NANIMONO[ライブレポート]満員のTDCホールで光輝く希望を魅せた7人の魔法少女「ここにいるみんなと7人と武道館に行くって絶対に約束します」

NANIMONO[ライブレポート]満員のTDCホールで光輝く希望を魅せた7人の魔法少女「ここにいるみんなと7人と武道館に行くって絶対に約束します」

NANIMONO[ライブレポート]満員のTDCホールで光輝く希望を魅せた7人の魔法少女「ここにいるみんなと7人と武道館に行くって絶対に約束します」

NANIMONOが、2024年6月13日(木)にTOKYO DOME CITY HALLにてワンマンライブ<NANIMONO 2nd ANNIVERSARY ONEMAN『インキャが世界を救う★ ~なにものといっしょ~』>を開催した。

グループ自身最大キャパとなった同公演で、メンバーは強い想いを込めたステージを展開し、満員の観客と圧倒的な一体感を生み出した。

アイドルという魔法で生きづらい世の中と戦う7人の“魔法少女”が希望あふれるシーンを描き続けた同公演のレポートをお届けする。

<NANIMONO 2nd ANNIVERSARY ONEMAN『インキャが世界を救う★ ~なにものといっしょ~』>TOKYO DOME CITY HALL(2024年6月13日)

取材&文:冬将軍
ライブ撮影:PoTEC inc.

“インキャが世界が救う!「なにものといっしょ」はっじまるよーっ!!”

遊乃ヲユタの明瞭な掛け声で始まる「インキャのキャキャキャ」。軽快なリズムに乗って、ステージの7人とともにソールドアウトとなった満員の客席から7色のペンライトが揺れる。通常のライブとは異なり、ヘッドセットマイクのメンバーは両手を目一杯使ったパフォーマンスで、TAKARAMONO(NANIMONOのファンの総称)を扇動していく。

《最後は必ずインキャが勝つ》、このフレーズが力強く響き、なんとも誇らしく思えた——。

NANIMONOが、ついにTOKYO DOME CITY HALLのステージに立った。クラスの人気者がアイドルになる、そんな従来のイメージを覆し、インキャ(=陰キャ)でもアイドルになれる、そんな希望を与える7人が自身最大キャパとなる大舞台に立ったのだ。それは彼女たちの歌とメッセージが多くの若者を中心とした心に響いた結果でもある。そんな新時代を象徴するアイドル、NANIMONO の結成2周年ワンマンが、2024年6月13日(木)に開催された<NANIMONO 2nd ANNIVERSARY ONEMAN『インキャが世界を救う★ ~なにものといっしょ~』>だ。

《なにものって、なにもの?》キャッチーなフレーズのお馴染みのSEに合わせて行進しながら登場した7人。ステージには大きなLEDスクリーンと、特設された上段ステージがある。それは1周年のKT Zepp Yokohamaの時よりも巨大でスケールアップしたものだ。“バルコニー席からしか見えない景色がある”、本ライブに向けてメンバーはそう言っていた。なるほど、大きく立体的に作られたステージは、TOKYO DOME CITY HALLの縦に高くなる客席配置を考慮したものであり、実際3階席からの光景は圧巻で、上段ステージに立つ7人は近くに見えた。“誰も置いていくことはしない”というNANIMONOらしいライブ創りを感じる。

“2年前、夢も自信もなにもなかった私たちが始めたストーリーがこのNANIMONOです。インキャな私たちは何者にもなれないって言われてめちゃめちゃ悔しかったけど、今目の前にはアニメみたいな光景が広がってます。もう絶対に何者にもなれないって言わせません!!”

ひなたゆまが熱い想いを口にする。「インキャのキャキャキャ」に続くはNANIMONO流EDM「アイデンティティー」だ。私が初めてNANIMONOを観た時、この曲の振り付けをお客さんにもやってもらえるよう、必死に教えていたことをよく覚えている。持ち時間が20〜25分しかない対バンイベントで10分くらいかけて振り付け講座をやっていたのだ。とはいえ、多くの客はNANIMONOの存在を知らず、振り付けをやっている者はほとんどいなかった。しかしながら彼女たちはめげることなく毎回の対バンで振り付け講座をやり続けていた。気づけば、それをせずとも《右向け右 前ならえ!》と統率されたフロアが当たり前の光景になっていった。そして今、TDCホールを埋め尽くした大勢のTAKARAMONOが、《おとなりさんと ハイタッチ!》している。ドロップでは、ステージ中央部にせり出した花道へと移動した7人とともに皆が跳ね、《せーのでぷっちん、ぷりん!》で始まるお馴染みの自己紹介フレーズを大号令。小さな身体を誰よりも大きく動かし、屈託のない笑顔を見せる眠岸ぷりんも、すらっとした長い四肢でクールに魅せる柊真ミフユも、見た目も性格もバラバラの7人がステージに立つ、多くの観客を惹きつけている。まさに《これが私の アイデンティティ!》だ。

