来栖りん［ライブレポート］声優アーティストとして多彩な表現を届けて、会場を多幸感で包み込んだ1stワンマンライブ

ライブ撮影：川畑淳平

10月28日（土）東京・山野ホールにて昼夜2公演で開催された同公演。開場前の会場周辺には、すでに1stライブを待ちきれんと言わんばかりに多くのファンが集まっていた。　

開演間近、来栖りんのアーティストカラーでもある青色のペンライトが徐々に会場に広がる。そして、開演時間14:30になると、ライブのオープニングムービーがスタート。今回のライブのグッズでもあるアクリルスタンドを使用し、来栖りんがその動きに合わせてアテレコする人形劇ならぬ＜アクスタ劇＞が始まると、その可愛らしい演出やコミカルなセリフの言い回しに会場全体が笑顔に包まれる。

和やかな空気の中、銀色のサテン幕とさまざまな大きさの風船で彩られたステージから、フリルがあしらわれたデザインのキュートな水色の衣装を纏った来栖が登場すると、会場の熱が一気に上がる。1曲目は9月27日に発売した1stミニアルバム『Happy Lucky Diary』のリードトラックでもある「ハピ♡ラキ」。制服姿が話題となったMVを背負いながら、ステージでダンスがシンクロする姿がとても印象的であった。

続いて、まだ見ぬ未来への不安と期待を謳った楽曲「くるーず！」。声優アーティストとして新たなステージに挑戦し、進んでいく来栖りんの強い意志が感じられるパフォーマンスを魅せた。

MCでは、“今日は＜来栖りん1st Live『Happy Lucky Party』＞にお集まりいただいてありがとうございます！”と元気よく会場に挨拶。“こうやってワンマンライブを開催して、みんなとこうやって目を合わせて直接時間を共有して音楽を楽しめること、本当に嬉しく嬉しく思います。”とライブを開催できる喜びや、会場に集まったファンへ感謝の気持ちを語った後、次に披露する楽曲「Get you ×2」にあるコール部分をぜひ一緒にしてほしいという来栖の希望から、観客と一緒にコール＆レスポンスの練習がスタート。元気よくタイトルコールをし、「Get you ×2」へ。練習の成果もあり、大きなコールが客席に響いた。続く「臆病シャイガール」はイントロが流れると、同曲ではプレミア席限定で写真・動画撮影がOKであることを伝える。過去出演した音楽イベントでも多数披露してきたカップリングの中でも人気な楽曲で、サビの《臆病シャイガール》という歌詞に合わせてコールするファンや、振り付けを一緒に踊るファンなど、さまざまな楽しみ方で会場はさらに熱気を増す。

その勢いのまま「Hop Step Jump☆ウィンク」へ。最後のサビ《トキメキがある方へ進め》という歌詞の部分では来栖りんが“進むぞよ〜！”と楽曲の歌詞にもある“ぞよ”を引用して叫ぶと、客席からは大歓声が巻き起こった。

そしてお待ちかねのカバー曲のコーナーへ。このコーナーでは来栖が愛してやまないアニメソングのカバーを披露。1曲目はテレビ朝日公式YouTubeチャンネル『動画、はじめてみました』のアニソン番組『オーイシマサヨシ×鈴木愛理のアニソン神曲カバーでしょdeショー!!』でもカバーし話題を呼んだ、花澤香菜「恋愛サーキュレーション」。披露曲を発表すると、客席からは喜びのあまり歓声や拍手が起きる。続いてTVアニメ『偽物語』のオープニングテーマ「白金ディスコ」、TVアニメ『涼宮ハルヒの憂鬱』エンディングテーマ「ハレ晴レユカイ」と人気アニメ主題歌をパフォーマンス。ここでしか聴くことのできないアニメソングカバーの数々を堂々と歌い上げる姿に声優アーティストとして飛躍していく未来を感じた。

