Saya×佐藤カズキ［インタビュー］師弟の2人がアイドルシーンに投下した激烈強力作NEO JAPONISM「BLACK JAM」誕生秘話「ヤバい佐藤カズキと、ヤバいMEGと、一緒にヤバいことしようと思った」NEO JAPONISM「BLACK JAM」Saya×佐藤カズキ インタビュー

NEO JAPONISMが2月15日（水）に配信リリースした「BLACK JAM」は、これまでになかったパンキッシュなアッパーチューン。それもそのはず、BiSH、BiS、EMPiREなど、WACKグループの多くの楽曲を手掛けてきた佐藤カズキと、NEO JAPONISMのサウンドプロデューサー・Sayaによる共作曲だ。ベースはCrystal LakeのMitsuruが参加し、ミックス＆マスタリングはMEG（MEGMETAL）が担当、という豪華布陣である。

SCRAMBLESが運営するスクランブルズミュージックカレッジ（SMC）のスクール生だったSayaにとって、佐藤カズキはかつて“先生”と呼んでいた存在だった。その2人がなぜタッグを組んだのか。佐藤カズキらしさ、あえての“WACKグループっぽさ”を狙って制作されたという楽曲強度の高い「BLACK JAM」の全貌に迫る。

“元SMCの仲谷です、一緒にお仕事がしたいです”ってDMが来た（佐藤カズキ）

ーー佐藤カズキさんは現在仙台にお住まいということで、我々はSayaさんのMELON SODA STUDIOよりリモートでのインタビューになります。

カズキ：
今日は“Sayaさん”と呼んだ方がいいのかな（笑）。

Saya：
いや、仲谷でいいッスよ（笑）。SCRAMBLESの時は“仲谷コータロー”名義だし。

ーーまず、おふたりが1番最初に顔を合わせたのはいつのことですか？

Saya：
本当に最初はBiSHのサイン入りギターを受け取りに行った時。下北沢だった。

カズキ：
たぶん5〜6年前ですかね。松隈（ケンタ）さんが最初に大岡山っていう場所にスタジオを作って、次に下北沢に楽器屋さん及び、レッスン所を作ったんですよ。そのタイミングでギター（松隈プロデュースのギターブランド：Jimmy Quartett.（ジミーカルテット））を作ったんですよね。で、仲谷くんがそのギターを買ったんだよね。

ーー以前Sayaさんを取材した際に見せてもらった赤いテレキャスターシェイプの。

ポスト

Saya：
正確に言うと、クラウドファンディングの1番高いコースで、BiSHのサイン入りギターが出ていて。俺、その時、地下アイドルのプロデュースを始めたばっかで、かなり挫折をしていて……。俺と同じような感じで、地下アイドルを手掛けて成功してる人はいるのは誰なんだろう？って調べたら、BiSHが出てきた。「オーケストラ」っていう曲が超カッコいいなと思って。それで松隈ケンタという人が、バンド上がりで自分の音楽やってアイドルを売っているというのがわかったから、“あ、この人、俺の上位互換だ！　会わなきゃ！”と思って、会える方法はないかなと思ったら、そのギターが80万であったから、“これ買ったら絶対会えるべ！”と思って、買ったんだよ（笑）。

カズキ：
いやぁ、世の中って金持ちっているんだなって思いましたよ。そんな高いギター買う人いるんだなと思って……っていう出会いですね。

ーーそこではお互いちゃんと認識していたんですか？

Saya：
カズキさんのことは、BiSH「本当本気」の編曲者っていうのを知ってて。ギターをぐっしゃんぐっしゃん弾く人っていうイメージでカッコいいなって思ってた。

カズキ：
僕側は高いギターを買った人っていう（笑）。そっから、どのくらい経ってスクール（SMC、スクランブルズミュージックカレッジ）に入ったんでしたっけ？

Saya：
けっこうすぐだった、半年もないくらい。とりあえずギターを買って、松隈さんに会ったはいいけど、あとで調べたらスクールがあったから、別に高いギターを買わなくてもよかったじゃんって（笑）。

カズキ：
あはは（笑）。その目的でギターを買ったけど、そもそもスクール入れば会えたじゃん、みたいな？

Saya：
そう、でもそのギターはめちゃくちゃ音がいいから、よく使ってる。いまだに活躍してるね。

カズキ：
そこから何年くらいレッスンやってた？

Saya：
2〜3年くらいくらいかな。ある日突然卒業になったから。松隈さんが福岡に行くから、そのタイミングで卒業になったんだよ。突然電話が来て“仲谷、お前はできるやつだから、卒業っ！”みたいになって。やらなきゃいけない課題があったんだけど、なんかいきなり卒業することになっちゃったんだよ！（笑）

カズキ：
ああ、そうだったね。気づいたら仲谷くんがいなくなってた（笑）。

ーーSayaさん、その頃はもうPEDROとかやってたんですか？

Saya：
PEDROはもう少しあとかな。WACKで1番最初に決まったのは、GANG PARADEのユイ・ガ・ドクソンのソロ曲「Like a virgin」！　ユーロビートの。

カズキ：
ああ、あの曲ね！

ユイ・ガ・ドクソン「Like a virgin」（2018年）

ーーカズキさんは、Sayaさんが手掛けている曲は知っていたんですか？

カズキ：
そうですね。やっぱり気にしてました。おこがましいですけど、その時は生徒という形で見てたので。“すごい人来たな、習わなくていいのに”みたいに思ってました。でも月に1度くらいしか来ないコースだったので、会う回数は少ないですし、BiSHのライブとか忘年会の時に会うくらいでしたね。あまりしゃべったこともなかったです。

Saya：
1番話す機会は作家発表会とか、そういう日なんです。何ヵ月かに1回。

カズキ：
でも仲谷くんは、毎回来るたびに“カズキさんのアレンジ好きッス”って言ってくれて嬉しかったな。仲谷くんはレッスン生とはいえども、自分でアイドルをプロデュースしてるすごい人だと思っていましたから。それで、僕がSCRAMBLESを辞めてこっち（仙台）に帰ってきて1年後くらいかな？　DMが飛んで来たんですよ。“一緒に音楽やりましょう！”って。

ーーそれって、いつのことですか？

Saya：
去年の……TwitterのDM開けばわかるな（スマホを見ながら）……えっと、これだ、去年の10月“佐藤先生、ご無沙汰しております！”って。

ーーおお、先生と生徒だ！

カズキ：
“元SMCの仲谷です、一緒にお仕事がしたいです”みたいな感じでDMが来て。僕としても非常に嬉しくてですね。少しだけど接点がありましたし、いい曲書くなと思ってたんで。単純に嬉しかったので“やりましょう”って答えたんですよ。だから昔からすごく仲がよかったとかではなかったけど、今となっては遠距離恋愛みたいな関係になってます（笑）。

ーーSayaさんがカズキさんにDMを送ろうと思ったきっかけは、なんだったんですか？

Saya：
SCRAMBLESからカズキさんがいなくなったのを知って。なんというか、アルバム1枚のうち4曲くらいカズキさんの曲がなきゃ、SCRAMBLESっぽくならないんですよ。そんな人が今何やってるのかなと調べたら、がっつり商業作家をやってる感じでもなかったから、それなら“絶対一緒にやりたい！”と思って、DMしたんです。

ーーそれはNEOの曲を一緒に作る、ということで誘ったんですよね。

Saya：
もちろん！　佐藤カズキをNEOの曲で使えるなら勝ったな！と。

カズキ：
嬉しかったですねぇ。