眠岸ぷりん<NANIMONO 2nd ANNIVERSARY ONEMAN『インキャが世界を救う★ ~なにものといっしょ~』>TOKYO DOME CITY HALL(2024年6月13日)
ポスト
眠岸ぷりん<NANIMONO 2nd ANNIVERSARY ONEMAN『インキャが世界を救う★ ~なにものといっしょ~』>TOKYO DOME CITY HALL(2024年6月13日)
柊真ミフユ<NANIMONO 2nd ANNIVERSARY ONEMAN『インキャが世界を救う★ ~なにものといっしょ~』>TOKYO DOME CITY HALL(2024年6月13日)
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柊真ミフユ<NANIMONO 2nd ANNIVERSARY ONEMAN『インキャが世界を救う★ ~なにものといっしょ~』>TOKYO DOME CITY HALL(2024年6月13日)

上段ステージに構えた、公式キャラクター・なにモンを交えての自己紹介。流暢に語る、なにモンのアドリブ(?)の振りに対し、あからさまに返答に困る7人のインキャっぷりが会場の笑いを誘う。堂々としたパフォーマンスとは裏腹に、そうした素の姿勢も彼女たちが多くの人から愛される要因だろう。

挫折してばかりでウマくいかないメンバーが集まっていると、ヲユタが語る。たくさんのつらいことも楽しいことも一緒に過ごしてきた7人は、家族と同じくらい大切な宝物になれたと。“昔は独りで見に行った海。今ではこんなに素敵な6人のお姉ちゃんたちと、こんなにキラキラに染められて、ホントに幸せだよ”、そう続けた末っ子の彼女の言葉に折り重なるよう、波の音が響いた。スクリーンも照明も青く染まると、「JELLY FISH」を歌い出す。小気味よいギターのカッティングと流麗なピアノの旋律が絡み合う中で、映し出された“JELLY FISH=クラゲ”とともに、会場はまるで海中のような情景となり、7人はたゆたうように舞い踊った。

遊乃ヲユタ<NANIMONO 2nd ANNIVERSARY ONEMAN『インキャが世界を救う★ ~なにものといっしょ~』>TOKYO DOME CITY HALL(2024年6月13日)
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遊乃ヲユタ<NANIMONO 2nd ANNIVERSARY ONEMAN『インキャが世界を救う★ ~なにものといっしょ~』>TOKYO DOME CITY HALL(2024年6月13日)
47774<NANIMONO 2nd ANNIVERSARY ONEMAN『インキャが世界を救う★ ~なにものといっしょ~』>TOKYO DOME CITY HALL(2024年6月13日)
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47774<NANIMONO 2nd ANNIVERSARY ONEMAN『インキャが世界を救う★ ~なにものといっしょ~』>TOKYO DOME CITY HALL(2024年6月13日)

JELLY FISHみたいに“夏の夜に溶けた”7人は「ケンタウロスの夜」を続ける。夜空のような光景が広がる客席を見渡しながら、“手振れるー? もっともっとみんなのキラキラを私たちに見せて!”と、ゆまが叫んだ。その声に呼応して客席からの7色のペンライトが煌めくように揺れ、会場は柔らかな光によって優しく照らされる。こうした景色もNANIMONOのライブならではのものであるだろう。

突如降り出した雨に、オーロラ傘を手にして低気圧に立ち向かう「TEIKIATSU」、《足りないないない何もない》と呪文のように言葉が転がる「404」と続いた。上段ステージを巧みに使い立体的に魅せていくステージングは、この日のゆまの言葉を借りれば、初期の“お遊戯会”的なものとは比べられないほどの完成度だ。しなやかさの中にキレを感じる紫苑りんかの迸る躍動感と、独特の倍音を響かせる47774の歌声が交錯する。そして、2次元をも巻き込んでいくような輪廻ねるの凛とした存在は、1周年の時に彼女がいなかったことなど忘れてしまうものであり、この7人で2年間を活動してきたと思えるほどの圧巻のパフォーマンスである。

ひなたゆま<NANIMONO 2nd ANNIVERSARY ONEMAN『インキャが世界を救う★ ~なにものといっしょ~』>TOKYO DOME CITY HALL(2024年6月13日)
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ひなたゆま<NANIMONO 2nd ANNIVERSARY ONEMAN『インキャが世界を救う★ ~なにものといっしょ~』>TOKYO DOME CITY HALL(2024年6月13日)
紫苑りんか<NANIMONO 2nd ANNIVERSARY ONEMAN『インキャが世界を救う★ ~なにものといっしょ~』>TOKYO DOME CITY HALL(2024年6月13日)
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紫苑りんか<NANIMONO 2nd ANNIVERSARY ONEMAN『インキャが世界を救う★ ~なにものといっしょ~』>TOKYO DOME CITY HALL(2024年6月13日)
輪廻ねる<NANIMONO 2nd ANNIVERSARY ONEMAN『インキャが世界を救う★ ~なにものといっしょ~』>TOKYO DOME CITY HALL(2024年6月13日)
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輪廻ねる<NANIMONO 2nd ANNIVERSARY ONEMAN『インキャが世界を救う★ ~なにものといっしょ~』>TOKYO DOME CITY HALL(2024年6月13日)

“フハハハハハ! 相変わらずネガティヴな小娘ども!”

