アプガ（２）［ライブレポート］躍動感あふれるパフォーマンスとともに中川千尋＆森永新菜のラストステージを彩った春ツアーファイナル公演

アプガ（２）は、昨年6月から高萩千夏、鍛治島彩、中川千尋、佐々木ほのか、森永新菜、島崎友莉亜、新倉愛海という7人体制で活動してきた。今年1月にはZepp Haneda(TOKYO)でのワンマンライブを成功させるなど好調ぶりを発揮してきたが、同公演をもって中川千尋と森永新菜の2人が卒業することとなった。パフォーマンスもチームワークも最高潮の仕上がりを見せるアプガ（２）は、全国8都市を回るツアーの締めくくりと、7人体制の集大成を見せるべく、熱く楽しく感動の詰まったライブをくり広げた。

大勢のファンが歓声を上げる中、賑やかな「OVERTURE（２）」でステージに登場したメンバーは、7人体制の最初のシングル曲「U (2) Zone LINE」からライブをスタート。ソリッドなビートとともに、彼女たちは力強さとカッコよさみなぎるパフォーマンスで観客を圧倒する。続く「ぱーれぇ〜」で、彼女たちは会場の空気を楽しさいっぱいにチェンジ。ディスコビートに乗るノリノリのメンバーと観客は、ハッピーなテンションで盛り上がった。

自己紹介を終えたアプガ（２）は、ヤマモトショウが作詞＆作曲した「好きな人の好きな人」を披露。元℃-uteの矢島舞美が先生役で出演したMVが話題になったキャッチーなナンバーで、メンバーは可愛さ全開で観客にアピールする。人気ラッパーのvalkneeが提供した「カスタムにきちゃん」は、混じりっ気なしのトラップチューン。ラップ担当の森永は、キレのいいラップをブチかましフロアを熱くした。続く「らびっちゅ♡」で、アプガ（２）は弾けるようなラブリーさを会場全体に振り撒く。彼女たちは、どんなスタイルの楽曲でもパーフェクトなパフォーマンスで観客を楽しませてしまうのだ。さりげなくハイレベルな巧みさを持ったアプガ（２）の必殺フルコースは、ライブ序盤戦から猛威を奮った。

2018年8月に発表された「エンジェル演じて20年」は、当時中学生だった中川と佐々木がアプガ（２）に加入後に最初にリリースしたシングル曲。ダブルセンターを務める2人が、同じステージに並んで歌うのはこの日が最後だ。この春に中川は大学生、佐々木は高校3年生と成長した2人は、表現力を増した歌とダンスで想い出の楽曲をパフォーマンスした。さらにアプガ（２）は、ラテンフレイバーの「恋はアップ(2)Summer」で心地いい夏感を会場に振り撒く。「シーユーだけ。」はシンガーソングライターのナツノコエが手掛けた別れをテーマにしたロックチューン。曲の終わりの中川の“ありがとう”というセリフに、多くの観客がエモさをたぎらせた。

ライブも後半戦に突入すると、メンバー7人は会場の熱量をさらに上昇させていく。「Dong-Dong-Dong!!!!!!!!」でお祭りムードを爆発させ、「ワッチャウッ!!」で渾身のヘドバンで盛り上がる。アプガ（２）のキラーチューン「二の足Dancing」では、地上波のバラエティ番組でも活躍する鍛治島が特技の鼻リコーダーを披露し、メンバー7人がパワフルな歌とダンスをブチかます。さらにアプガ（２）は、つんく♂がサウンドプロデュースを手がけた「Be lonely together」をダイナミックなスケールでパフォーマンス。ライブのボルテージはさらなる高まりを見せた。

ここまで勢い全開で突っ走ってきたアプガ（２）。MCタイムに入ると、卒業する2人がメッセージを語っていった。

中川は“中学2年生の時に、メンバーにもみなさんにもサプライズで私はアプガ（２）に加入しました。私にとってこの5年間は、ホントに毎日が宝物でした。私はアイドルがマイクを左手に持つことも知らなかったし、最初は「なんでアイドルはホントにキラキラしてるんだろう？」って不思議でした。でも今、私はこうしてみなさんからたくさんの愛をいただいて輝けています。私はみなさんのことをホントに愛してます。私は静岡県出身で、中学高校も静岡から通って、東京でアイドル活動をしてました。大変なこともあったけど、でも私はメンバーといる時間がホントに大好きでした。そして私は、アプガ（２）の活動を通じて、地域社会に貢献できる存在になるという新しい夢を見つけたんです。だから次は、その目標に向かっていきたいと思います。まずは大学でしっかり勉強して、立派な大人になって、またみなさんの前に立てるように頑張りたいなと思います。でもまだまだアプガ（２）は続くからね！　これからもアプガ（２）からたくさんの幸せをもらって、みんなも幸せに暮らしてってください！”というメッセージを口にする。堪えていた涙が溢れると、観客から中川の愛称の“ちーこ！　ちーこ！”の大合唱が巻き起こった。

