Appare!［ライブレポート］工藤のか、たくさんの愛と紫色の光に包まれた涙の卒業公演

取材＆文：榎本麻紀恵

開演時刻になると、同公演の主役である工藤のかが卒業衣装に身を包み、1人でステージ中央に登場。「Our Music」のワンフレーズをアカペラで歌い上げると、“最後までみんなでこの歌を届けたいと思います。みんなの心に響くように歌います！”と少し緊張をにじませた声で語りかける。そして、工藤の歴代衣装を身に着けた残りの6人もステージに登場し、「Our Music」を披露。続いて、工藤の“今日はみんなAppare!と私のことを推して！”という掛け声とともに「OSHIOSHIO」がスタート。曲中にあるメンバーとファンの“推して！”“推すよ！”のコール&レスポンスで一体感を高め、会場の熱気を上げていき、3曲目にはTikTokでバズり、Appare!の名を世間に広めることとなった「ぱ ぴ ぷ ぺ POP!」をパフォーマンス。工藤ソロパートとなる《あ、ごめんやっぱ好き》のあとには、メンバーの藍井すずが《…めんどくさっ》という歌詞を《私も好きー》とアドリブで返し工藤への愛を伝え、客席からは歓声が上がった。そのままの勢いで「好きだ、まじで！」、「ダフネ」を披露し、1回目のMCへと突入。

卒業公演ということで、普段よりもファンたちが少し静かなことに気がついた朝比奈れいは“みんなもうちょっと元気出して”と客席に笑顔を向け、工藤も“私の卒業公演だから悲しいなと思っている方もいると思うんですけど、ここで本気出さなきゃ後悔しちゃわない!?”とファンの背中を押していく。そしてMC明け1発目には、“この7人が始まった曲です”と工藤が涙をにじませながら「約束の続き」へ。さらに「大快晴ボンボヤージュ！」、タオルを振り回す夏曲「あっぱれサマーっ!!」で会場全体を揺らしていくと、楽曲ファンも多い「カラフルミラクルディスカバリー」、フェスや対バンで盛り上がる鉄板曲「キミだけのワンダーランド」で会場を沸かしていく。

2回目のMCでは、工藤がファンへの想いを語っていくことに。“こんなにたくさんの人に見守られながらステージを降りるのはとっても幸せなことだと思っています”と切り出し、6年半に渡るアイドル活動を“私の人生の中で大切な時間だった”と振り返る工藤。アイドルになったばかりの頃は自分に自信がないタイプだったと語りつつも、ファンからの応援により自分を好きになれたとのことで、終始感謝を伝え、“私はみんなに救ってもらったから、私もみんなを救えるアイドルになりたいなと思っていた”と活動中の想いを吐露していく。“私がいないAppare!も全力でずっと推していてほしいなと心から思います”と語りながらも、トークが苦手だという工藤は“ウマくしゃべれなくてごめんなさい”と自信なさげ。しかし、MCを任されることの多い七瀬れあが“ビックリするぐらいよくしゃべれています”とツッコミを入れると、客席からも笑い声が上がった。MC終盤では、工藤が“みんなペンライトをのかちゃんの色（紫）にしてくれて嬉しいです。でも、今日は7人最後のライブでもあるから、次の曲からはもっとギアを上げて楽しくしたい！　だから、みんな推しメンの色にしてください！　そして推しメンにちゃんと見つけてもらうんだよ！”と工藤推し以外のファンへの気遣いも見せる。その想いに応えるように会場が7色の光に包まれたところで、疾走感のあるキャッチーな楽曲「アッパライナ」へ。

続けて、「アイネクライネ幼き恋だね」、「虹をかけろ！」、「Summer spit！」を披露し、再び会場のボルテージを上げていく。「Summer spit！」では、朝比奈が自身のソロパート《私はまだこんなもんじゃない》を《この7人はずっと永遠です！》と歌詞を変えて笑顔で歌い上げ、次の「絶対猛信デイドリーマー」では藍井が曲中で“本当にAppare!が大好きです！”と高らかに叫ぶシーンもあり、メンバー全員から7人体制のAppare!への愛がひしひしと感じられた。

そして本編ラストの曲となったのは、アイドルの葛藤や夢を追う姿を描いた「新世紀ヒットパレード」。ステージ上のメンバーだけではなく、客席のファン同士も肩を組みシンガロンする姿はまさに圧巻。曲終わりのMCで工藤は、“これまでの景色を胸に生きていきたいと思います。本当に世界で1番幸せだし、めちゃくちゃ楽しかったです。ありがとう！”と笑顔を見せた。

最後にメンバー1人ひとりが工藤へ花束とメッセージを贈り、本編は終了。しかし、会場からの熱いアンコールが鳴りやまず、再びメンバーたちはステージへ呼び戻されることに。急遽、予定にはなかったという「本日は晴天なり！」を全力でパフォーマンスし、＜工藤のか卒業公演＞を締めくくった。