スクリームアイドルとガールズバンド、『ぼっち・ざ・ろっく』からの“引きこもりガールズロック”|「偶像音楽 斯斯然然」第107回

スクリームアイドルとガールズバンド、『ぼっち・ざ・ろっく』からの“引きこもりガールズロック”|「偶像音楽 斯斯然然」第107回

スクリームアイドルとガールズバンド、『ぼっち・ざ・ろっく』からの“引きこもりガールズロック”|「偶像音楽 斯斯然然」第107回

今回は、スクリームとクリーンという2つのボーカルスタイルを皮切りに、ガールズバンド、ガールズロック、そしてアニメ『ぼっち・ざ・ろっく』と、女性が表現するロック&バンドの特徴と魅力について、冬将軍が縦横無尽に綴る。

『偶像音楽 斯斯然然』
これはロックバンドの制作&マネジメントを長年経験してきた人間が、ロック視点でアイドルの音楽を好き勝手に語る、ロック好きによるロック好きのためのアイドル深読みコラム連載である(隔週金曜日更新)。

前回、シュレーディンガーの犬「Reincarnation」を、“シャウトなしの刹那系美メロ、爬虫類系変態ギター+急速楽曲展開というV-ROCKエレクトロニコアの最新鋭かつ最強曲”と評したが、先日リリースされた「ADDICTED BUG」はその対極的なものだ。「Reincarnation」は、Yoshito AbeがエレクトロニコアをV-ROCK解釈で昇華した楽曲であったことに対し、「ADDICTED BUG」はエレクトロニコアの申し子というべき、Fear, and Loathing in Las Vegasの元ギタリスト・Sxunが、V-ROCK、J-ROCK的な日本歌謡における慟哭性の高いメロディを用いたストレートな曲。シュレ犬の武器というべき、デジタルなシーケンスと唐突なラップパートを挟み込んだ楽曲展開であるものの、メロを重視した比較的シンプルなアレンジが印象的である。

シュレーディンガーの犬「ADDICTED BUG」

シュレーディンガーの犬「Reincarnation」

「Reincarnation」が爬虫類ギターサウンド、大蛇が血を這うようなローミッドをブーストした90’sモダンヘヴィなドンシャリサウンドであるのに対し、「ADDICTED BUG」は特徴的なハイミッドが耳に残るエッジィなギターサウンドであることも対照的だ。ミックスやマスタリングのベクトルの違いも顕著で、重心低めで暗い音像を持った「Reincarnation」と、コンプの掛け方含めて耳にへばりつくような派手な音像の「ADDICTED BUG」、というクリエイターの嗜好がよくわかる。この差は今に始まったものではなく、Yoshito Abe作詞&作曲の「Singularity」「Double SliT」、Sxun作曲の「アニマニフェスト」「What's going on」といったこれまでの楽曲も同様であり、この差こそが、ひとくちに“ヘヴィミュージック”という括ることのできないシュレ犬サウンドとしての振り幅になっている点に注目したいところだ。

シュレーディンガーの犬「Sigularity」

シュレ犬は昨今のロックアイドルにおけるスタンダードにもなりつつあるスクリーム(シャウト、デスボイス)メンバーが、いないことも楽曲に大きく影響しており、そこは前回紹介したスクリームメンバーが2人いるMAZEが、「ADDICTED BUG」と同じく、Sxunプロデュースという点で比べてみるのも面白い。

MAZE「IDOL RIOT」

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