【連載】寺嶋由芙「クイズは年齢も体力も関係なく楽しめるところが素敵」｜『QUIZ JAPAN』制作・セブンデイズウォー（前編）

ポスト

ライヴと連動させたら、ヲタクにも興味を持ってもらえるかも（寺嶋）

寺嶋：
クイズとアイドルには、親和性はあるんでしょうか？

大門：
私はすごく親和性があると思います。クイズ番組には長い歴史があって、昭和のクイズ番組は、ハガキで応募すれば誰もが参加できるものでした。懸賞に応募するような感覚で、番組に出場して、賞金を稼ぐというスタイルが多かったんです。それがバブルの時代になると、番組としての派手さやスケール感を重要視するようになって、タレントさんがパネラーとして解答するスタイルになっていったんです。『なるほど！ザ・ワールド』『クイズ世界はSHOW by ショーバイ!!』などがそうですね。それが今、どうなっているかというと、素人のクイズマニアやクイズ王が、YouTuberとして活躍するようになって、タレント化している一方で、カズレーザーさんのように、クイズが得意で、プライベートでもクイズを楽しんでいるようなタレントさんも増えていて。大学のクイズ研究会のようなクイズサークルを、タレントさんがやっているんですよ。そんな風に、ボーダーレス化していて、タレント、素人関係なく、チャンネルを合わせたくなる人、応援したくなる人がクイズ番組では求められているんですね。そういう人たちが今はクイズの伝道者なんです。だから、“クイズが強い東大生”だったり、“すごく深い知識を持ってるチビッ子”みたいな人が人気ですよね。当然、アイドルでなおかつクイズができるというハイブリッドは、すごくニーズがあると思いますよ。アイドルだけど東大王を倒せるような地力のある人だったら、制作側は絶対使ってみたいと思うはずです。

寺嶋：
なるほど。勉強しなくちゃ（笑）。クイズはジャンルが幅広いので、自分は意外とこんなことも知っていたんだという発見もありますよね。それに、政治の話題には疎くても、たまたまニュースを観ていて知っていたことが出題されたりもして、しかもそれが勝敗を分けたりするんですよね。クイズって、意外と誰にでも勝利のチャンスがあるんだなと思います。

大門：
そうなんですよ。別に勉強しなくても参加できるんです。先ほど話に出た小学6年生の子が顕著な例だと思いますが、自分が興味を持って“長い生き物の名前”を覚えた。その知識をクイズでは披露するチャンスがありますし、人にも褒めてもらえる、拍手ももらえる。そんな風に自己肯定につながるのがクイズのよいところだと思うんです。勉強しなくても、今の自分のままでもクイズは楽しめる。そして、クイズを始めると、それまで興味がなかったことについても知識が増えます。テレビでニュースを観ていて“あ、これはクイズで出題されるかも。覚えておこう”なんてね（笑）。ちょっと邪な考えかもしれませんが、自分の興味と知識が広がっていき、博識になっていくのもクイズのよい側面だと思います。クイズはやればやるほど面白くなるし、強くなっていきますよ。

寺嶋：
そういうことを体現できる人になりたいです！　＜TIF＞のクイズ大会は年に1回だけなので、もっとアイドルがクイズ大会に参加できるようになったり、ファン参加型のクイズイベントをやるようになったらいいなと、私は勝手に思っています（笑）。

大門：
以前、CSのクイズ番組に携わったことがあって、その時は舞台をリングにして格闘技のイベントのように出場者がクイズで勝負しているのを観客が応援できるようにしたんです。クイズをやっている人を応援するというのも、クイズの楽しみ方としてあると思いますね。「自分はクイズを答えるのは得意ではないけど、クイズをやっている寺嶋さんは応援したい」、そんな風に思う人もいるはずなんですよ。私たちはそういうクイズファンを“観るクイ”と呼んでいるんですけど（笑）、そんな風にクイズはエンタテインメントのショーとしても成立するんじゃないかと思います。そういう場合は“観に行きたくなる”マッチメイクがすごく大事だと思うので、アイドル同士のクイズ対決はすごくハマると思います。

寺嶋：
確かにアイドルはファンのみなさんの熱量がもともと高いジャンルだと思うので、歌や踊り以外のことで戦っている様子を見守りつつ応援するというのは、ヲタクのみなさんもテンションが上がると思います！

大門：
そう思いますよ。『ナナマル サンバツ』というクイズを題材にしたマンガが、今年の春に舞台化されたんです。その最後の場面では、役を演じていた役者さんたちがガチでクイズの真剣勝負をやったんですよ。みなさん、一応役になり切ってクイズに答えていたんですけど、メタフィクションというか、お客さんはその瞬間から自分の推しを応援するようになって、すごく盛り上がっていました。その時にクイズを応援するというイベントは面白いなと改めて思いましたね。アイドルがステージで歌う権利を賭けてクイズで対決するとか、そういう風にエンタテインメント性やイベント性を持たせたら、面白いんじゃないでしょうか。

寺嶋：
ライヴと連動させていったら、クイズに興味のないヲタクのみなさんにも興味を持ってもらえるかも。アイドルがクイズの入口になれるかもしれませんね。

ポスト

＜TERASHIMA KAWAII FESTIVAL vol.2＞
日程：2019年12月15日（日）
会場：横浜ブロンテ