【インタビュー】篠田麻里子、主演舞台第2弾に挑む役者としての信念「命をテーマにした作品は簡単ではない。けど、やりがいはある」舞台＜殺してもいい命＞インタビュー

稽古中でもラストシーンでの雪平の想いは考えてしまう

――篠田さんが、雪平を演じる上で意識したことは？

篠田：
悩みは抱えているけど、正義に向かって自分が正しいと思うことを突き詰めて行動していく姿勢を表現できたらと思いました。あとは、過剰に演じるとオーバーに見えちゃうから、無意識にやってみたら、自然と雪平のように見えたというのが理想だなって思っています。

――そのあたりのバランスの取り方は挑戦になりますね。

篠田：
そうですね。やっぱり顔の表情だったりカメラワークで見せられる映像と、ステージ全体を通して見せる舞台では表現の仕方は全然変わるので。それは空気感の動かし方とかも含めて。

――日によって舞台の雰囲気は変わりますか？

篠田：
全然違いますね。お客さんの反応によっても変わりますし。笑うポイントで、その日のお客さんの反応がわかります。

――そうなんですね。

篠田：
芸人さんが、前座の雰囲気で本番のネタを変えるっていうのはすごくわかりますね。舞台なのでネタは変えられないけど、例えばお客さんの反応がいいと、もっとテンポを上げていってもいいなって思うし。

――セリフのスピードも変わるんですか？

篠田：
そうですね、けっこう変えますね。反応が鈍いと、セリフを置きにいくというか、話すテンポを少し下げます。AKB48時代も、MCではこういうことが求められているんだろうなって考えて話していました。お芝居では、セリフを変えることはできないんですけど（笑）。

――今作は、前作とはキャストも変更になっていますが、共演者のみなさんの印象はいかがですか？

篠田：
今は稽古中ですが、新しいチームとして、前回とは雰囲気が全然違いますね。

――どういう違いを感じていますか？

篠田：
キャラクターの話になってしまうのですが、前作では、安藤は刑事になったばかりだったので、雪平とのチームワークが築かれる前に捜査が始まって、雪平が安藤にわりときつく当たっていたんですよ。今回は、前作の続きということもあって、安藤がパートナーとして徐々に成長してきていて、どっちかと言うと雪平を引っ張っていってくれている部分も出てきました。そういう部分で成長しているところも見えるので、雪平が弱みを見せられる相手ができたんだなって思いますし、そこは嬉しいですね。

――雪平自身の変化についてはどう考えていますか？

篠田：
人間らしさが出ていますよね。完璧な人間だと面白くないというか、やっぱり“雪平も人間だよね”っていうところがあると嬉しいですね（笑）。“そうだよね、弱いところもあるよね”っていう。

――今回はラストシーンにも、雪平の人間的な変化が感じられました。

篠田：
そうですね……稽古をしている時でも、ラストシーンでの雪平の想いについては考えてしまうことがあります。

――今回の舞台で、篠田さんがどういう表情をするのか気になります。

篠田：
そうですね、難しいですよね。自分のしてきたことを思い出したりもしていたのかなって思います。銃を撃った回想シーンとかも出てくるので、そういう意味では、雪平の弱い部分が出てくるのかなと。

――そこがまた、雪平の魅力になっているのかもしれないですね。

篠田：
すごく魅力的ですよね。彼女って、わりとピュアだと思うんですよ。事件のことだったら冷静に判断できるんだけど、自分のことや子どものことになると、上手に判断ができなくなるところもありますし。

――もし篠田さん自身が、本作の犯人と対峙したらどういうことを考えますか？

篠田：
う〜ん、どうするだろう……たぶん、犯人のそれまでの人生を考えてしまうと思います。どんなつらい思いをしてきたから、こういう行動を起こしてしまったのかなって。

――今回の犯人の過去には、いろいろなことがありましたからね。

篠田：
そうですね。その中で、“愛”のために行動しているところもありましたよね。