだったり。でも、私を好きになってくださった方全員を満足させたいです。観に来てくださったみなさんが、100％、120％楽しんでくれて“今日は来てよかった”って思ってもらえる歌を歌えるようになりたいです。

――では、現状、樋口さんの歌での武器は何だと思いますか？

樋口：
私は歌うこと自体も好きなんですけど、歌詞に寄り添って歌で表現することが好きなんです。“私”という主人公がいる歌詞だったら、その“私”になりきって歌う。そういうことはいつも意識して歌っているので、曲ごとにたくさんの“私”を見せられるというのが武器かもしれません。できているかどうかはわからないですけど、歌詞の世界観に入り込む自分を見せられるようになりたいです。

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