TEAM SHACHI［ライブレポート］「みんなとできることが増えて、自由を感じられる一年でした」クリスマス・イブの祝祭感あふれた＜鯱の大感謝祭＞

2021年に続き、2度目の開催となった年の瀬のコンサート。今回はクリスマス・イブという日程も相まって、祝祭感あふれるスペシャルなパーティーが展開された。

第1部は、14:30にスタート。会場を埋め尽くしたタフ民たちの期待が高まる中、ステージ上ではTatsuya（ドラム）、masasucks（ギター）、MIYA（ベース）のバンド民がアコースティック・セッションをはじめる。シャンシャンと鳴り響く鈴の音にのせて、いよいよTEAM SHACHIの4人が登場！　それぞれのメンバーカラーにコーディネートした、エレガントな衣装を纏って「サンタが街にやってくる」を可憐に歌うと、立て続けに「よろしく人類」をアコースティック・バージョンで披露。会場は、ホームパーティーのような和やかなムードに包まれた。

“さぁ、はじまりました！　TEAM SHACHIの大感謝祭。みんな、メリークリスマス！　アコースティックで歌ったり、カバーに挑戦したりするので、みなさんにも音で楽しんでもらえたらと思います”（秋本帆華）と語ると、このイベントならではのカバー曲パートへ。まず披露したのは、事務所の盟友であるDISH//のナンバーで、レーベルメイトでもあったあいみょんが作詞・作曲を手掛けた「猫」を、情感たっぷりに歌い上げる。さらに、浜田雅功と槇原敬之が2006年に発表したクリスマスソング「チキンライス」では、歌詞を「品川プリンス押さえとけ」と変えてみたりと、遊び心も覗かせるカバーとなった。

“続いては、アコースティックで歌うのは初めてのナンバーです”（大黒柚姫）と、チームしゃちほこ時代のシングル曲「シャンプーハット」を、ブラス民からサックスのAMIminを加えた編成で演奏。アーバンでアダルトなムードが増幅したアレンジにのせ、4人はしっとりとした歌唱を聴かせ、大きな拍手が起こった。“この曲のMVでは制服だったので10代のイメージが強かったけど、今日は20代っぽくない!?”（咲良菜緒）と、メンバーたちも手応えを感じる仕上がりとなった。

そして、“TEAM SHACHIはこの人がいないと成り立ちません！”という紹介とともに、音楽プロデューサーの浅野尚志をステージに呼び入れる。昨年に続く出演となる浅野は、彼女たちがチームしゃちほことしてのデビューした時から、活動の鍵となる大事な楽曲を提供し続けてきた盟友。“私たちが中学生で、浅野くんが大学生の時からでしょ？”（咲良）と、付き合いの長さにあらためて感慨を覚えつつ、“TEAM SHACHIにとって大事な曲です”と、2018年に4人体勢となりグループ名を改名してからの初の楽曲「DREAMER」を、浅野のピアノ伴奏で披露。後半にかけて力強さとエモーショナルが増していくような、表情豊かなボーカルを聴かせる。さらには、TEAM SHACHIがプライベートレーベル・ワクワクレコーズから発表した、初のEP『舞いの頂点を極めし時、私達は如何なる困難をも打ち破る』から、浅野尚志が書き下ろした「解凍ガール」をピアノ1本の伴奏で見事に歌い上げ、ほっこりとあたたかい空気をオーディエンスと共有した。

“ピアノ1本だと雰囲気が変わる。我ながらいい曲ですね”と笑みをこぼした浅野に、“前向きな恋愛ソング。私たちの成長をずっと見続けてきた浅野くんだからこそ、この曲を描いてくれたんだな”（咲良）と喜びを伝えると、“浅野くん、来年の12月も鯱の大感謝祭で予定空けといてね！”と、早くも来年末のスケジュールを確保。タフ民からも大きな拍手が送られ、浅野はステージを後にした。

