BEYOOOOONDS[ライブレポート]オーケストラとの共演で改めて証明した大いなる可能性「自分たちのこれからにつながる公演になったと思います」
BEYOOOOONDS[ライブレポート]オーケストラとの共演で改めて証明した大いなる可能性「自分たちのこれからにつながる公演になったと思います」
今年で25周年を迎えるハロー!プロジェクトに所属するBEYOOOOONDSが、5月2日(火)に東京芸術劇場コンサートホール(東京・池袋)でオーケストラとの共演による1度きりの特別ライブ<BEYOOOOOPHONIC(ビヨフォニック)>を開催した。本記事では、オフィシャルレポートをお届けする。
BEYOOOOONDS<BEYOOOOOPHONIC>東京芸術劇場コンサートホール(2023年5月2日)
<BEYOOOOOPHONIC>は、“BEYOOOOONDS”と“SYMPHONIC”の融合から生まれたワード。そのタイトルどおり、会場に訪れた約2,000人のファンが、BEYOOOOONDSとオーケストラが響かせる新しい音楽の世界を存分に酔いしれた公演となった。
ポップスとオーケストラの融合を楽しむ贅沢なコンサートとして昨年の夏に姫路で行なわれた<HimeFes 2022>以来、2回目となるオーケストラとの共演。1回目の公演時にBEYOOOOONDSとオーケストラの親和性が非常に高いと、オーケストラ、指揮者ともに感じ、今回の企画が実現したという。さらに今回のコンサートでは新たにシンフォニックアレンジをしたものだけではなく、シークエンスデータを使ってドラムの音などを合わせ、より完成度が高いものに仕上がっている。
ステージにパシフィックフィルハーモニアポップス東京の団員が姿を現すと会場からは大きな拍手が発生。しかし楽器のチューニングが始まると一転、会場は静寂に包まれ普段のライブとは異なる雰囲気に。
その後、指揮者の藤原いくろうとBEYOOOOONDSのメンバーが登場すると、再び大きな拍手が。オーケストラとの共演ということで、メンバーは燕尾服をベースにしたフォーマルな装いに。それぞれのメンバーカラーがアクセントとなっており、カッコよさの中に可愛らしさも感じられる衣装も印象的だった。
ライブは1stアルバムの1曲目に収録されている「OOOOOVERTURE」でスタート。壮大な世界観のインストゥルメンタルとオーケストラの演奏が相まって、同曲の持つ可能性をさらに感じさせた。ここで、メンバーによる楽器紹介も行なわれた。
曲終了後にはメンバーがステージ前に集まり“今夜は、このメンバーでシンフォニーをお届けしたい!”とファンに挨拶。その後は4月12日に発売したばかりの最新シングル「求めよ...運命の旅人算」、3rdシングル「ハムカツ黙示録」を連続でパフォーマンス。鍵盤 ハーモニカや鉄琴などといったオモチャっぽい音が散りばめられている「求めよ...運命の旅人算」。そして《はぁ...ムカつく!》《ハムカツ...食う》などといった言葉遊びが印象的な「ハムカツ黙示録」といった、BEYOOOOONDSらしさ全開のユニークな楽曲も、オーケストラとの共演でいつもと違った装いに。また、「ハムカツ黙示録」の冒頭では、指揮者が指揮棒ではなく、ハムカツを持つという遊び心のある演出で会場の笑いを誘う一幕もあった。
MCコーナーを経て、BEYOOOOONDS各ユニットのターンへ。「待ち合わせは JR 梅田
駅で」(CHICA#TETSU)、「循環」(雨ノ森 川海)、「Get Back!ビニール傘の大冒険」(SeasoningS)を披露。それぞれのユニットの持つ魅力が凝縮されたパフォーマンスが続いていく。
