Pimm’s、FES☆TIVE、BABYMETAL、EMPiRE…ミクスチャーな可能性を追い求める新作｜「偶像音楽 斯斯然然」第15回

FES☆TIVE　しっちゃかめっちゃかな祝祭感

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おびただしい音楽情報量をこれでもかというほど1曲に叩き込んでくることでお馴染みの玉屋2060％が、今ノリにノッてるお祭りアイドルに楽曲提供。そのしっちゃかめっちゃかな祝祭感はこの夏、数々のフェスやイベントにおいて、多くのアイドルファンが目撃したはず。FES☆TIVEのニューシングル「ハレとケ！あっぱれ！ジャパニーズ！」である。

玉屋2060％といえば、でんぱ組inc.「でんぱれーどJAPAN」（2012年）、ベイビーレイズJAPAN「虎虎タイガー!!」（2014年）をはじめ、はちゃめちゃにキャッチーで、“頭で考えるな！　身体で感じろ！”といわんばかりの楽曲でアイドルシーンに数々の爪痕を残してきたわけだが、これまたとんでもない怪曲がここに誕生したわけである。

FES☆TIVE - ハレとケ！あっぱれ！ジャパニーズ！

オリエンタルな旋律とグループの色として大きく差配するワビサビを効かせた和情緒が交錯していき、転調を思わせるサビ、ブレイクダウンを挟んで今度こそ本当に転調するサビ、最初から最後まで抜け目なく、聴く者に一切の隙を与えない。玉屋は何曲分ものアイディアを1曲に落とし込んでいく作風であるが、そうしたこれまでの楽曲と比べると、スルッとした聴きやすさがあるものの、高速BPMに惑わされているだけで、聴けば聴くほどこの複雑さに感心するばかり。

FES☆TIVE - ハレとケ！あっぱれ！ジャパニーズ！ LIVE

謎のメッセージ力ある、絶対に歌いづらいであろう歌詞を巧みに操り、とっ散らかる寸前のギリギリのテンション感でガシガシ攻め立てるメンバーの力量にも感服。“玉屋の楽曲”ではなく、きちんと“FES☆TIVEの曲”になっているからこその面白さ。真っ直ぐで力強いヴォーカルの土光瑠璃子と愛くるしいキュートな声の青葉ひなり、“いとこちゃんず。”のコントラスト。どこか飄々としながらもガーリー感全開で突っ込んでくる白石ぴあの……といった現6人体制になってすっかりキャラ立ちしたグループの強度を表す楽曲だと思う。先日の＜ギュウ農フェス＞において、オクタゴンスピーカーをフルに使った「ハレとケ！あっぱれ！ジャパニーズ！」「オトメ、ケセラセラ」「OIDEMASE!! ～極楽～」の、あのノンストップの流れはズルい……と心底思った（褒め言葉）。