“ここからはアッチアチになるから！　後半戦楽しんでいきましょう！”（坂本遥奈）がアジテートすると、ステージ上の戻ってきたバンド民たちが、ロックバンドとしての本領を発揮。爆音のギターソロで煽ると、客席も総立ち状態となった。さらには、おなじみブラス民の5人もステージに登場して、迫力あるサウンドで会場をあたためきったところで、全員真っ赤な衣装に着替えたTEAM SHACHIが登場。アッパーな「眠れないナイNIGHT!」で、先ほどまでのしとやかな雰囲気をガラリと変わった、熱量のこもったパフォーマンスを展開。それに応えるように、タフ民たちも溜まりに溜まったエネルギーを放出するように躍りまくり、これぞTEAM SHACHIといえる空間を作り上げていった。

さらには、久しぶりのパフォーマンスとなる「んだって!!」や、最新EP収録されたレペゼン東海エリアソング「東海コンプライアンス」など、頭を空っぽにして踊れる楽曲を立て続けにドロップ。かと思えば、ブラス民の厳かなアンサンブルによるイントロダクションから披露された「MAMA」や、川谷絵音が作詞・作曲を手掛けた新曲「江戸女」では、バシッと決まったフォーメーションと歌で、カッコいいTEAM SHACHIの姿を見せつける。

高速ドラムソロに続いて演奏されたのは、ワクワクレコーズからの第1弾ソングで、早くもTEAM SHACHIのアンセムとなってきた「舞頂破」。迫力のバンド・サウンドに、後半には分厚いブラス・セクションも加わる重厚なアレンジが施され、この楽曲の魑魅魍魎な魅力がさらに深まった印象に。目まぐるしく変わる曲調とシンクロする複雑なダンスのフォーメーションにも磨きがかかり、タフ民たちはペンライトを激しく振りながらステージ上の4人に魅了されていった。そして「乙女受験戦争」「番狂わせてGODDESS」とアッパーな楽曲を容赦なく繰り出していった。

プライベートレーベル・ワクワクレコーズの設立や、野外イベント＜シャチサマ＞の開催、EPのリリースツアーなど、攻めの姿勢で挑戦し続けた2022年を振り返りながら、秋本は“いろんなことにチャレンジした私たちらしい1年だったけれど、私は、このチームだからできること、見える景色がまだまだあると思いました。タフ民と一緒なら、まだまだ楽しめる。心からそう思える1年でした。夢に向かってがむしゃらに楽しむ、私たちのそばにずっといてださい”と、語りかけ、TEAM SHACHIの決意表明ともいえるナンバー「光」を、メンバー4人心を込めて歌い上げ、本編を終えた。

アンコールを求める大きな拍手に応え、4人は再びステージへ。チームしゃちほこ時代からの名曲「もーちょっと⾛れ!!!」で、ハッピーな空間を生み出すと、メンバーを代表して大黒がクロージングのMCを担当。大黒は“今年、私たちは10周年イヤーだったけれど、10年やってても、まだまだやってなかったことがたくさんある。自主レーベルを立ち上げたり、リスクのあることもあるけれど、タフ民やスタッフ民は、一緒に楽しみながら、その世界に飛び込んでくれる。みなさんのありがたさと、本当に実感した一年でした”と語り、さらに“さっき歌った『光』の途中で、魂が震えた。涙が出るのとは違う、自分の心がブルブル震える感じ！”と、今日のライブで得られた、かけがえのない感激を伝えた。そして、出演者全員を呼び込んだ「マジ感謝」を歌い、賑やかににこやかに第一部は終了した。

2時間のインターバルを挟み、第二部は18:30よりスタート。大人カワイイな衣装をまとってステージに登場した4人は、第1部を経て少しリラックスしたか、アコースティック編成のセットリストをのびのびとした歌声を聴かせる。カバー曲のパートでは、メンバー4人で選んだという、Official髭男dism「115万キロのフィルム」とBoA「メリクリ」のカバーを披露。感情豊かな歌唱とハーモニーで、名曲たちとシャチ色に染め上げながら歌っていく。

“いつもより大人なシャチを楽しんでいただけてますか”（秋本）、“いつもゴリゴリのライブがTEAM SHACHIの売りだけど、こういうライブがたまにできるのは、私たちもうれしいよね”（咲良）、“落ち着いた雰囲気で歌えるから、みんなの顔もじっくり見られてうれしい！”（坂本）と、このスペシャルな一夜をメンバー自身も楽しんでいる様子が伝わる。