最後はメンバー全員で、前田こころ演じる眼鏡をかけた男の子をめぐる寸劇がくり広げられるメジャーデビューシングル「眼鏡の男の子」を演じ上げる。そして、第1部の最後は“今回のBEYOOOOOPHONIC のために作った新曲を披露します。BEYOOOOONDSとオー ケストラでしか披露できないでっかい宇宙をご覧あれ!”と、新曲「恋する銀河」をサプライズで披露した。
第2部のスタートは、メンバーによる指揮者体験でスタート。指揮者の藤原いくろうの指名で、西田汐里、島倉りか、平井美葉が、ブラームス作の「ハンガリー舞曲 第5番」の指揮に挑戦。西田汐里は“手が震えた”というコメントをするが、3人とも笑顔で体験し、藤原いくろうは“ブラボー。次の曲からは僕の代わりに指揮をしてほしい”と絶賛。また、来場者には光る指揮棒が配られており、会場に訪れたファンも一緒になって指揮者体験を楽しんでいるのも今回だけの光景だったといえるだろう。
ここから再びライブコーナーへ。4月12日発売の新曲「夢さえ描けない夜空には」と、19世紀を代表する作曲家の1人であるショパンの「英雄ポロネーズ」を軸にした「英雄〜笑って!ショパン先輩〜」をパフォーマンス。中でも「英雄〜笑って!ショパン先輩〜」は、今春に音楽大学を卒業したばかりの小林萌花のピアノソロでスタートする楽曲。小林萌花のピアノ演奏とオーケストラの夢の共演に、観客席のファンも真剣な眼差しでステージ上に見入っていた。
ここからはBEYOOOOONDSらしさ全開のラストスパート。きのこ派とたけのこ派の壮絶な争いを歌う「きのこたけのこ大戦記」を披露したあと、高瀬くるみが“指揮棒をカスタネットに変えよう”と会場のファンに呼びかける。すると、ファンは一斉に持参したカスタネットを準備。ここからファンが楽曲に合わせてカスタネットを叩く、ライブの定番曲「涙のカスタネット」がスタートする。BEYOOOOONDSメンバー、オーケストラ、そしてファンによるカスタネットの演奏といった、今夜だけの特別なセッションに会場のボルテージは最高潮を迎えた。今回はオーケストラも使用する音響設備がしっかりとした会場のた め、ファンの叩くカスタネットも通常のライブ以上に響き渡っていたのが印象的だ。
その勢いのまま、「アツイ!」を畳み掛ける。パフォーマンス後に里吉うたのは“定番の盛り上がり曲だけど、オーケストラとやると雰囲気が全然違う。「アツイ!」の厚みもBEYOOOOONDSの可能性も広げてくれた”とコメント。最後は「伸びしろ〜Beyond the World〜」を歌い上げ、本編は終了。その後アンコールを経て、メンバーは再びステージ上へ。代表メンバーがファンへ向けた感謝の気持ちとイベントの感想を述べた。
“オーケストラとの共演は自分がプリンセスになったような気分になれる。オーケストラの演奏でパフォーマンスすることはあまりなかったので、自慢していきたい!”(山﨑夢羽)、“こんなBEYOOOOONDSはなかなか見られない。いつものコンサート会場とは音の反響も違うので、反響込みでいつもと違うBEYOOOOONDSを楽しんでいただけたと思います!”(岡村美波)、“(藤原)いくろうさんの優しい指揮からオーケストラのみなさんも優しい演奏が伝わって、 私たちにも届いた。本当に優しい世界だなって、このステージを通じて改めて思いました”(清野桃々姫)、“楽しすぎて終わってほしくない。光る指揮棒を振るみなさんが楽しそうでした! オーケストラの演奏はBEYOOOOONDSの楽曲をより素晴らしものにしてくれる。BEYOOOOONDSでよかったなと改めて思いました”(島倉りか)、“初めての経験がたくさんあるコンサートでした。自分たちのこれからにつながる公演になったと思います”(高瀬くるみ)。
最後に「オンリーロンリー」を歌い、BEYOOOOONDSの持つライブ感にあふれた楽しさと、オーケストラの演奏による音楽の持つ楽しさが見事に融合した、メンバー12人とオーケストラメンバーでしか紡ぎ出すことのできない最高のライブは終了となった。
