のんふぃく！、マーキュロ、最終未来少女…… この夏に聴きたい中毒性の高い怪曲7選｜「偶像音楽 斯斯然然」第109回

situasionと夜光性アミューズに見る磯野涼の奇才っぷり

通常モードですら普通ではないのに、定期的にさらにとんでもない楽曲を投下するsituasion。奇才・磯野涼がまたすさまじい曲を作った。

situasion 「さよなら21世紀」

これは滅びゆくディストピア、アイドルシーンの未来なのか。グリッチノイズが音を遮るように耳をつんざき、淡々とした暗号のようにボーカルが頭を支配してくる。とにかく爆音で聴いてほしい曲だ。アイドルソングとはかけ離れてはいるものの、ライブを観たら思いのほかアイドル、女性グループの演舞としてちゃんと成立しており、ゆえに逆に不気味さを増しているという、観れば観るほど、聴けば聴くほどにいろいろとおかしくなりそうな楽曲である。

マニアックなわけのわからないことをやって、あとは聴く人が考えてくれ的なものは個人的にあまり好きではないのだが、磯野涼はしっかりとポップな曲も書ける上で、このソングライティング＆プロデュースというところが魅力だ。自分はもともと氏の存在をちゃんと認識したのが、夜光性アミューズだったこともあり、そうした振り幅の広さを魅力として比較的すんなり（？）と受け入れられた。一見両極端に思えてみても、使用されている音色の傾向やミックスの定位、間奏やCメロ、Dメロ的なフレーズの間（ま）の取り方など、時折同じにおいを感じることもあり、磯野涼節とも言える面白みを感じるのだ。

夜光性アミューズ「シンギュラミューズ」

「シンギュラミューズ」はそんな磯野のダークサイドと言うべき側面が出た楽曲であり、夜光性アミューズの新境地とも言える曲。冒頭にみる無国籍な雰囲気漂うタイトルコールの連呼フレーズは、situasion的なアプローチを感じるミステリアスさ。