すでに涙を流す森永は“ホントにメンバーのみんなは最高で、でもファンのみなさんもそれに負けないくらい愉快な人たちの集いって感じなんです。ホントに、こんなに平和な場所ってあるんだって心から感じた4年間でした。私は、外国語を学んで海外で羽ばたくという夢を追いかけに行きます。こうして、ステージからみんなとコミュニケーションを取って、パフォーマンスして笑顔で通じ合う力って世界共通じゃないですか。それをいろんな人たちに伝えたいです。「マジでアイドルってヤバいよね！」って英語で言ったり、「幸せだぜ！」って韓国語で言いまくったりしたいです。ホントにこうやって、人生を輝かしい未来に進みたいって思わせてくれたり、ポジティブな自分になれたのはみなさんのおかげです。感謝でいっぱいです。4年間応援してくれてありがとうございました！”と、感謝と嬉しさと涙が入り混じっての熱弁を振るう彼女に、特大の“にーな！”コールが会場に響き渡った。

リーダーの高萩は“この7人のメンバーじゃなきゃできないこともいっぱいあったし、このみんなとじゃなかったら乗り越えられなかった壁もたくさんあったからぁぁあ（涙）。でもね、2人も突き進んでいくし、アプガ（２）もまだまだ走り続けます。寂しいけど、最後まで笑顔でいきましょう！”とむき出しの感情を語る。そして届けられたナンバーは、つんく♂作の「We are Winner!」。2019年4月に発売したこの曲は、森永、島崎、新倉が加入後初のシングル曲。希望感あふれる歌詞とメロディとともに歌われる《未来は勝利》というフレーズは、会場にいるすべての人のこれからを祝うメッセージのように思えた。そこから間髪入れずに歌われたのは、鍛治島が作曲し高萩が振り付けした最新EPの収録曲「Life Is Beautiful」。メンバー7人は、頑張って生きることの素晴らしさを渾身の歌とダンスで伝えていく。彼女たちは観客とともに拳を突き上げ、強烈な盛り上がりを作った。ラストの1曲は、鍛治島が作曲したスカチューン「どのみちハッピー!」。どんなことがあっても笑顔で進んでいこうという歌詞が、全観客の心をグッとつかむ。最後はメンバーとにきファミ（アップアップガールズ（２）のファンの総称）がサビを大合唱。会場に熱い一体感が巻き起こり、まさに大団円となってライブは終了する。

中川は“みんなのことが大好きだよー！”、森永は“今日めっちゃ最高だぜー！”と声を上げる。高萩は“ツアーファイナルも7人体制も駆け抜けたね。寂しいけど、清々しいです。ゴールまでみんなと駆け抜けることができてよかった。ホント、この7人体制はずっと楽しかったね。7人でいろんな壁を乗り越えてきたけど、自分たちのいい経験値になったし、さらに私たちを成長させてくれました。ホントに最高の時間でした。応援してくださったみなさんありがとうございます！　アプガ（２）の新体制は明日から始まるし、2人の気持ちもファンのみなさんの気持ちも背負って頑張っていきたいし、アプガ（２）はさらに大きくなりたいと思ってます。新メンバーオーディションのことも後日発表があると思いますので、楽しみに待っててください！”と、アプガ（２）のこれからの意気込みを口にしてメンバー7人はステージを去った。

だが観客からの大きなアンコールが巻き起こり、予定になかったリアルなアンコールが行なわれることとなった。鍛治島は“嬉しくて出てきちゃった（笑）”と語り、高萩が“せっかくアンコールをいただいたので、次の曲でみなさん絶対にすべてを出し切ってください！　やっぱりアプガ（２）と言えばこの曲ですよね！”と声を上げ、この日2回目の「二の足Dancing」が披露される。汗だくで熱唱するメンバーに、にきファミはクレイジーなまでの歓声とジャンプで応戦。会場は怒涛の盛り上がり空間となった。

メンバーもにきファミもやり切った感に心が満たされる中、高萩が“ちーこちゃんと森永のこれからの道を全力で応援しましょう！　そして、これからも続くアプガ（２）の応援をよろしくお願いします！”と叫び、会場に大きな“オー！！”という声と大拍手が鳴り響いて、ライブはフィニッシュとなった。

別れの寂しさを楽しさで覆い尽くし、誰もがハッピーなマインドになるという素晴らしいライブを成し遂げたアプガ（２）。しばらくは5人のメンバーで活動していくが、現在新メンバーオーディションも行なわれており今後の動向も要注目である。まだまだ前進していくアプガ（２）のこれからに期待してほしい。