香野子、私の新章のタイトルは「ラブの追求」

香野子、私の新章のタイトルは「ラブの追求」

香野子、私の新章のタイトルは「ラブの追求」「new chapter -私の新章-」第4回:香野子

表現者として新たな活動に臨んでいる人物の現在地に迫るインタビュー連載「new chapter -私の新章-」。

第4回目に登場したのは、シンガーソングライターの香野子。アイドルグループ・鶯籠を経て、現在はソロアーティストとして精力的に活動している彼女は、これからどのような作品を生み出していこうと考えているのか。

香野子が、これまでの活動と表現者としての新章への想いを語る。

編集協力:竹内伸一

メンバー全員、自分の中の憎悪とすごく向き合って活動していた

――これまでのキャリアの中で、鶯籠での活動は大きなウェートを占めているかと思うんですが、そこで学んだことで今の活動に活きていることは何ですか?

香野子:
歌に関する情緒の部分ですね。鶯籠ってほかのアイドルとは異質で、人間の生の気持ち悪い部分だったり、内側から出てくる感情……憎悪だったり愛憎だったりをテーマにした歌が多くて。そういうアイドルさんってほかにいないですよね(笑)。ホントにオリジナリティがあったと思うし、メンバー全員、自分の中の憎悪とすごく向き合って活動していたんです。アイドルってある意味人間らしくないというか、ちょっと隔離された世界だと思うんですけど、そういう世界の中で負の部分も含めて人間らしい感情を吐露するグループだったので、そういう部分は今にも通じているんじゃないかと思います。

――鶯籠はステージ上で自由というか、その時の感情をリアルに表現しているグループという印象がありました。そういう表現活動を続けてきたことが、現在に通じているんですね。

香野子:
活きていると思いますね。やっぱり、自分の感情に忠実であることが、今曲を作る上でも大切というか、当時の自分と自問自答しているような部分もあって。曲を作る時には冷静にならなくちゃいけない部分もあるんですけど……自分を客観視することで、今の自分の感情はどういうものなんだろう、その自分の感情にはどういう名前がつくんだろうといったことが見えてきたりして、それが歌詞に反映されたりするんです。ただ、それをパフォーマンスするとなった時に、あんまり客観視した自分で歌っちゃうと伝わらないこともあって。鶯籠の時は、感情を爆発させて歌っていたんですよ。深いことを考えていなかったわけではないんですけど、その時その時の感情……リアルな感情を大事に歌っていたので、そこは当時の自分に教わっているような気がします。そういう部分は、ちゃんと残しておきたいなって思いますね。

――人によっては、過去の自分を否定することもあると思うんですけど、香野子さんは、それはないですか?

香野子:
どうなんだろう。やっぱり、自分が全部歌詞を書いていたわけではないので、自分の世界観とは少し違いますよね。「凸凹(いびつ)」という曲は、自分で書いたんですけど、今考えると“何か違うな”って思う部分がすごくあって。当時、鶯籠というグループの渦中にいて、やっぱり大変なことだらけだったんですよ。メンバーは性格もバラバラだったし、私を含めてヤバいやつ……個性的なやつしかいなかったんで(笑)。そういうグループで、その場その場で誰かが統率を取ったり、誰かがまとめ役になって1つのことを達成しなきゃいけなかったり、協調性を持ってやっていかなきゃいけなかったりして、抑圧される部分もあったように思うんです。それがあったからこそ引き出されたものもあるんですけど、その抑圧されていた部分に関しては、“今はそうじゃないよ、自分をもっと出していいよ”みたいなことを言い聞かせるようにして曲を作っている部分はありますね。ただ、統率を取ってやっていた部分にも、すごく学ぶべきところがあると思うんです。だから、否定する部分というか、今は違うと思う部分もありつつ、当時やっていたことをもう1度自分の中で学び直そうみたいな感覚もあるという感じですかね。そうですね、今の自分そのままじゃいけないみたいな気持ちは多少なりともありますね。

――グループの中の1人というのも難しい部分だったのはないですか? グループでは、メンバーとして周囲と調和を保ちつつ、個性も出していく必要がありますよね。

香野子:
そうですね。1人になって、そこに関しては悩むことがなくなったので、けっこう楽にはなりました。1つ肩の荷がおりましたね(笑)。鶯籠は、メンバーの声質が本当にバラバラで、でも、1つの曲には必ずストーリーがあって、文脈がありますよね。それを歌い継いでいく時に、声が変わった瞬間に違う物語のように聴こえちゃったり、違う歌を歌っているように聴こえちゃったりして、歌いつなぐ大変さは感じていました。メンバーのパートの文末をちゃんと拾って自分のパートにつなげることは意識してやっていましたね。ライブが終わったあとにいつも反省会をしてて、そこがウマくいかないと、“あそこはもっとしっかり歌うべきだね”みたいな話を毎回やっていました。今は、自分の歌い方が100%正解になるので、どう伝えようか、どういう歌い方をするとみんなに伝わるのかっていうことだけに集中できるので、歌うという部分だけで言えば、やりやすくはなったかなと思います。

――自分のやり方でできる反面、責任もかなり大きくなったのでは?

香野子:
そうなんですよ。でも、どんと来いですね、そのくらいは。

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