cali≠gari 村井研次郎が語り尽くすヴィジュアル系とアイドル[インタビュー後編]「アイドル文化はヴィジュアル系と一緒で絶対になくならない」

cali≠gari 村井研次郎が語り尽くすヴィジュアル系とアイドル[インタビュー後編]「アイドル文化はヴィジュアル系と一緒で絶対になくならない」

cali≠gari 村井研次郎が語り尽くすヴィジュアル系とアイドル[インタビュー後編]「アイドル文化はヴィジュアル系と一緒で絶対になくならない」『偶像音楽 シン黒子列伝』第5回後編:村井研次郎

『偶像音楽 シン黒子列伝』第5回目、ヴィジュアル系ロックバンド・cali≠gariのベーシスト・村井研次郎インタビューの後編。楽曲提供/ライブサポートを手掛けているプログレッシヴ・アイドル『XOXO EXTREME』との関係について語った前編を経て、今回は、村井のバンド人生にフォーカス。ヴィジュアル系バンドのメンバーとしてのこれまでの歩みをじっくり振り返ってもらった。アイドルとは異なるフィールドで活動を続けていた村井研次郎が、アイドルに関わることによって発見した両者の類似点、またアイドルの魅力とは?

村井研次郎
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cali≠gariは“ヴィジュアル系ですか?”と訊かれたら、“ぜひ仲間に入れてください!”って

ーーベースを始めたきっかけはなんだったんですか?

村井:
海外ならIRON MAIDEN、国内なら聖飢魔IIあたりですね。あとはC-C-B、男闘呼組、THE ALFEEとか。歌いながら弾きたいというのがあったんで。歌いながらベース弾いてる人が好きですね。スティングとか、クリームのジャック・ブルースとか。あとやっぱり、ティム・ボガートですね。ベース弾きながら歌うのがカッコいいなと思って。最近だと、八十八カ所巡礼っていうバンドがすごいですよね。自分は歌うのは好きなんですけど、ヘタっぴだから。人前で歌いながら弾けるなら歌いたいですけどね。cali≠gariはコーラスくらいしかやらないですけど。

ーーヴィジュアル系を通ってないのに、ヴィジュアル系バンドに加入するって、大変ではなかったですか?

村井:
1996年にcali≠gariに入って。対バンでほかのバンドと仲よくなろうとしても話自体が合わなかったというのはありました。会う人会う人、みんなヴィジュアル系を聴いてヴィジュアル系をやってる世代だったので、自分は完全にぼっちですよね。それこそプログレ好きの人とはヴィジュアル系界隈で出会ったことはないですね。自分、メタル以外にもエイジアとかイエスとか、ちょっとポップなプログレが好きだったんで。ELP、ラッシュ、そこそこ流行ってた気がするんですけど。cali≠gariの2人は、キング・クリムゾンあたりは聴いてるし。

ーープログレ好きのヴィジュアル系は知らないですね……。さっきのジャパメタからヴィジュアル系という流れでいうと、44MAGNUMはどうですか?

村井:
44MAGNUMは通ってないんですよね。なんでだろ? 途中で路線変わりましたよね。

ーーニューウェイブっぽくなったんですよね。布袋さんや北島健二(FENCE OF DEFENSE)さんがアルバム(『FOUR FIGURES』1985年)に参加したりして。

村井:
そうだそうだ、脱メタルしてメタルファンが離れちゃって。そのうちに解散。そのアルバムはcali≠gariの2人が好きみたいですけど。

ーーAIONはどうです?

村井:
通ってないですねぇ。後追いですね。髪を横から持っていく、サイドバックスタイルを取り入れているバンドはなんとなく聴かなかったのかもしれない。SEX MACHINEGUNSにいた(CLUTCH.J.)HIMAWARIと一緒に“どこが分け目か”という話をして。“髪を両サイド下ろすか、片方かの違いやん”みたいなところに落ち着いたんですよ。僕とHIMAWARIは両サイド下ろしている音楽がわりと好き。DEAD ENDはMORRIEさんが横から流していて、YOUさんが両サイド下ろしてたから、まさに時代の分かれ目だったのかなって。見た目で判断しちゃダメなんですけどね。でも、サイドバックを始めたのは多分MORRIEさんなんですよね、きっかけは。そこからLUNA SEAや黒夢、DIR EN GREYに繋がるっていう。DEAD ENDがいなかったらどうなってたのかなって。そこはXじゃないですよね。

ーーそう! Xじゃないんですよ。DEAD ENDはよく論争になるんですよ。さっきの初期か後期かの話もそうなんですけど、再結成後のファンはみんなDEAD ENDはヴィジュアル系の認識なんだけど、80年代当時を知っている人からすると、それは納得いかないじゃないですか。後続のバンドに影響を与えたのはわかるけど、DEAD END自体をヴィジュアル系とするのはどうなのかっていう。

村井:
おお〜、なるほどね。いいですね、朝まで呑める話題だ。ちなみにXは世間的にはヴィジュアル系なんですか?

ーー世間的には、Xはヴィジュアル系ですね。奇抜なビジュアルや過激性がパイオニア、みたいな言われ方をしますけど、私の持論としてはそれよりもYOSHIKIさんの存在だと思うんですよ。あの人の美学がヴィジュアル系のナルシシズムに影響を及ぼした。ヴィジュアル系のファッションスタイルとしても“女形”のパイオニアでしたし……って、こういう話をすると、本当に朝まで語れますね(笑)。

村井:
僕が思うのは、“ヴィジュアル系だよね?”と言って怒る人は、ヴィジュアル系ではない。そこは自己申告でいいのかなって。cali≠gariは“ヴィジュアル系ですよね?”って訊かれたら、“はい、ぜひ仲間に入れてください!”って答えます。

cali≠gari「娑婆乱打」(2011年)

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