中川悠介×木村ミサ[インタビュー]代表とプロデューサーが語るアソビシステムKAWAII LAB.のアイデンティティ「アイドル業界をいろんな方向に進化させていくきっかけになれたら」

中川悠介×木村ミサ[インタビュー]代表とプロデューサーが語るアソビシステムKAWAII LAB.のアイデンティティ「アイドル業界をいろんな方向に進化させていくきっかけになれたら」

中川悠介×木村ミサ[インタビュー]代表とプロデューサーが語るアソビシステムKAWAII LAB.のアイデンティティ「アイドル業界をいろんな方向に進化させていくきっかけになれたら」中川悠介(アソビシステム代表)&木村ミサ(KAWAII LAB.プロデューサー)インタビュー前編

TikTokで「わたしの一番かわいいところ」が7億回再生を超え、ワンマンライブもSHIBUYA WWW X→LINE CUBE SHIBUYA→豊洲PITと会場を着実に拡大させ、今年10月28日(土)にはデビューから1年8ヵ月で東京体育館公演を開催するFRUITS ZIPPER。その後輩グループのCANDY TUNEは、数々のアイドルイベントに出演しながら、今年10月18日(水)にはZepp Shinjuku (TOKYO)でのワンマンライブが決定するなど、今年3月のデビューから急速にステップアップを遂げている。

彼女たちが所属するアソビシステムのアイドルプロジェクト『KAWAII LAB.』は、現在のアイドルシーンの中で、1つの大きな勢力となっている。

彼女たちは、SNSを巧みに活用し、多くのバズを生みながら“原宿から世界へ”というコンセプトのもと、海外を目指した活動を展開。同時にアイドルイベントにも出演し、国内外に老若男女幅広い層のファンを獲得している。

今回、アイドルエンタテインメントの新たなる可能性を提示する『KAWAII LAB.』の実情に迫るため、アソビシステム代表の中川悠介と、プロデューサーの木村ミサにインタビューを実施。

2022年3月の始動から現在までの歩み、そしてこれからの展望について、じっくり話を訊いた(全2回/前編)。

編集協力:村田誠二

KAWAII LAB.
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KAWAII LAB.

■KAWAII LAB.
日本のポップカルチャーを牽引するアーティストを擁するカルチャープロダクション、アソビシステムが、日本で成長を続けてきたアイドル文化を世界に向けて発信するプロジェクト。総合プロデューサーは元むすびズムのリーダーでモデル・タレントの木村ミサ。“原宿から世界へ”をコンセプトに、世界で活躍できるアイドルの発掘・育成・輩出を目指し、活動していく。

K-POPに真っ向から対抗するのではなく、ジャパニーズアイドルを作るのがいいんじゃないかなって真剣に思った(中川)

――木村さんは、以前のインタビューで“中川さんから2021年6月辺りにアイドルを作りたいと言われた”と話していて、KAWAII LAB.は2022年2月に始動しました。この時期は、コロナ禍の真っ只中でしたが、なぜそんなタイミングにアイドルを手掛けたいと思ったのでしょうか?

中川:
そう、コロナ禍中だったんですよね。アイドルは、それ以前にもむすびズムだったりIDOLATERもやっていましたけど、コロナ禍中にすごくK-POPの勢いを感じて、それに真っ向から対抗するのではなく、ジャパニーズアイドルを作るのがいいんじゃないかなって真剣に思ったんです。時間もあったのでいろいろ調べている中で、アソビシステムの原点って“KAWAII”だし、女の子のマネジメントが中心だと考えると、やっぱりアイドルっていうジャンルを1つ攻めていくべきかなって改めて思って。しかもそれを個で見せるんじゃなくて……例えば88risingみたいに、今は世界的にレーベルとメディアと事務所の垣根がなくなってきていますけど、そんな中で発信基地としてKAWAII LAB.ってものがあったら強くなれるんじゃないかなって。1つのメディアとしてKAWAII LAB.ってものが中心になると、すごくわかりやすいし伝わっていきやすいんじゃないかって考えたという感じですね。

IDOLATER
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IDOLATER

■IDOLATER
<ASOBISYSTEM THE AUDITION 2018>のファイナリストから結成した、“アイドル”という切り口から音楽・ファッションを始めとする各種カルチャーの境界領域を開拓していくCULTURE HOLICなアイドルグループ。伏木結晶乃・奥田彩友・月代来実の3名に加え、2022年4月から砂月凜々香・大石楓夏を新メンバーに迎えた5人体制となる。

――木村さんは、KAWAII LAB.設立以前からアドバイザー的な立ち位置で会社のアイドル部署の定例会議に参加していましたけど、自分自身はアイドルプロジェクトに関わるつもりはなかったんですよね。

木村:
アイドルをプロデュースすること自体にずっと興味はあったんですけど、その当時はそこまでアイドルが強くないと思っていたし、メンバーの人生を背負えるほどの度胸はないと思っていたんです。でも、以前のインタビューでも言いましたけど、だんだん社長の本気のお話を聞いたりとか、周りの方もいろいろ協力してくれる体制ができている中で、自分でもそろそろちゃんとやりたいなと思って。もちろんずっとやりたいと思っていたことではあったので、その想いと“これは今だな”っていうタイミングが揃ったという感じだったと思います。

――中川さんとしては、木村さんに参加してもらいたかった?

