渡辺淳之介＆岩淵弘樹監督［インタビュー］アイドルの悲劇の正体「1番自覚しなきゃいけないのは、自分が何者でもないってこと」

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見せたくない部分を曝け出すリアリティがWACKの魅力（岩淵）

――最後におふたりにエンタテインメントに対する考え方を伺いたいなと。岩淵監督は、本作を作る際に、ドキュメンタリーということで事実を積み重ねていかないといけない中、商業作品としてどこまでエンタテインメント性を意識していたのかを教えてもらいたいと思います。

岩淵：
エンタテインメントとリアリティという話では、運営とメンバーの不仲とか、そういう本来は外に見せたくない部分をそのまま作品にしたというところはありました。僕は、そういう見せたくない部分も曝け出してくれる人が面白いなって思っていて。そこに人間らしさや自分らしさが表れるというか。とにかくそのリアリティがWACKの魅力だと思っていますし、撮る側としても、ここまで撮らせてくれんの？　いや、むしろもっと撮ってこいよって言ってもらえて、どんどん突っ込んでいけました。なかなかここまで撮らせてくれる事務所って普通はないので、自分としては1番思いっ切りバットを振れる場所でした。

――そこはやはり岩淵監督と渡辺さんの信頼関係が厚いからできたんでしょうね。

渡辺：
岩淵さんは、ウチのじゃないドキュメンタリーでは、たまに自分が出すぎてしまうことがあるんですけど、基本的にはけっこう血が通っていないというか、冷静に撮っているっていう印象があって。今回は女の子のカメラマンの方が、けっこう感情移入してましたよね。

岩淵：
そう。女の子のカメラマンが合宿参加者に感情移入しちゃって、泣いてて撮れないんですよ。仕事で来ているのに、泣きながら渡辺さんに“なんでこんなことするんですか？”みたいなことを言い出して。それで、渡辺さんも困っちゃって（笑）。

渡辺：
え〜みたいな（笑）。君のストーリーじゃないんだけどなって。

岩淵：
この現場は、飲み込まれやすいですよ。

渡辺：
そこも含めて岩淵さんはなんとか冷静に見ようとしていて、すごく面白いなって思いました。

――なるほど。最後に渡辺さんのエンタテインメント観を教えてもらえますか？

渡辺：
僕自身は、自分が気持ちいいものだったり、好きなものしかできないと思っているので、いわゆる自分のオナニーに対していかにお客さんにお金を払ってもらうのかっていうことしか考えてないですね。でも、そこでほかとの差別化をするために、さっき岩淵さんが言っていた“ここまで撮っていいんだ”というものを見せるしかなかったんです。インディーズで誰も相手にしてくれない状況から始まっているので……どっちかというと大仁田厚と一緒ですね（笑）。

――ああ、新日本プロレスに対するFMW的な。

渡辺：
そう。大仁田さんのいい話があって、電撃爆破マッチのことをちょっとだけ載せてくれた新聞社に、大仁田さん自身が “もっと取材してくれ！　もっとすごいのをやるから”って電話をしたことがあったらしくて（笑）。僕らもそういう感じでやってきたんです。すごく恵まれた環境にいれば、カッコつけていても大丈夫だと思うんですけど……自分が本来好きなものはいっぱいあるんですけど、そこを我慢して、必死に隠してすり抜けながらやってきたというか。オナニーって、お母さんに見つかんないように隠すじゃないですか。見つかったらすごい萎えるから……みたいな部分を必死にどうやって隠すかがエンタテインメントかなっていう感じはします（笑）。

――なるほど（笑）。そういう部分でも、これまでWACKは王道に対する邪道的な立ち位置でしたし、そこに入りたいと思う子たちもどこか尖った部分を持っているんでしょうね。

渡辺：
でも、そこで履き違えちゃってる子もすごく多くて、わがままでいいわけないんですよね。結局、僕は、変人は天才以外は生き残れないって思っているので、彼女たちが1番自覚しなきゃいけないのは、自分がホント何者でもないってこと。例え事務所に入っても、何者でもないんだってことを自覚しなきゃいけないって思いますね。

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映画情報

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映画『IDOL-あゝ無情-』
11月1日（金）よりテアトル新宿、11月8日（金）よりシネ・リーブル梅田、11月9日（土）よりシネマスコーレにて公開

監督・編集：岩淵弘樹 プロデューサー：渡辺淳之介
撮影：青柳拓、浅井一仁、今田哲史、岩淵弘樹、エリザベス宮地、小峰克彦、白鳥勇輝、中村桃子、丹羽貴幸、野崎あんにん、バクシーシ山下、
八木咲、柳田裕之、山崎夏樹
出演：オーディション候補生、BiSH、BiS、GANG PARADE、EMPiRE、WAgg
2019年 / 85分 / ヴィスタサイズ 配給：松竹メディア事業部 ©WACK INC.

■合宿オーディションとは？
日程：2019/3/24～3/30 場所：長崎県壱岐市壱岐島
●加点方式（合宿メニュー内ポイント、スタッフからの投票、ニコ生視聴者からの投票）
●一週間の共同生活
●歌唱審査、ダンス審査、マラソン等だけでなく毎日の生活すべてがオーディションの審査対象となる。
●毎日の早朝マラソン、やる気や根性、運、礼儀も審査対象。
●24時間ニコ生で配信、一般視聴者からの審査ポイントも有り
●毎日数名ずつ脱落を宣告される

■オーディション合宿に参戦したメンバー
BiSH/アユニ・Ｄ
GANG PARADE/ヤママチミキ
EMPiRE/MAYU EMPiRE
WAgg
アヤ・エイトプリンス（元・第2期BiS）
トリアエズ・ハナ（元・第2期BiS）
ムロパナコ（元・第2期BiS）
※YUiNA EMPiREは、合宿時は第2期BiSに所属
※愛(WAgg)はオーディション合宿不参加

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