TENRIN、HEROINESの“OUTSIDER”が新体制で魅せるアナーキーな転生輪廻|「偶像音楽 斯斯然然」第103回

TENRIN、HEROINESの“OUTSIDER”が新体制で魅せるアナーキーな転生輪廻|「偶像音楽 斯斯然然」第103回

TENRIN、HEROINESの“OUTSIDER”が新体制で魅せるアナーキーな転生輪廻|「偶像音楽 斯斯然然」第103回

今回は、今春より新体制となったTENRINをピックアップ。冬将軍が“今いちばん声のデカい7人組”と絶賛する同グループの魅力を独自の視点で紐解いていく。

『偶像音楽 斯斯然然』
これはロックバンドの制作&マネジメントを長年経験してきた人間が、ロック視点でアイドルの音楽を好き勝手に語る、ロック好きによるロック好きのためのアイドル深読みコラム連載である(隔週金曜日更新)。

TENRINが新体制の7人組になった。4月10日のお披露目ライブ以降、これまで3回ほどライブを観たのが……アツいぞ、アツすぎるぞ、TENRIN。

なんとなく新メンバーが入るんだろうなとは思ってはいたものの、なかなか動きが見えず、“もしや、このまま5人で活動していく可能性もあるのか……?”と思っていた矢先の発表だった。HEROINESならではの拡散プロモーション「○○RTで公開」と予告された新体制第1弾の新曲MVは「ANARCHY」。ロックアイドル・TENRIN新体勢1発目が“アナーキー”だなんて直球すぎるタイトルだろ! ……なんて思ったのだが、公開されてみれば一聴するとアナーキーやパンクロックの香りはしない、予想の斜めを行く90年代を纏ったド派手なユーロディスコチューンだった。しかしながらシンセサウンド×ロックというミクスチャーダンスロック的なアプローチはTENRINたるところでもある。

TENRIN「ANARCHY」

いい具合いの古めかしさ、心地よいテンポ感とキャッチーな楽曲展開も相俟って中毒性も高い。そんな楽曲にパラパラのようでパラパラではない近未来的ギャルサー感を施した、安心と信頼のコレオグラファー・いどみんの振りが炸裂する。

一歩間違えれば、ただの時代遅れでダサくなってしまうところをスキルとパワーで説得力のあるものとし、聴く者をねじ伏せていくのは、TENRINの奥義と言えるものだ。あ、これこそがアナーキーなのか!

日本歌謡的な普遍的メロディにエッジィなラップパートが入り、キメてくるところはバッチリキメてくる。グループのキャッチコピー“ここで死んでここで蘇れ”のキラーフレーズが炸裂するのも抜け目なく、それを新メンバーの雅なぎと、唯一のオリジナルメンバー・のもあちゃちゃが担当しているのも胸熱。今まで歌ってきたメロディをなし崩しにするかの如く唐突に入る、雅の《いっせーのでどーん》であるとか、天鬼桃歌による不意打ち歌い上げ《Fly high》に圧倒されるフックパートもインパクト大で、いいアクセントになっている。エレクトロに混じったディストーションギターのプロダクト含め、こういった新旧を織り混ぜた絶妙な楽曲展開によるバランス感覚は、今どきのボカロPならではの発想、OKA-Nyanの業。

ちなみに、キャッチコピーの“ここで死んでここで蘇れ“は、グループ名の転生輪廻による中二病的なものかと思いきや、“私達のLIVEが、死ぬくらい楽しいと思えるほどの時間を、死んでしまうくらい熱狂の空間を作り上げ、明日からまた頑張ろうと生きる糧を蘇らせる。”という、しっかりとしたコンセプトに基づいたものであることを付け加えておく。

TENRINについて、私見ではあるが“ロック系アイドルの中で、今いちばん声のデカい(声量のある)5人組”と、たびたび当コラムや自分のTwitterで言ってきた。であるから、新メンバーの人選もスキル的な追い込みも、さぞかし大変であろうと思っていたのが、期待以上の逸材2人が加入。七瀬にこは前グループの際、王道正統派美少女アイドルだと勝手に思い込んでいたのだが、キレのよいダンスもダークな響きながら伸びやかな歌声をとってみても、バチバチにロックもいけるじゃないか!という驚きもあり。調べれば、過去に某ミスクチャーロックアイドルグループに在籍していたことを知る。なるほど、それは強いわけだ。そして、雅なぎ。ちょっと斜に構えた表情がGood。ステージングも歌もまったく物怖じしない度胸を見せるパフォーマンス。四肢のダイナミックな動かし方も傲然たるボーカルスタイルにも、多大なるポテンシャルを感じるしかない最年少。

“今いちばん声のデカい(声量のある)5人組”から“今いちばん声のデカい(声量のある)7人組”になったわけである。

そんなこんなで個人的に現在激プッシュしているTENRINだが、最初からピンと来たかといえばそういうわけではない。グループの歴史を見れば2020年5月の結成以来、メンバーの卒業も多く、楽曲の方向性も激しめのラウド系統ではあるのだが、和っぽい曲があったりといまいち定まっていなかった印象も受ける。自分はいつからTENRINを観ていたのか記憶が定かではないのだが、いわゆる近年のツーステ&ラウドロック界隈よりも古典的で、トラディショナルなハードコアをやっているニッチなグループという感想だった。しかし、それほど気に留めていなかったが正直なところである。そして、秋に“あ、5人になったんだ……”と……。

しかしながら、TENRINの快進撃はそこから始まったのである。

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