振付師・槙田紗子［インタビュー］なぜ「わたかわ」「すきっ！」がTikTok総再生数7億回を突破したのか？ バズる振り付けの秘密「“違和感“を1個……」振付師・槙田紗子 インタビュー

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本当に何が起きるかわからないってことを痛感しました

――では、次に超ときめき♡宣伝部 の「すきっ！」についても槙田さん個人が考えるバズったポイントを教えてください。

槙田：
「すきっ！」については、もう2017年に振り入れしている曲で、バズったのが2020年でしたから本当に予想外でした。まだTikTok自体が出始めの頃じゃないですか（初リリースは2016年9月）。だから“TikTokで”っていう依頼すらなかった時代で、普通に“超ときめき♡宣伝部の新曲の振り付けをお願いします”という依頼を受けて、本当に普通に制作しました。ただ、「すきっ！」は、振りじゃなくて先に音源がバズってるんですよ。当時、TikTokで倍速にするのがバズっていた時代で、実際、アイドル好きの女の子が推しの動画に「すきっ！」の音源を被せて、“すきっ！すきっ！”っていう字幕を載せてアップするのが流行ったんですよ。で、確かフォロワーがすごく多いTikTokerの女の子が、とき宣の振りをその倍速音源に乗せて踊ったのがきっかけで振りも流行ったようなんです。ただ、その時の倍速音源は公式が出しているものではなくて、声もボーカロイドみたいになってしまっていたので、改めて公式がメンバーの声で倍速音源を出して、結果、そっちがバズったんです……だから、とき宣のスタッフさんもメンバーも、もちろん私もバズったって知った時には、“えええええ!?　めっちゃ昔やん！”みたいな感じで（笑）、本当に何が起きるかわからないってことを痛感しました。でも、「すきっ！」がきっかけで、人に見られる機会がグッと上がって、本人たちもめちゃくちゃ可愛いし実力もあるんで、今はもう幕張メッセとか横浜アリーナクラスのグループになったわけですからね。

――そして、パンダドラゴンの「パLIFE！パLIKE！パLOUGH！パLOVE！」（以下「パラパラ」）では、まさにパラパラ的な振り付けをされていますね。

槙田：
けっこうカオスですよね。

――パンダドラゴンは男性アイドルグループですが、けっこうハートを作ったりギャルピース（ピースサインを逆にして、手のひらの方を上に向けて前へ突き出すポーズ）したりしてますよね。

槙田：
めちゃめちゃやってます。

――男性アイドルと女性アイドルで、振り付けの違いで意識していることはありますか？

槙田：
男性／女性の違いという点で言うと、パンダドラゴンは例外すぎるんですけど（笑）、まず男性と女性では、基本的に身体の作りがまったく違うんで、例えば女性だったら骨盤を動かせるけど、男性にはそれができなくて。お尻フリフリとかひねったりする動きができなかったりするので、そもそもダンスのジャンル自体が違うんです。で、私は基本的に“男性振り”を掘り下げてはこなかったので、今も勉強中ではあるんですけど、パンダドラゴンには“女性振り”を踊ってもらってるんですよ（笑）。でも、全部が女性振りなわけじゃなくて、男らしさを見せたいタイミングもあるので、ヒップホップっぽかったり、K-POPの男の子っぽい感じをめっちゃ取り入れたりもしてます。ただ、メンバーたち自身も女性アイドルが好きだったりして、私の振り付けも“可愛い！”って言ってくれるので（笑）、男性だからってことにこだわらず、基本的に女性アイドルと同じように振り付けしてますね。

――「パラパラ」を観ていて、“こんな動きもあるんだ！　男性アイドル、すごい！”って思ってしまいました。

槙田：
「パラパラ」も曲が本当に面白いんですよ。作曲は玉屋2060％さんですけど、もう曲がやばすぎて、マネージャーさんから楽曲が届いて聴いた瞬間に、速攻で“もうサイッコーですね！”って返信したくらい（笑）。だから私もとんでもないものを作ってやろうと思って、めちゃめちゃ気合い入れました（笑）。

――アップテンポで、振りも目まぐるしくも美しいみたいな。

槙田：
彼らの身体能力がすごすぎて、何でもやってくれるんですよ。

――身体能力という点でも男女で違いがあるんですか？

槙田：
スキルは男性か女性かは関係ないですけど、似たような振りでもダイナミックというか迫力みたいなものは、やっぱり男性の方があるなとは思います。生で観た時のステージから来る圧みたいなものがすごいですよね。逆に女性は、繊細な動きだったり、可憐な動きは得意ですよね。

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