NANIMONO［ライブレポート］“魔法が解けた”その先で見つけた希望――新たな物語の始まりのステージ「今という時間を、今日という日を、この一瞬一瞬を、全力でNANIMONOと一緒に生きてくれたら嬉しい」

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インキャだって、夢を諦めなかったら叶うんだぞ

ゆまとりんかが歩み寄って手を合わせる、「Hello, world」の印象的なMVのシーン再現から始まったアンコール。

“本来7人で立つはずだったこのステージ、寂しいし悔しいけど、774本人がいちばん悔しいと思います……”

涙を受かべながらゆまが口を開いた。脱退した774について、そして会場いっぱいのTAKARAMONOに向けて、1人ひとりが想いの丈を伸べていく。

デビュー当時、対バンで立った豊洲PITで“いつか絶対自分たちの力でこのステージに立つ”とMCした、ぷりん。その夢を叶えることができたことを嬉しそうに語る。さらに武道館という目標に向かって、そしてインキャがインキャらしくいられる優しい世界を作ると約束した。

中学生の時にお客さんとして来た豊洲PITの大きさに驚いたという、ねる。たまたま観たNANIMONOのステージで聴いた774の優しい歌声が、つらい気持ちを抱えていた自分に刺さったという。NANIMONOに加入してからも彼女の優しさが包んでくれたと続けると、“774と一緒に見たNANIMONOの夢、これからも私たちが背負って叶えていこうと思うので、ついて来てくれると嬉しいです”と語った。

“6人で全国ツアーを廻って。あんなにたくさん来てくれるとは思ってなくて……”と振り返るミフユは、ソールドアウトした豊洲PITの景色を眼前に、“7人がよかったという気持ちもあります”と正直な気持ちを吐露しながらも、“ゼロから創り上げてきたこの6人で、今日来てくれたTAKARAMONOさん、これから出会う人たち、まるっと含めてみんなで大切にもっともっといい景色が見られる場所まで強くしていきたいから、信じてついて来てほしい“と続けた。

“こういうの（を口にするの）は得意じゃない”と前置きしながらも伝えたい想いがあるというヲユタは、NANIMONOが7人でできると思っていたから、誰か1人でも欠けたらやめようと思っていたと明かす。しかし、デビュー当時のライブ映像を見返し、“ここまで来るのは簡単じゃなかった、アイドルを本気でやりたくてここまで頑張ってきたんだ、だからここで諦めちゃだめだと心の底から思って……今まで以上にNANIMONOで夢を叶えたいという気持ちが強くなりました”と強く口にした。そして、“774、バカ！　なんでどっか行っちゃったの……”と目に涙を浮かべながら愛を込めて投げかけ、“774と作ったNANIMONOをこの6人で守っていく”と宣言した。

774とは自分が前グループ在籍時に、ファンからスタッフになった間柄だった、りんか。後方彼氏面しながら涙を浮かべてライブを見守ってくれた774との想い出を涙ながらに語る。“りんちゃんはステージが1番似合う子だよ”と言ってくれた彼女の言葉を胸に、“774が好きになってくれた、りんかでずっといたいから……NANIMONOの夢が叶うまで、大変なことやつらいことがいっぱいあると思うけど、ステージに立ち続けるから、これからもNANIMONOの応援、よろしくお願いします！”と、涙で顔をくしゃくしゃにしながら、深く頭を下げた。

“このツアー、774が絶対に帰ってくると思って廻ってました”
と、最後にゆまが語った。

“でも、774が「これからのNANIMONO楽しみ」って言ってくれてるから、止まってる時間ないなって思って、メンバーといっぱいいっぱい話し合って、774の気持ちも連れて、この先に行くって決めました。だからゆまはリーダーとして、NANIMONOのみんながみんならしく活動できるように引っ張っていきます！　……だけど、ゆまがポンコツだったり、ダメダメだったら、メンバーのみんなも、TAKARAMONOさんも助けてくれたら嬉しいです。NANIMONOには、最初からの夢があります。武道館でライブすることです。NANIMONOはね、最初から何者かになるためにアイドルとして活動してきたのね。だから誰もが知ってる武道館のステージで自分たちの力でライブができたら、その時に初めて自信持って、自分が何者なのかしゃべれると思ってるの。だから、今日はここで大きい声で言わせてほしいことがあります。インキャだって、夢を諦めなかったら叶うんだぞって。ここからのNANIMONOがそれを絶対に証明して見せます。だからこれからのNANIMONOに期待してくださいっ！　今日は、私たちに会いに来てくれて、本当にありがとうございました！　NANIMONO、オレンジ色担当、リーダー、ひなたゆま！！”

そう高らかに声を張ると、大きく温かい拍手が会場を包み込んだ。

“私たちの魔法はこれで解けてしまいました。何ごとにも必ず終わりは来てしまいます。でも、魔法が解けたからといって、それが全部嘘だったわけじゃなくて。みんなと出会ったこと、みんなと見てきた景色は本物であって、私たちはそんな大切なキラキラの想い出を抱えて、今日まで歩いてきたから、NANIMONOが終わったあと、何十年後になるかもしれないけど、そんな時に今日のことを思い出して、綺麗な景色が見れてすごく幸せだなって、きっと思える。私たちは将来、いろんなことを思い出して、幸せな気持ちになりたいから、今という時間を、今日という日を、この一瞬一瞬を、全力でNANIMONOと一緒に生きてくれたら嬉しいです”

りんかの言葉に導かれるように、最後の最後に送られたのは「After CInDErella」。ライブでは初披露となるアルバムの最後の曲を丁寧に、“7人”の魔法少女の物語を締めくくるように可憐に歌い踊った。

NANIMONOの起爆剤でありフックでもあるヲユタ、自由闊達ながらもグループの核であるぷりん、クールな素振りながらも内面は蒼い炎を燃やすミフユ、見る者をどこか惑わしてくるりんか、天真爛漫ながら惹き込むパワーがすさまじいねる、そんな個性の強いメンバーを健気で実直に引っ張っていくゆま。誰がどう見てもNANIMONOは“キラキラ”を放つ、正真正銘のアイドルである。

“私たちは夢に向かって走り続けます。まだまだ足りないこともたくさんあるけど、もっともっと頑張るし、もっともっと強くなるから、一緒に最後までついて来てくれたら嬉しいです。みんなついて来てくれますかーっ!?”

最後の最後、ゆまの問いかけに応えるTAKARAMONOたちの声は大きく、夢に向かってどこまでもこだました。

6人が創るNANIMONOの物語は始まったばかりだ。

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