中川:
そうですね。やっぱりストーリーが大事で、木村ミサがうちの絶対的アイドルで、モデルもやってたし、アイドルもやっていたという経験がある彼女がプロデューサーとして立つということがすごく大事だなと思ってました。ただアイドルマネジメントをしたいわけじゃなくて、アイドルカルチャーの中にどう入り込んでいくのかっていうところをすごく意識したので……やっぱり1度作ったら、アイドルたちの人生を背負うわけだから、すぐに“やめた”はできないし、続けていかなきゃいけない時に、その体制というか、ストーリー作りがとても大切だと思っていたので、彼女には入ってもらいたいなと。

――昨今のライブアイドルビジネスでは、特典会に代表されるファンとの接触が重要な位置を占めていましたが、コロナ禍はそれができなくなったタイミングでした。そんな時期にアイドルに参入しようとしたのは、会社として大きな決断だったのではないですか?

中川:
そこは逆転の発想というか、世の中が変わる瞬間というか……アイドルって、“アイドルビジネス”という1つのマーケットが出来上がっている、1つのジャンルの職種だと思うんですけど、今までライブアイドルがリアルな接触を中心にやってきた時代から、コロナ明けに向かって変わっていく瞬間があると思ったし、僕はファンって2方向あると思っているんです。“リアルに目の前に来るファン”と、“ソーシャルメディアなどネット上で出会うファン”の2つ。特にあの頃ってVtuberだとかNFTだとか、そういうトレンドが来ている中で、何よりソーシャル、“リアルではない世界”も広がっていっているなと実感していたんです。でも、リアルな世界も広げたい、それならその2つを掛け算すればいけるんじゃないかなって思ったんです。だからSNSも大事にして、ネット上の部分とリアルな部分を対でやっていくことが大切だなと思っていました。

――そういう話し合いはチームの中であったんですか?

木村:
そうですね。チームの中でそういう話はあって、メンバーも活動が始まる前から、ソーシャル/SNSのプロの方にお話を聞きに行って、“こういうふうにやった方がSNS伸びる”みたいな戦略は立てていました。まず、グループ活動前は、個々のSNSを強化して、グループが始まった時にはめちゃくちゃ大きくなってる、そのための地盤作りみたいなことをしていたので、最初からSNSは意識してました。もともとコロナ前からそうだったかもしれないけど、コロナになってからより一層TikTok、Instagram、Twitterなど、個が発信できるものに対する価値がすごく高くなってきているなって思ってたので、そこに説得力を持たせたくて、メンバーそれぞれに頑張ってもらっていました。

――結果的にKAWAII LAB.は最近TikTokがすごく話題になっていると思いますが、どのSNSもバランスよく活用している印象があります。

中川:
僕はどれかに偏る必要はないと思ってますし、TikTokerとかYouTuberとかInstagramerって言葉自体が先行しているなと。僕らは人のプロデュースをする事務所なのでわかりますけど、ある人がすごく得意な部分があったとしても、その人の魅力ってそれだけじゃないと思うんです。FRUITS ZIPPERで言ったら、TikTokも強いけど、リアルもちゃんとやってるってことが大切だなと思っていて、そういう意味では、ソーシャルメディアっていうのは世界中にいろんな可能性があるので、全プラットフォームでやるべきだと思ってますね。

――KAWAII LAB.がSNSに力を入れていることは多くの人が理解していると思いますが、本人たちはここまでバズることを予想していたのでしょうか?

中川:
バズると思っていたか?と聞かれれば、全員が真面目に向き合ったという自信はある、というのが答えですかね。全体会議を毎週必ず2~3時間して、それに向けて分科会を行なって、SNSをどう伸ばすかとか、どういう曲を作るかとかを話し合いながら、メンバーたちのトレーニングもかなりの時間取り組んでいました。そういう意味では、出る側も裏側もすごく努力したということは胸を張って言えるなって思います。

――SNSは、ある意味、誰にでもできるものです。ただ、誰でもできるからこそ、やってはみたものの意外と数字に繋がらなくて、途中で更新を諦めてしまうこともあります。

中川:
そういう意味では、メンバーが諦めないように、スタッフみんなでサポートしたっていうことも大きいと思います。だって、フォロワーが増えないと嫌になるじゃないですか(笑)。そこをちゃんとやり続けるように、みんなで向き合っていきましたね。

木村ミサ、中川悠介
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木村ミサ、中川悠介

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