XG、新しい学校のリーダーズ、BiTE A SHOCK J-POP、アイドルポップスの新しい展開に挑むグループ|「偶像音楽 斯斯然然」第110回

XG、新しい学校のリーダーズ、BiTE A SHOCK J-POP、アイドルポップスの新しい展開に挑むグループ|「偶像音楽 斯斯然然」第110回

XG、新しい学校のリーダーズ、BiTE A SHOCK J-POP、アイドルポップスの新しい展開に挑むグループ|「偶像音楽 斯斯然然」第110回

今回は、J-POP、アイドルポップスの新しい展開を提示する4組をピックアップ。楽曲面を中心に、それぞれのアーティストとしての魅力を冬将軍が独自の視点で紐解く。

『偶像音楽 斯斯然然』
これはロックバンドの制作&マネジメントを長年経験してきた人間が、ロック視点でアイドルの音楽を好き勝手に語る、ロック好きによるロック好きのためのアイドル深読みコラム連載である(隔週金曜日更新)。

非アイドルファンに“日本にはガールズクラッシュ的なアイドルグループはないのか”と訊かれることもあったりするわけだが。需要を含めた日本の音楽市場、古くからの土着的な歌謡曲文化を考えればなかなかに難しいところがあるのが現実。特にアイドルはパフォーマンスレベルが人気と直結しないところもある。単にカッコいいアーティストを求めるならば、海外アーティストに目を向ければいいし、ガールクラッシュといえば、その言葉を生んだ韓国のグループがいるわけだ。

演者の成長過程をも見守っていくのが日本のアイドルを応援していく価値観でもあり、片やクオリティの高さで魅了するのが韓国アイドルの魅力でもある。市場的に見ても、長年オリコンチャートといった発売日に特化したプロモーション戦略の日本とは違い、1曲をリリース後含めて長期スパンで売っていくという韓国のスタイルにも大きな違いがある。音楽性といった違いはあるにせよ、決定的な違いは制作に対する時間と予算だ。国内需要で市場が大きく回る日本に対して、海外市場を大前提として国策レベルで取り組んできた韓国とでは規模感が大きく異なる。私が以前韓国アーティストの制作を担当した時、そのあまりの桁外れの予算規模にカルチャーショックを受けた。

とはいえ、日本のアイドルやポップスは世界に誇ることができるもの。そうした日本のアーティストを韓国の手法で育成するとどうなるのか。誰かが1度は考えたであろうことを現実化させた。それがXGだ。昨年3月に「Tippy Toes」で世界デビューを果たした日本人7人組は今、世界が最も注目するグループの1つ。

XG XGにしかなし得ない世界観

XG(“Xtraordinary Girls”の略)は、韓国生まれのアメリカ人、ボーイズグループDMTNの元メンバーであるJAKOPSとavexによる『XGALXプロジェクト』から誕生したグループであり、その育成や制作に5年を要している。日本の音楽シーンにおける新人育成としては到底考えられない年月である。

その実力は昨年TikTokを中心にバズった「GALZ XYPHER」で多くの人の注目を浴びた。JURIN、HARVEY、MAYA、COCONAによるビートジャックでの英語、日本語、韓国語という唯一無二の3言語ラップ。K-POPかと思いきや日本人なの!?と驚愕したリスナーも少なくないだろう。

[XG TAPE #2] GALZ XYPHER (COCONA, MAYA, HARVEY, JURIN)

そんなXGの快進撃はとどまることを知らない。9月27日にリリースされる1stミニアルバム『NEW DNA』の収録曲「TGIF」MVが公開。あえての起伏のないメロディと抑揚をつけない楽曲展開は世界的なトレンドでもあるが、アジアンテイスト溢れたオリエンタルなミステリアス具合いと、サイバーなファッションの融合はK-POPでもJ-POPでもない彼女たちのオリジナル、X-POPというべきもの。

XG - TGIF (Official Music Video)

音数が極端に少ないミニマルなトラック、キャッチーとは言い難いが得体の知れない中毒性の高いボーカルが目まぐるしく駆け抜ける2分55秒。サイケデリックトランスとディスコライクなエレクトロ。近未来なサイバーシティを闊歩するMVに挟み込まれるレトロなグラフィックやザラついた質感。この情報量をセンスよく凝縮させる世界観がまさにXGそのもの。90sからY2K、あの当時のアナログからデジタルへ移行する、ロックのワクワクとした感覚みたいなものを再び感じているのは私だけではないかも知れない。

XG - GRL GVNG (Official Music Video)

「GRL GVNG」のCGアニメーションに寄せた世界観は日本的なカルチャーを感じたりもしたが、それ以上にダークヒーローアイコンのカッコよさに完全にやられてしまった。楽曲云々、パフォーマンス云々以前にビジュアルでの世界観構築の重要さを痛感させられた。このまま彼女たちはどこへいくのか、XGにしか成し得ないもの、想像もできない恐ろしさである。

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