地下アイドル? ライブアイドル? せめぎ合うグループアイドルシーンの現在とこれから|「偶像音楽 斯斯然然」第112回

地下アイドル? ライブアイドル? せめぎ合うグループアイドルシーンの現在とこれから|「偶像音楽 斯斯然然」第112回

地下アイドル? ライブアイドル? せめぎ合うグループアイドルシーンの現在とこれから|「偶像音楽 斯斯然然」第112回

今回は、“地下アイドル”という言葉の捉え方の変化を皮切りに、グループアイドルの現在とこれからについて分析。自由度が高いライブアイドルだからこそ形成される昨今のアイドルカルチャーの独自性を紐解く。

『偶像音楽 斯斯然然』
これはロックバンドの制作&マネジメントを長年経験してきた人間が、ロック視点でアイドルの音楽を好き勝手に語る、ロック好きによるロック好きのためのアイドル深読みコラム連載である(隔週金曜日更新)。

アイドルの取材をしている中で、本人自らが“地下アイドル”と名乗ることはごく当たり前になっている。数年前までは蔑称とまでいかなくとも、あまりいいイメージではなかった“地下アイドル”呼称だが、現在では標準的な言葉になりつつある。それは地下アイドルという定義的な意味での汎用性が広がったことでもあるし、“ヲタク”という言葉同様に偏見を逆手に取った使われ方でもあるだろう。個人的には現在のグループアイドルシーンを象徴するような言葉であるとも感じている。

少なからず数年前の地下アイドルといえば、自分たちの楽曲はなく、カバー曲で振り付けは自分たちで考え、衣装はTシャツにパニエ、もしくは自作といった、お世辞にも恵まれたとはいえない環境で活動するアイドルのことをおもに指していた。であるから、大手事務所の所属ではなくとも、オリジナル曲で勝負している、ある程度の動員力のあるアイドルたちは、地下アイドルと呼ばれることに抵抗感を持っていたものである。であるから、そういったグループアイドルのことをいつしか“ライブアイドル”と呼ぶようになっていった。

ロックバンドの世界では“ライブバンド”は褒め言葉だ。80年代バンドブームや90年代のタイアップ市場といった、流行やメディア主導の商業的なものに乗らず、硬派にライブ活動を貫いていたバンドなど、とにかくライブに生きているバンドを指す言葉である。そのノリで考えると、ライブアイドルという呼称には若干の違和感があったりもする。メインストリームとは別のシーンという意味では“インディーアイドル”と呼ぶべきなのだろうが、そもそも日本では“インディーロック”という呼称も定着していない。インディーロックとは、おもに欧米でメインストリームの流行にとらわれていない独自のロックを指し、メジャーとインディーズというカテゴリ分けではなく、90年代のオルタナティヴロックの隆盛以降に支持されてきたものである。日本においてはその昔“ロキノン系”、近年では“邦ロック”などと呼ばれているもののインディーロックと同等の立ち位置であると考える。

多様化するライブアイドルの現在

ここ2〜3年のうちにデビューしたグループアイドルはライトな感覚で、自分たちのことを地下アイドルと呼び、それより以前、キャリアが長いアイドルであればあるほど、その呼称に抵抗があるように思える。近年、それだけシーンが成熟しているということであり、アイドルシーンの中でのライブアイドル、地下アイドルという枠が広くなり、より身近なカルチャーとして認知されてきたことを表している。実際に、テレビに出ているようなメジャーなアイドルではなく、ライブアイドルからアイドルを知った、地下アイドルがきっかけでアイドルになったというアイドルも珍しくはない。

ライブアイドルの音楽性とコンセプトの多様化は目まぐるしいものがあり、楽曲クオリティはどんどん上がっている。アイドルはスキルがすべてではないとはいえ、歌唱力のある、ダンスやパフォーマンス力のあるアイドルも増えていると感じている。しかしながら、その反面で飽和状態になっているのも事実だ。

SNSの普及により、誰にでも有名になれるチャンスがあり、アイドルになることも以前と比べれば容易になったのかもしれない。それも地下アイドルが身近になった、大きな変化の1つだろう。しかし、ある程度の人気を得ることはできても、より上を目指すことはとてつもなく難しい。

次ページ

  • 1
  • トップページ
  • 連載
  • 地下アイドル? ライブアイドル? せめぎ合うグループアイドルシーンの現在とこれから|「偶像音楽 斯斯然然」第112回