マーキュロ[1万字インタビュー第5回]芥タマキが貫く表現者としての矜持「自分の好きな音楽を自分が好きな人たちとやっていきたい」

マーキュロ[1万字インタビュー第5回]芥タマキが貫く表現者としての矜持「自分の好きな音楽を自分が好きな人たちとやっていきたい」

マーキュロ[1万字インタビュー第5回]芥タマキが貫く表現者としての矜持「自分の好きな音楽を自分が好きな人たちとやっていきたい」マーキュロ 1万字インタビュー第5回:芥タマキ

耽美的で退廃的な世界観を押し出し、現在のライブアイドルシーンの中で異彩を放ちながらも、その存在感を急激に高めているマーキュロ。“絶望”を歌いながら多くのファンの心を鷲掴みにしている7人のダークヒロインの素顔に迫るため、今回、メンバーそれぞれ1万字に及ぶパーソナルインタビューを敢行。これまでの人生とマーキュロでの活動についてじっくり語ってもらった。第5回目となる本日は、芥タマキのインタビューをお届けする。

「自傷行為に対する対策」というプリントが全校に発行されて

ーー小さい頃はどんな子でしたか?

タマキ:
常識がなかったんです。年功序列とかわからなかったんですよ。幼稚園の時、先生に対して“なんでこの人は上からものを言ってるんだろう”って。

ーー先生ですからねぇ(笑)。

タマキ:
あれこれ要求してくるのに、なんで“泥団子作りたい”というこっちの要望を聞かないんだろう、同じ人間なのに……ってずっと思ってたんですよ。それが純粋に疑問だったから、グレるとかじゃなくて、みんなであれしましょうこれしましょうっていう時に勝手に抜け出したり、帰りの会みたいなときに“あれ? タマキちゃんいなくない?”みたいなことを起こしたりしてました。

ーー常識というか、協調性や社会性が欠けている(笑)。

タマキ:
そう! 世間をわかってない(笑)。

ーーそんな小さい頃に憧れていたものはなんですか?

タマキ:
小学生の時から長生きする気がなかったんで、将来のことを考えたことがない。大人になりたくなかった。やらなきゃいけないことが増えたりするのが嫌だった。だから好きなことして生きたいくらいしかなくて。でも好きなことがいっぱいあったから。

ーー何が好きだったんです?

タマキ:
表現することが好き。作品作り。描いたり、歌ったり。ヒップホップのダンスも習っていて踊りも好きだし、地味に書道も好きで習ってないんですけど、習ってる人を押し退けて金賞取ったりとかするくらい。習い事はピアノと、トランポリンと水泳と、アトリエやってたりとか。あとチアリーディング。

ーーすごい……。

タマキ:
親が何でもやらせてくれたんですよ。頭がよくなかったから、手に職つけろって、ずっと言われて生きてきたんですよね。

ーー活発だったんですか?

タマキ:
いや、習い事以外はずっとゲームしかしてなかった。友達と外に遊びに行くことは一切ない。家ですることが好きです。裁縫もやり方知らないのに急に思い立って何も見ないでミシン使ったり、押し花を勝手にやり始めてしおりを作ったりとか。

ーー芸術家肌だ。友達付き合いはどうでした?

タマキ:
幼稚園からの幼馴染がいて、その子しか好きじゃなかったんです。自分の輪の中に受け入れた人間だけを一生贔屓する。幼馴染とは今でも仲いいし、自分の輪の中に入ったら、何でも許すし何でもしてあげるけど、入るまではしゃべらない、信用しないんです。話しかけてきてくれる子はけっこういたんですけど、自分が信用してないから。

ーーそれはなぜ?

タマキ:
例えば、教室にピアノが置いてあるけど誰も弾いていない。そこから最初に“やりたい”っていう人はあんまりいないじゃないですか。でも自分は気にしてなかったから、先生に“弾いていいですか?”って、訊いて弾くんです。そうすると“あれ弾いて”“これ弾いて”と絡んでくる子たちがいっぱい出てくる。絵を描いてたら“何か描いてよ”とか。今考えれば話をするきっかけなんだろうけど、勝手に要求してくる人たちっていう認識で、自分のことが好きなんじゃなくて、自分のやってる行為に興味があるだけなんだろうなという認識になっちゃって。そういうことを言ってこない幼馴染以外シャットダウンしてました、ずっと。先生も信用してなかった。スパイさせられてたんですよ。

ーースパイ?

タマキ:
周りをよく見てるから、っていう理由らしいんですけど。給食の時間、職員室に1人呼ばれて“最近あの子とあの子が喧嘩してるけど、どうしたの?”とか、“あっちの子は最近どんな感じ?”とか、事情聴取みたいな。もう誰も信用ならねえと思ってました。

ーータマキさんに人を惹きつける力と冷静な分析能力があったからこそ、先生は信頼していたんでしょうね。

タマキ:
小学生の頃、だいぶ早い段階でスマートフォンを手に入れて。ネットでやり取りする人、全員が大人だったんですよね。20歳以上の人ばかりとしゃべってた。それで“病んだら、リストカットする”みたいな話を大人たちがしていて。自分も誰も信用してないのが嫌になって、大人がやってるから、切ったら楽になるんだと思って、自分も切ったりしてたんです。それを隠してなかった。大人はみんなやってるから、くらいの気持ちだったんです。そしたら学校のちょっとハミ出した子たちが“リストカットって何? カッコいい!”みたいになっちゃって。周りで切る子が続出しちゃったんですよ。それで「自傷行為に対する対策」というプリントが全校に発行されて。真似してほしかったわけじゃないのに、自分が主犯として校長室に呼び出されて怒られました。“あなたが流行らせたんでしょう”って、違うし!

ーーそのやり取りしていた大人というのは、趣味的なもので集まるネットコミュニティみたいなものですか?

タマキ:
はい、アニメや漫画とかの趣味のコミュニティでした。会ったことのない大人とずっとLINEしてました。その頃、知り合いはメールで、LINEはSNSみたいな扱いされてた時期だったんですよね。小3、4だったし、周りは誰もやってない。アメーバピグみたいな軽いノリでTwitter上にLINE貼って交換して、みたいな。

次ページ

  • 1
  • トップページ
  • インタビュー
  • マーキュロ[1万字インタビュー第5回]芥タマキが貫く表現者としての矜持「自分の好きな音楽を自分が好きな人たちとやっていきたい」