AKB48［ライブレポート］柏木由紀 卒業発表。多彩なセットリストでグループの歴史を振り返った武道館コンサート初日公演

9月27日（水）に発売したAKB48 62ndシングル「アイドルなんかじゃなかったら」の発売を記念して、10月20日（金）〜10月22日（日）の3日間にわたり日本武道館にて開催する＜MXまつり AKB48 62ndシングル「アイドルなんかじゃなかったら」発売記念コンサート＞。その1日目となる＜古参も新規も大集合！なんでもありのAKBでっせスペシャル＞は、「AKB参上！」で華々しく開幕。オープニングでは「スカート、ひらり」「BINGO!」など2005年〜2007年のAKB48初期を代表する楽曲4曲を披露した。

冒頭のMCでは「アイドルなんかじゃなかったら」でセンターを務める小栗有以が“約1年ぶりに日本武道館に帰ってきましたー！”と元気いっぱいに挨拶。向井地美音とともに1日目のセットリストを中心となって考えたAKB48歴17年の柏木由紀は“みんなの大好きなAKB48を存分に詰め込みました！”と期待感を高めた。

続くパートでは、AKB48の歴代ユニット曲10曲をメドレーでパフォーマンス。高橋みなみ・小嶋陽菜・峯岸みなみによるユニット『ノースリーブス』のデビュー曲「Relax！」を岡部麟・小田えりな・向井地、『フレンチ・キス』の楽曲「If」はオリジナルメンバーの柏木と下尾みう・水島美結で歌唱。艶やかな表情でファンを釘付けにした。

2017年に当時の研究生メンバーから選抜され結成した『てんとうむChu!』の代表曲「君だけにChu ! Chu ! Chu !」は、秋山由奈・山口結愛ら現研究生メンバーで披露。フレッシュさと可愛らしさ全開のパフォーマンスを届けるなど、歴代ユニットを現役メンバーで再現したステージで会場を沸かせた。

中盤には、2010年に放送を開始したドラマ『マジすか学園』と野菜ジュースのCMキャラクターを務めた『野菜シスターズ』を現在のメンバーでリメイク。『マジすか学園』のスピンオフソング「マジジョテッペンブルース」と主題歌「マジスカロックンロール」を歌唱し、同ドラマに出演していたなちゅ（元SDN48メンバー）もステージに登場。思わぬサプライズゲストに会場もどよめいた。さらに18期研究生 新井彩永をセンターに、野菜に扮したメンバーが「野菜シスターズ」をパフォーマンス。“エモさ”溢れるステージでファンを熱狂させた。

ここで＜じゃんけん大会2023＞のコーナーへ。かつて日本武道館でくり広げられたイベント＜じゃんけん大会＞が今夜限りで復活。事前に開催した＜じゃんけん大会＞で決勝に進出した岩立沙穂・齋藤陽菜が入場し、＜じゃんけん大会＞でお馴染みのイジリー岡田がレフリーを務める中、ファンの前で決勝戦を実施。見事勝利した岩立をセンターに上位16名で＜じゃんけん大会＞から生まれた楽曲「チャンスの順番」をパフォーマンス。強運でセンターを勝ち取った岩立は“ここ武道館ですよ！　夢のような景色でした！”と歓喜し、大きな盛り上がりを見せた。

バラエティ豊かな企画はまだまだ続き、AKB48の歴史の中のさまざまな“1位”を振り返るパートに突入。2009年に初めてオリコンウィークリーチャート1位を獲得した「RIVER」や、2011年に日本レコード大賞で大賞を受賞した「フライングゲット」、2019年のリクエストアワーで1位を獲得した、今年4月に活動を休止したチーム8の楽曲「47の素敵な街へ」など、ファンの記憶にも深く残る5曲を届けた。

終盤には、ファンへのアンケートから選出したAKB48の歴史の中で“印象的だった出来事”にもとづく楽曲6曲を披露。「心のプラカード」では、2014年の＜NHK紅白歌合戦＞で失敗してしまったプラカード出しに全員で挑戦したが、今回も残念ながら失敗となり会場は笑いに包まれた。「ハロウィン・ナイト」では、2015年に高橋みなみが歌番組の生放送で同曲を歌唱した際に、檻を使った大掛かりなマジックに挑戦するも大失敗したというエピソードをもとに、3代目AKB48グループ総監督の向井地がマジックに再チャレンジ。しかし、向井地が登場するはずの檻から出てきたのは、高橋みなみ本人。何も知らされていなかったメンバーも思わず大絶叫し、豪華なサプライズ演出に会場はこの日1番の歓声に包まれた。

