XOXO EXTREME[ライブレポート]華麗なる3バンドとともにZepp DiverCityで証明したプログレッシヴアイドルの輝く未来
XOXO EXTREME[ライブレポート]華麗なる3バンドとともにZepp DiverCityで証明したプログレッシヴアイドルの輝く未来
プログレッシヴアイドル・XOXO EXTREMEが、4月24日(月)にZepp DiverCity(TOKYO)にて<5thワンマンライブ~Ultimate UNION~>を開催した。
グループ史上最大キャパシティとなった今回の公演は、Alsciaukat、Silent Of Nose Mischief、Ultimateバンドという3つのバンドをサポートに迎え、またゲストミュージシャンとして、NARASAKI(COALTAR OF THE DEEPERS、特撮/Gt)、村井研次郎(cali≠gari/Ba)、Kyrie(ex.NoGoD/Gt)、宮野弦士(7セグメント/Gt)も参加。生バンドによるダイナミックなサウンドとともに、メンバーは躍動感と表現力豊かなパフォーマンスを披露した。
常に進化を続けるXOXO EXTREMEの活動の1つの到達点であり、通過点となったZepp DiverCity公演の模様をお届けする。
<XOXO EXTREME 5thワンマンライブ~Ultimate UNION~>Zepp DiverCity(TOKYO)(2023年4月24日)
取材&文:冬将軍
“XOXO EXTREMEの小日向まおさんは永遠の命を持っているのです”
奇想天外なナレーションで始まった、“キスエク”こと、XOXO EXTREMEの<5thワンマンライブ〜Ultimate UNION〜>は2023年4月25日、グループ史上最大規模の会場、Zepp DiverCity(TOKYO)にて史上最多の3バンドによる生演奏のステージで行なわれた。
プログレッシヴロックのアイドルというニッチな存在を逆手に取るような、マニアライクなロックファンを唸らせる夜であった。と同時に、ジャンルレスで自由なアイドルの可能性を拡げていくものでもあったように思う。
開演時刻を過ぎると、冒頭のナレーションから本公演のストーリーテイラーである、楠芽瑠が現れる。楠は言わずもがな2019年9月にグループから卒業したオリジナルメンバーである。永遠の命を手に入れた小日向が眺めてきた人類の栄光と挫折、をテーマに本公演は進行していく。
“15世紀初頭のフランスにて——。”
100年続く戦争に疲弊した老婆に扮するメンバーたち、その貧困とした状況に手を差し伸べる救世主・小日向まおによって“中世版XOXO EXTREME”が結成、という演劇を交えたステージで、本公演の第一部「中世ヨーロッパ編」が始まる。
フルートの音色に誘われるよう、5人が祈るように舞い始める「十影」。Alsciaukatのゆったりとしたグルーヴに乗せて一色萌が優美に歌い始めた。彼女を讃えるように手を差し伸べながらたゆたう、小嶋りん、横山陽依、桃瀬せな、小日向が歌い紡いでいく。
イングランドのプログレバンド、エイジアの「Daylight」カバーを挟んで、バイオリンを手にした小嶋の旋律が優雅に響く「R.I.P」へ。4人は広いステージを存分に使ったフォーメーションで魅了していく。神秘性を帯びながらドラマティックな展開を見せる「フェニキスの涙」では、作曲/編曲者である宮野弦士(Gt)が参加。ストラトキャスターでサイケデリックなギターソロをキめ、5人の軽快なステップとともにハッピーな歌声が弾むようにZeppに響いた「誓い〜勝利のファンファーレ〜」で、“市民革命”のごとく盛大に第一部を終えた。
“西暦2300年のNEO TOKYOにて——”
再びステージに登場した楠。天才科学者・大嶋博士が作り出した超高性能AIによって世界は占拠されてしまった。 “ワケノワケラカナイナガイキョクヲウタワセルプロデューサー、センメツスベシ”と、小嶋りん率いるAIロボが人類殲滅を企む中、再び現れる救世主“ちゃんまお”こと小日向まお。“約300年前、特殊な趣味の僅かな人類によって愛されていた音楽ジャンル”だというプログレッシヴロックを、手を取り合って歌っていく、そうやって“超未来派&超都会派&超正統派&超清純派プログレッシヴロックアイドルXOXO EXTREME”が結成、という流れで第二部「中世未来編」は始まった。
ジャジィなピアノで始まった「Spacetime Odyssey」。複雑なリフ構成に絡んでいくコンテンポラリーな5人のパフォーマンス。作曲者の宮野を加え、この部を支えるバンドは、Silent Of Nose Mischief。次々と変わりゆく楽曲展開を緻密なアンサンブルで支えていく。
“みなさんとこの日を迎えることができて本当に本当に嬉しいです!”
横山がそう叫びながら始まった「NEO MATRIX」。反復するリズムからキャッチーなサビへと流れていく展開が心地よい。ハードロックテイストに溢れたサウンドと力強いメロディが印象的な「RUSH!」、神秘的なサウンドと神々しい光に満ち溢れる5人のパフォーマンスに始まった「薔薇のネメシス」と新曲を2曲披露。「薔薇のネメシス」のテクニカルな中盤から勇猛なボーカルが映える後半の流れは、手に汗握るというべきスリリングな展開であった。一色の真っ直ぐな歌声、小日向の絶妙なビブラート、とボーカルグループとしての魅力を堪能できた。
“すべての時代の私たち——”
楠とちゃんまおの邂逅。“キスエク要素が足りない時代や場所があるのです”と語るちゃんまおに導かれるよう、室町時代、弥生時代、縄文時代に白亜紀……と、さまざまな時代にてプログレッシヴロックを広めていく楠。そして現代に戻ると、楠を含めた6人がステージに並んだ。そして去っていった仲間やファンを思い返しながら、楠はゆっくりとステージから去っていく。
幻想的なシンセサウンドが会場を包み込み……も束の間、怒涛の重低音が猛り狂う。「ADELHEID」で第三部が始まった。NARASAKI(Gt)のザクザクと軋むディストーションギター、村井研次郎(Ba)の這い回るグルーヴが耳をつんざく。Ultimateバンドによる強靭なアンサンブル、これまでとはまったく異なる轟音と音圧が会場を不穏な空気に変えていく。そうしたバンドを背に《明るい未来を》と歌う5人の表情も、より精悍で凛々しく見える。
緊張感が支配する空気は、5人並んだ美声で始まった「キグルミ惑星」に引き継がれる。なだらかなメロディを一色が歌い上げ、5人で丁寧になぞっていく。小日向のオペラ歌唱が楽曲をドラマティックに誘い、戦慄の展開を経て、桃瀬からの小日向が優しく引き継ぎ、横山が物悲しく静かに歌い閉じた。
静かなる強さを解き放っていくような「アストラル旅行」のあと、新曲「HA・LO・WA」を披露。ノリのよいリズムと美麗で明るいメロディが突き抜けるナンバー。クラシカルな間奏と緩急のついたメタル的なアプローチも印象的だ。
“みなさん、今日は本当に来てくださってありがとうございまーす!! 今日はみなさんにたくさんの愛を届けます!!”
小日向が高らかに声を上げ、「Ride a Tiger」からのラストスパート。ハイテンポで捲し立てるアンサンブルに乗ってキレよく歌い踊る5人に、さまざまな色のペンライトと腕を掲げて応えていくオーディエンス。ラストはアイドルライブというよりもロックオペラというべき、ドラマティックでシアトリカルなステージで惹き込んだ「メグルセカイ」で本編を終えた。
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