突如、響き渡る高笑い。NANIMONOが抱いていたつらい気持ちが、ここTDCホールに集まって生まれたというネガティヴの化身・つらたんが現れた。全身水玉模様に覆われた怪しい3人組は“努力も我慢もしたくない、そんな気持ちをあるがままに受け入れるのだ”と、世の中を陥れようとする。

“つらい気持ちにそのまま染まってしまうがいい! 世界は我々つらたんのものになるのだ!“

世界はこのまま、つらたんの手によってツライキモチに染め上げられてしまうのだろうか……!?

そう思っていると、スクリーンにはなにモンの姿に変えられたNANIMONOが……。自己肯定感が下がり、ツライキモチに飲まれて閉じ込められたというアニメーションが始まる。魔法を使えば、キラキラとしたアイドルになれると気づいた彼女たち。なにモンの助けによって、“インターネットエンジェル・NANIMONO”に変身っ!と、ヒロインアクションアニメを彷彿させる展開へ。

舞台はスクリーンの2次元世界から現実の3次元へ戻る。マント姿のメンバーが1人ひとり、花道に設けられた魔法陣の上で、魔法少女に変身していく。ライブでは初披露となる新衣装姿のメンバーを眼前に、湧き上がるTAKARAMONO。高まる熱は大きなクラップへと変わり、後半は「未確認生物」で新たな物語が始まった。2階ステージを作っていた黒い幕が取り払われると、組まれたトラスの中に3つの真っ白なインターネット部屋が現れた。光るPCにゲーミングチェア、ネオンライト風のLEDライトまで、細かに作られた可愛らしいヲタク部屋で優雅に過ごしながら7人はパフォーマンスを展開していく。

<NANIMONO 2nd ANNIVERSARY ONEMAN『インキャが世界を救う★ ~なにものといっしょ~』>TOKYO DOME CITY HALL(2024年6月13日)
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<NANIMONO 2nd ANNIVERSARY ONEMAN『インキャが世界を救う★ ~なにものといっしょ~』>TOKYO DOME CITY HALL(2024年6月13日)

魔法少女となったNANIMONOが改めて自己紹介。明らかにこれまでよりも自信に満ち溢れた表情を見せる彼女たちは「顔面コンプ期」を歌う。《あの子の顔になりたい》と、多くの者が1度は思ったことがあるだろうコンプレックスをキュートに歌う。現代における若者の代弁者としての、新しいアイドルの存在がここにある。

ぐいぐい上がっていく会場のボルテージは「どーぱみん!」が始まると一気に爆発。MIXとコールが乱れ咲く。そうしたTAKARAMONOの熱を受けて、ステージの7人はさらに熱を帯びていく、そんな彼女たちを観てTAKARAMONOは……というハッピーのスパイラル。そして「インキャ・オブ・ファイヤー」が投下され、アッパーなダンスチューンが会場を揺らす。《辛い時 助け合えばいいじゃん》と、割れんばかりの声援を魔力に変え、会場が1つになって、つらたんに立ち向かう。

<NANIMONO 2nd ANNIVERSARY ONEMAN『インキャが世界を救う★ ~なにものといっしょ~』>TOKYO DOME CITY HALL(2024年6月13日)
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<NANIMONO 2nd ANNIVERSARY ONEMAN『インキャが世界を救う★ ~なにものといっしょ~』>TOKYO DOME CITY HALL(2024年6月13日)

“みんなの協力のおかげでつらたんを倒せたよー!!”

嬉しそうな7人は、“あの頃、魔法少女になれなかった私たちへ——”と新曲「INTERNET MAGICAL GIRL」を披露した。“みんなの夢、ゆまたちが叶えてあげるから”と、ゆまが声高に叫ぶ。魔法のステッキを片手に7人の魔法少女は、魔法少女になれなかった過去の自分たちに向けるように歌い、満員の客席を満足げに眺めながら踊った。

“みんなのキラキラ、もっと私たちにちょうだい”、ゆまの言葉に誘われるよう、客席のペンライトは一段と高く上がった。本編ラストに送られた「KIRA KIRA」。その光は、希望でもあり夢でもある。

《なんにもなくても どうでもいいね キミといれたら》

くり返されるそのフレーズが、NANIMONOとTAKARAMONO、お互いの関係性を歌い合っていることは言うまでもないだろう。

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