ライブも後半に差し掛かり、切なくも温かいピアノの音色と波の音が流れると、会場が静寂に包まれる。スポットライトに照らされた来栖が儚げな表情でゆっくりと朗読を始めた。とある島の海辺で少女と少年が出会う詩となっており、その中で“君に、出会えて、ほんと良かった”と優しく読み上げた台詞は、まるで今日ライブを観に来たファンへ語りかけるようだった。そして、1st アルバム収録曲であり、観客の前では初披露となった「クアーフの海」へ。光が差し込む海の映像の中で、来栖りんの語りかけるように歌う声が合わさり感動的なシーンを魅せる。ペンライトがまるで静かな海のようにゆらゆらと揺れ、美しい海の中にいるような感覚を覚えた。余韻に浸る間もなく始まったのは和風ロックの激しいナンバー「境界 Identity」。クールな表情やキレのあるダンスパフォーマンスで会場を沸かせる。

MCではカバー曲披露の感想や「クアーフの海」をファンの前で初披露できた嬉しさを語りながら、“MC中にも明るい照明の中で、衣装とか撮ってほしいな！”と撮影タイムが設けられた。“やってほしいポーズなどありますか？”など、ファンとコミュニケーションを取りながら客席に可愛らしい笑顔を見せる来栖りん。盛り上がりをみせた撮影タイムのあと、 “私にとって大事な楽曲です。みんなにとっても大事な1曲になっていたらいいなと思いながら気持ちを込めて歌います”と述べて、メジャーソロデビュー曲であり、TVアニメ『神無き世界のカミサマ活動』OPテーマとして初のアニメタイアップ楽曲となった「I wish」をアクト。抜群の透明感と溢れる笑顔でくるくると踊る様子はまるで天使のようだった。

“次の曲で残り2曲となります！　最後まで一緒に盛り上がっていきましょう！”と、ラスト2曲では頑張る人たちへの応援歌「はじまりはいつも」を披露。楽しそうに拳を高く上げたり、手を振ったりしながら会場をまわりながら“歌おう、一緒に！”と、来栖が叫ぶとボルテージは最高潮に。

最後の楽曲は「ばいばい、」。《目を合わせ歌いたい この喜び》《笑顔になって 目一杯に 手を振るよ ばいばい、》という歌詞は、来栖りんがこの日のライブに来てくれたファンに対する想いとリンクしているかのようで思わず涙を誘う。 “来栖りんでした！　ありがとうございました！”と大きな声で感謝の気持ちを告げながら名残惜しそうに客席に手を振り、本編は終了した。

冷めない熱気が会場を包む中、オープニングムービーでも流れた＜アククスタ劇＞の様子が映し出される。“アンコールの声が大きければステージに戻ってくることを誓います！”とアクリルスタンドの来栖りんが呼びかけると、さらに拍手とアンコールの声が大きくなっていき、再びステージに来栖りんが登場。

ライブTシャツをアレンジした衣装でタオルを回しながら“なんとここで新曲を披露したいと思います！”と元気よく告げると、思わぬサプライズに喜びの歓声が上がる。“夏にするぞー！”と披露された夏らしさ全開のエネルギッシュな新曲「SUMMER JOY」。来栖りんの動きに合わせ頭上でタオルを回す光景が山野ホールに広がった。

アンコールラストの曲は、青春ナンバーでもあり、本編の1曲目にも披露した「ハピ♡ラキ」。ステージを縦横無尽に駆け回り、1人ひとりと目を合わせながらいっぱいの笑顔を見せる来栖りん。“大好きだよ！”と溢れ出る気持ちを伝えると、会場中から興奮の声が上がる。“みんなの毎日がHAPPYでLUCKYになりますように、また会おうね！”とライブタイトルとおり、まさに多幸感が溢れる中ライブの幕は閉じられた。

来栖りんが、これからも笑顔溢れる幸せな空間を作り上げることを確信させてくれた1stライブ。声優・アーティストとしてさらに大きな一歩を踏み出した彼女の2ndライブがすでに待ち遠しい。