BABYMETAL、わーすた、おやすみホログラム……ロックファンに捧げる今観ておきたいバンドセットのアツいアイドル8選｜「偶像音楽 斯斯然然」第14回

BABYMETAL　メタルの新たな可能性を切り拓く

BABYMETAL - Elevator Girl [English ver.] (OFFICIAL Live Music Video)

まず外せないのは、こうしたバンドスタイルを武器にして成功を収めた代表格、BABYMETAL。アイドルとメタルの融合であるとともに、アイドルとバンドが融合した巨大なエンタテインメントであると、“メタルレジスタンス第8章”の幕開けである2019年6月の横浜アリーナ公演を観て、あらためてそう思った。

国内のみならず海外での人気は、そのコンセプトの意外性はもちろんだが、“神バンド”と呼ばれるバックバンドによるところも大きい。重厚かつテクニカルな強者プレイヤーたちの狂騒は音楽通をも唸らせるもの。

“男勝り”ではなく、女の子らしいアイドル的アプローチを前面に出しながらも、聴く人によって届く音楽的な深みを内包させる。いわば、Buono!が提示したロックアイドル像を、よりコア層にまで響くものへと深化させたものであり、同時にある意味で保守的でもあったメタルというジャンルの可能性を大きく拡げた。

PassCode　轟音の美戦士

PassCode - DIVE INTO THE LIGHT (Zepp Tour 2019 at Zepp Osaka Bayside)

BABYMETALがオーセンティックなメタルを昇華させたとするのなら、PassCodeは今どきのラウドロックを加速させる。エレクトロニコア、日本ではピコリーモと呼ばれる情報量の多いサウンドを解像度の高い音像でブラッシュアップ。

今田夢菜のシャウトとグロウルに耳を奪われるが、急ぎ早な楽曲展開に乗るメロディはキャッチーで、女性ボーカルを活かした耳障りである点も注目。それはステージで魅せていくパフォーマンスも同様で、轟音の中で踊る女性らしいしなやかなダンスが美麗だ。

LADYBABY　キラキラとゴリゴリの狂演

LADYBABY " 破天ニ雷鳴 - HATEN NI RAIMEI

近年流行のラウドロックとは一味違うサウンド。音楽ジャンルでいえばNU-METAL、日本的にいえばモダンヘヴィネス。つい先日行われた＜大冠祭2019＞にて、主催のTHE冠やSEX MACHINEGUNSといった、メタル界の猛者どもに混じっても遜色なく最高のステージを見せたLADYBABY。キラキラの笑顔と獰猛なゴリゴリのヘヴィグルーヴでオーディエンスに襲いかかる。

LADYBABY "蓮華チャンス！" "破天ニ雷鳴" at BAND-SET "ExExEx" August 23, 2019

スクリームするアイドルは珍しくない昨今だが、グロウルのみならず、ガテラルからホイッスルまで鳴らすのは有馬えみりくらいだろう。

YOUTH-K!!!（THE冠、AA=、黒夢…… / Dr）とWu-chy（BATCAVE / B）の地を這う重厚なリズム隊と三橋隼人（HERE / G）のザックザクしたギター。バンド・The CHAOSがけたたましく咆哮するアンサンブル。若手のラウドロックバンドには出せない美重音がここにあり。