染谷有香［インタビュー後編］グラビアで自己表現する者の矜持「“撮りたいな、この女”って思ってもらえるような生き方をしたい」染谷有香インタビュー後編

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素の自分を出せば、幅になる、ギャップになるのかな

――以前、グラビアを始める時に、セクシーなコンテンツを研究しまくったとおっしゃっていましたが、最近も研究はされていますか？

染谷：
相変わらずやっていますよ（笑）。セクシーなコンテンツにも流行があるので、それに乗り遅れないように……私に似合うかどうかもあるので、乗るかどうかはともかく、一応、知っておきたいなと思って、日々、勉強しています（笑）。

――最近のトレンドは？

染谷：
これまでも“あざと可愛い”ってあったと思うんですけど、その“あざと可愛い”人がちょっとドSみたいなコンテンツをよく見かける気がします。服装も甘々な女の子っぽいものなんですけど、ツンデレなセリフを言ったり。わかりやすいドSなお姉さんが、ドSなことを言うのではなく、可愛いらしい雰囲気の子が挑発的なことを言うような、そういうものが多くなっていると思います。

――ギャップで攻めてくると。

染谷：
そうです！　ギャップです。それを私がやるとしたら、ドSなお姉さんがドSなことを言うという感じになってしまうと思うんですけど……それはそれでいいんですけど、“ドSな雰囲気のお姉さんなんだけど、実は天然”みたいな展開にすればできるかなとか考えていますね（笑）。ドSなお姉さんなんだけど、階段で躓いたとかだったらいけるかな（笑）。天然な部分って、もともと自分にあるものだし、ドSの雰囲気の方が実は後づけなタイプだと思っているので、もうちょっと天然な部分も見せてもいいのかなというテンションにはなってきています。以前は、ドSのお姉さんっぽいことを言わなくちゃって思っていたりもしたんですけど、そうじゃなくても、ギャップとして楽しんでもらえるのかもって思うようになりました。

――自分の素を出しやすい状況になってきているんですね。

染谷：
そうですね。『This is the beginning』で、ガチガチにレザーやボンレス……ボンテージですね（笑）。そういうイメージを作ってもらったので、あとは、素の自分を出せば、幅になる、ギャップになるのかなとは思います。

――染谷さんの写真集は、前作にももちろんそういう要素がありましたが、新作はファッション誌のチームと組んで、より芸術性が高い作品になったと思うんです。その一方、芸術性が高まり過ぎると、ファンの方がついてこられなくなってしまったりもしますよね。レビューで“いや、そういうことじゃない”って書かれてしまったり……。

染谷：
ありますね（笑）。

――グラビアらしさと芸術性のバランスみたいなことは考えたりしますか？

染谷：
いやあ～、わからないです（笑）。ただ、前作の時にはそういうレビューも多かったんですよ。“暗い”とか“もっと笑ってほしい”とか。そういう書き込みも全部読みました。それで、“しょうがない、飲みに行こう……”みたいな気持ちになっていたんですけど、でも、今作は、最初にも話したように“コスパが心配です”みたいに書かれていて。それって、きっと喜んでもらえたんだと思うんですよ。グラビアアイドルがファッション誌のチームと組むことって、これまでもあったと思いますけど、今回は、そのど真ん中の人たちとやっているのに、“芸術性が……”とか“ファッション性が強すぎる”という意見がなくて。どちらかというと“大満足です！”“ありがとうございます！”みたいな意見が多いんですよ。それはすごく意外でした。その理由は、これからちゃんと分析しないといけないと思うんですけど、現時点では、単純に露出しているページが多いのがまず１つ。それと、撮影の初日に食事会をしたんですけど、その時にみなさんに“本当にいいんですか？”みたいなことを聞いたんです、ウミブドウを食べながら（笑）。“いや、やるからにはよいものを作ろう”って言ってもらえて。そうやって一体感を持って撮影できたんですよね。そういう空気感が作品に現れているからなんじゃないかと思うんですよね。もちろん、セクシーということに関しての美意識も、みんなとすごく合っていたと思いますし……奇跡に近いというか、あの環境であのチームとしか作り得なかった1冊だと思います。だからこそ、見てくださった方が“コスパが心配”なんて言ってくださるんでしょうし。喜んでもらえるものができて、もう、素直に嬉しいですね。今はもっと売れるように、もう少し頑張らないとって思っていますね。

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