本編もいよいよクライマックスへ。本編最後の曲に入る前に、柏木は“AKB48が重ねてきた歴史が私たちにとっても宝物ですし、これからも大切にしていきたいです”とコンサートを振り返った。そして“今のAKB48、これからのAKB48をもっと好きになってほしいと思いますし、それと同時にみんなにこれからのAKB48を引っ張っていって、グループを大きくしていってほしいなと改めて思いました。なので……”と一呼吸を置くと“私、柏木由紀はAKB48を卒業しようと思います”と発表。突然の卒業発表にファンだけではなくメンバーも騒然となり、あちこちから悲鳴にも近い声が上がった。柏木は“やっと卒業する決心がつきました。AKB48の一員でいる毎日があまりにも楽しくて、気がついたら随分長いこと、後輩とか慕ってくれるメンバーとかファンのみなさんにも甘えてきてしまったなというのが素直な気持ちです。今まで同期も先輩も後輩も卒業していくことが多くて、それを見送るたびに「私、どうしようかな、寂しいな不安だな」と何度も何度も思っていたんですけど、今は後輩のことをすごく頼りにしている自分がいて、みんながチームメイトと呼べる存在になってきていると思います。だからこそ、みんなにこれからのAKB48をもっと引っ張ってほしいし、誰に遠慮することなく、これからのAKB48を思う存分楽しんで、みんなに創っていってもらいたいなと思います。そして、そんなみんなに卒業を見届けてもらえたらホントに幸せだなと思って、このタイミングで卒業を決めました。卒業コンサートを3月16日（土）にぴあアリーナMMでやらせていただくことになりました。活動は4月中までの予定となります。約半年ありますが、AKB48人生を最後まで楽しんでいきたいと思います！”と思いの丈を語ると、会場は割れんばかりの大きな拍手と“ゆきりん！”の声に包まれた。

向井地は“ゆきりんさんがいるAKB48がみんな大好きです。今のみんなに見送ってほしいと言ってもらえたことがすごく嬉しくて、この時代のAKB48で卒業を決めたということは、私たちに少しでも次を任せられると思っていただけたのかなと思います。未来の明るいAKB48を見せて安心して卒業してもらえるように頑張りたいと思います”と涙ながらに話すと、柏木も目を潤ませながら“今のAKB48がホントに1番大好きです！”と心からの愛を伝えた。2007年に15歳でAKB48 3期生として加入し17年間。最年長レジェンドアイドルとしてAKB48を常に最前線で牽引してきた大先輩の卒業発表に涙が止まらず俯くメンバーの姿もあったが、最後は全員で前を向いて「離れていても」を歌い上げ本編を締めくくった。

AKB48の歴史をたっぷりと振り返った本編を経て、アンコールでは“今のAKB48”を象徴する3曲を披露。58thシングル「根も葉もRumor」、61stシングル「どうしても君が好きだ」、60thシングル「久しぶりのリップグロス」を魂のこもった全力パフォーマンスで魅せ、伝統を受け継ぎながらも新たな輝きを放つグループの姿を示した。

小栗は“先輩方の伝統を今の私たちで再現させていただいてとても光栄だったんですけど、今の私たちがAKB48を創っていくという自信と自覚を持ってこれからのAKB48を守り継いでいきたいです！”と決意を語り、最後は最新曲「アイドルなんかじゃなかったら」を全員でアクト。AKB48の伝説・黒歴史・今のAKB48の魅力をこれ以上ないほど詰め込み、高橋みなみなどサプライズゲストの登場、そして柏木由紀の衝撃の卒業発表と、文字通り“なんでもあり”のAKB48を体現したコンサートとなった武道館1日目は大盛況のうちに幕を閉じた。

柏木由紀の卒業コンサートは、2024年3月16日（土）に神奈川県ぴあアリーナMMにて開催。翌3月17日（日）には、これからのAKB48を担う現役メンバーで＜AKB48コンサート＞昼夜2公演を実施。誰よりもAKB48を愛し、誰からも愛される“永遠のアイドル”柏木由紀の集大成、そして新たな歴史の幕開けとなるコンサートに期待したい。