そして第一部に引き続き、二部にも浅野尚志がゲストで登場。“タフ民とかブラス民とか、いろんな“○○民”がいるけど、浅野くんは一人で“浅野民”て名前がついてる”（咲良）と、TEAM SHACHIにとってどれだけ特別な存在であることかを紹介。その浅野と制作した「DREAMER」と「解凍ガール」は、メンバーとともに歩み、見つめてきた彼だからこそ表現できるグッと迫りくる言葉の数々と、楽曲そのものの強さ、いわゆる“浅野曲”ならではの魅力が、ピアノ1本と4人の歌声だけで演奏されることでよりダイレクトに伝わる素晴らしいパフォーマンスであった。

バンド民とブラス民がステージに登場し、後半戦へ突入！「眠れないナイNIGHT!」「東海コンプライアンス」「江戸女」など、怒涛のアッパー曲が立て続けに投下される中、レゲエ風の「HONEY」では、20代半ばを迎えるメンバーたちの妖艶さも垣間見られ、TEAM SHACHIの新たな魅力も感じさせる充実のセットリストに。

そして、いよいよ＜鯱の大感謝祭2022＞もクライマックスへ。生のドラムでリズムが強調され、さらに激しさが増した「舞頂破」に続いて、息つく暇もなく「抱きしめてアンセム」へとなだれ込む。ステージ上もフロアも一心不乱となって躍りまくり、ステラボールは東京で一番のカオティックな空間へと変貌した。さらに「みんな、まだまだ遊び足りないよねー？　最高のクリスマスつくりたいよね！」（咲良）とシャウトすると、「START」を披露。沸点超えの盛り上がりを見せる。

「START」のパフォーマンスが終わっても場内の拍手が鳴り止まなない中、クールダウンするようにギターがイントロダクションを鳴らし始めると、坂本がタフ民に向かって語りかける。“今日はたくさんの選択肢があるなかから、TEAM SHACHIのライブを選んでくれてありがとう。いいものをみんなに届けたいという思いで、今日のライブを作ってきました。これからも、みんなも一緒に上を見てくれますか？　光に向かって一緒に走ってくれますか？　最後の曲に想いを込めて。みんなに届けたいと思います”。そしてラストの「光」を見事に歌い上げて、4人はステージを後にした。

アンコールの拍手に包まれながら、メンバーは再びステージに登場。“あたしたち、めちゃくちゃ楽しんじゃってるけど、みなさんいかがですか？”（秋本）と呼びかけると、フロアはさらに大きな拍手で応える。その想いに対して、メンバー4人は「最上級の愛の⾔葉」という多幸感あふれる楽曲を届けた。そして、第二部のクロージングMCとして、咲良が代表して語った。咲良は“今日でライブ納めということで、今年一年ありがとう！　毎年、過ぎていくのが早いけど、今年はみんなとできることが増えて、自由を感じられる一年でした。＜シャチサマ＞のような野外イベントができて、これこれ！って思えたし、今日の『START』もこれこれ！って感じで、みんなとひとつになれたのがよかったです。今年は大きな一歩を踏み出せた大事な年だったけれど、来年はその一歩を無駄にしないように、この一歩があったからこそ次に進めたということを、みんなと感じられるような年にしたいと思います。ありがとうございました！”と、思いの丈を伝えた。

＜鯱の大感謝祭＞も、いよいよオーラス。ステージ上に出演者が集結して、「マジ感謝」を披露。4人はステージ上を自由に動き回りながら、会場中にありがとうの気持ちを振りまく。“みなさん素敵なプレゼントありがとう！　来年もまた待ってますー！　楽しい思い出つくろうね！”（秋本）と笑顔で挨拶して、クリスマス・イブの日に、二部にわたるパーティーは、大団円で幕を閉じた。

TEAM SHACHIは、2023年1月28日（土）に地元・愛知県のZepp Nagoyaにて＜トーカイ王国祭＞、2月25日（土）には東京・LINECUBE SHIBUYAにて＜SHACHI CARNIVAL＞をそれぞれ開催することが決定している。