デビュー時に“ほかのハロー!プロジェクトのグループとは違う存在になりたい““今までにないグループを目指したい”とメンバーが声を揃えてきたBEYOOOOONDS。その言葉どおり、東京芸術劇場コンサートホールという日本を代表する芸術文化施設の1つで、オーケストラと共演する単独公演という新しい1ページを刻んだ。
5月15日(月)に2度目となる単独での日本武道館公演<BEYOOOOONDS CONCERT TOUR 「NEO BEYO at BUDOOOOOKAN!!!!!!!!!!!!」>を控えている彼女たち。既成の枠組などを超えて、自由に未来へ大きく“ビヨーン”と伸びていってほしいという想いも込められているグループ名を体現するような、さらなる躍進に期待したくなる公演だった。
<BEYOOOOOPHONIC>
2023年5月2日(火)
東京芸術劇場コンサートホール(東京)
出演:BEYOOOOONDS
指揮:藤原いくろう
管弦楽:パシフィックフィルハーモニアポップス東京
M1 OOOOOVERTURE
M2 求めよ...運命の旅人算
M3 ハムカツ黙示録
M4 待ち合わせは JR 梅田駅で / CHICA#TETSU
M5 循環/雨ノ森川海
M6 Get Back!ビニール傘の大冒険 / SeasoningS M7 眼鏡の男の子
M8 恋する銀河(新曲)
M9 夢さえ描けない夜空には ★
M10 英雄〜笑って!ショパン先輩〜 ★
M11 きのこたけのこ大戦記 ★
M12 涙のカスタネット
M13 アツイ! ★
M14 伸びしろ〜Beyond the World〜
M15 オンリーロンリー ★
★は小林萌花ピアノ参加曲
高瀬くるみ・小林萌花コメント
――公演を迎えた心境を教えてください。
高瀬くるみ:
前回の<HimeFes 2022>の時に、私たちの楽曲のテーマや音などに改めて気がつくことができました。オーケストラとの親和性みたいなものをすごく感じたんです。実際に今回の音源をいただいて、その壮大さにびっくりしたし、これをたくさんのお客さまに観てもらえることが本当に嬉しい! なにより、BEYOOOOONDS、パシフィックフィルハーモニアポップス東京、指揮者の藤原いくろうさんたちと一緒に1つの大きいチームができたみたいな感覚がしているので素敵な公演になると思います。
小林萌花:
<HimeFes 2022>でオーケストラと共演させていただいた時に、こういったコンサートを実現したいと強く思ったので、今回、形になってすごく嬉しいです。ファンのみなさんに、私がずっと好きだったクラシック音楽というものをBEYOOOOONDSと融合した形でお届けできて幸せです。
――注目してほしい点はありますか?
高瀬くるみ:
オーケストラアレンジで音の種類とかも変わっているので、そこを楽しんでもらいたい。私の所属する雨ノ森 川海が披露する「循環」は、まったく踊らないで歌とオーケストラの音で勝負しようみたいな挑戦的な試みをしています。自分的にもドキドキしているんですけど、それを乗り越えたら、さらに成長した私たちになれると思います!
小林萌花:
ブラームス作の「ハンガリー舞曲 第5番」の指揮体験コーナーをリハーサルでやった時に、これがクラシックだ!って思ったんです。私たちの曲を編曲してオーケストラ バージョンでやると、やっぱり映画音楽みたいな、クラシックというよりはポップなオーケストラ音楽みたいな感じになるので。またBEYOOOOONDSの曲のポップスっぽい感じのものと、指揮コーナーではクラシックの音の違いや、揺れの違いを楽しんでもらいたいですね。
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