キングサリ 天神・大天使・閻魔 ［インタビュー後編］ほかにはいないアイドルとして、1人の表現者として想い描く未来「グループにはいるけど1人でもやれる、というのが理想かもしれない」キングサリ 天神・大天使・閻魔 インタビュー後編

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私よりもアンスリュームというグループに相応しい子たちが入ってきた

——普段の自分と、“閻魔”になる切り替えってあるんですか。

閻魔：
私は基本閻魔、裏表ないからずっと閻魔だな。ずっと閻魔だけど、ヲタクの前では涙を見せないというのは決めてる。見せたことはあるけど、本当にそれってだいぶレア。閻魔は泣かない子だから。アンスとの対決（四半期に開催される公式バトル＜アンスリュームVSキングサリ＞）で2回連続で負けて、泣いてるメンバーもいたけど、私が1番泣きてえわ！って思った。でもそこで泣くことはなく、家に帰ってから泣いたし。キャラクター的に、メンバーにもヲタクにも涙を見せるのは閻魔ではないなと思ってるかな。

——裏を見せない、頑張ってるところを見せない美学、っていうのもあるじゃないですか。それと似た感覚でもありますよね。

閻魔：
かもしれない。普通にわんわん泣いてるところを見せてもいいのかなとは思ってるんだけど、心のどこかで“ダメだやめておこう”って、リミッターをかけちゃうところがあって。ヲタクの前でそういうのを見せてるやつもいるけど、私はそれってキモいことなのかなって思っちゃってるから、できない。でも普通に泣くし、傷つく。根が卑屈だから“お前、こう思ってるんだろ！”とか普通にヲタクに言うけど、マジの状態は見せられないなって自分で制御かけてる。

——弱いところを見せたくないというより、カッコ悪いところを見せたなくない？

閻魔：
うーん、そうかも。なんかモチベ的にはヤンキーなんだよね。“売られた喧嘩は全部買うぜ！”みたいなノリなんだけど、ハートの熱いヤンキーだと思ってる（笑）。でも、多くのアイドルが私とは真逆で。みんな思ったことは言わないだろうし、言えないだろうし。職業的にも媚びを売った方がいい仕事だから、ガチ恋を作った方がいいんだろうけど。私もそうした方がいいんだろうなと思った時があったんだけど、黙ってしまったら閻魔じゃなくなってしまう気がするから、やらないし、できない。それだったら閻魔じゃなくていいなって。だから思ったこと言っちゃうんだよね。

——そうやって言いたいことをズバズバ言う、ハートの熱いヤンキーな男前っぷりは、同性ウケもいいですよね。“閻魔ガールズ”と呼ばれるように、ほかのアイドル、同業者の閻魔ファンがものすごく多いじゃないですか。

閻魔：
そうなんだよね、歌ウマ強気女が好きな女たちに好かれる。ヲタクにもよく言われるけど、初見が怖いんだよ、威圧的だし。だから声かけるのを躊躇ってたという子たちもいて。“声かけて無視されたらどうしようかと思いました”って、怯えて声かけてくる子もいるんだよ、そんなことするわけないじゃん！　私はハートの熱いヤンキーだぞ（笑）。

——慕われたら離さない、頼れる“姐さん”ですね。

閻魔：
こんなにほかのアイドルと接してるのに、いまだにオタクに“怖い”とか言われるのが意味わかんないだよね。そんなヤバいドグサレ野郎だったらそんなに人が集まって来なくない？って。

——ヲタクって、“黒髪、清楚”みたいな自分の理想があるから、そこから外れている子は受け付けない、みたいなところありますからね。

閻魔：
確かに。私から言わせてもらえば、“お前の方が怖いよ！”っていうこともあるんだけどね。まぁ、アイドルなんて私より怖い女しかいないよ（笑）。でも、怖いと思われていていいかなとも思う。それって、ナメられてない証拠じゃん。意味わからないヤツにナメられるのが1番嫌だから。

——それ以前、『裏！でびラジ』（Devil ANTHEM.マネージャー／プロデューサー・佐藤海人による音声配信番組。閻魔はアシスタントを務めている）でも言っていましたよね。前はナメられることが多かったって。

閻魔：
そうそう、最初は“アンス、ナメられてるな……”っていうことも多くて。でもアンスが有名になっていくにつれ、手のひら返ししてるスタッフもいて、そういうヤツらにはもう挨拶しないようにした。それこそ海人さんは最初の第一印象は悪かったんだけど、今は仲よしだし。そうやって外部の運営の人ともガーガーしゃべれちゃうから。“おもしれー女”って顔される（笑）。

——現在のアンスリューム、自分のいたグループをどう見てますか？

閻魔：
今はだいぶ平気だけど、最初は気持ち悪いと思っちゃってた。いた当時は“私はアンスリュームの癌だ”って言ってたんだけど、それはよくも悪くもって感じで。それが自分がいなくなって、側から見ると“アンスリュームって、素敵なグループだな”って、ほっこりしたし、ある意味ほかのグループになったからこそのリスペクトも生まれた。先輩面じゃないけど、新しく入ってきたメンバーには私がいた時よりグループをよくしてほしいなって思う。私よりもアンスリュームというグループに相応しい子たちが入ってきたなと思うし。前向きに思ってるよ。

——閻魔さん自身はアンスリュームの時と比べて、キングサリのメンバーとしての居心地はいかがですか？

閻魔：
居心地は今の方が断然いいな。アンスの時に叶わなくてつらかったことができてるというか……私、みんな一致団結青春物語みたいなのが好きだし、同じメンバーとして一緒に関わっていきたいと思うタイプなんだよ。

——キングサリは一致団結できていると。

閻魔：
まぁ、現段階で私が見た限り、メンバーは私には強く言えないなと思っているんだけどね。私に対して振りが違うとかは言えるけど、本心は言えないというか。本当はこう思ってるんだということを、メンバーは私に向かって言えないんだろうなとは思ってる。でも、グループの雰囲気とかメンバーの仲自体はすごくいいんだよ。めちゃくちゃおしゃべりするとかじゃなくて無言の時間もあるけど。私は楽屋の空気とかライブ前のテンション上げる前に会話するとか、“お疲れ”とか“ありがとう”とか、挨拶ってマジ大事だと思ってるからさ。メンバー同士であっても挨拶は怠ってほしくなくて、挨拶できないグループは嫌だし、挨拶できない女も嫌。だから挨拶ができて、会話ができる楽屋の雰囲気がいいなと今は思ってるし、めっちゃしゃべるようにしてる。キングサリは、なんか私がいじめっ子みたいな立ち位置になって、メンバーをいじってるけど、それもじゃれあいみたいないい感じだし、私が表にガンって出ちゃってるぶん、ここではアイツをいじったりした方がいいなと思ってやってるから。それでヲタクも“みんなわちゃわちゃしてていい”と思ってくれれば。だからそういうのを出してる。

——すごくいい関係が築けているわけですね。

閻魔：
怒ったりもするけどね。プロデューサーじゃないけど、プロデューサーみたいなこと言ったりもする。こないだ（2022年8月12日）のアンスとの対決に負けて、私が1番勝ちたいと思ってるのに、ほかのメンバーが“アンスには勝てないんだ（ヘラヘラ）”ってしてるのがすごく嫌で。それ言ってたメンバーに“2度と言うな！”って、キレた。“それはキングサリとして言っていいことじゃないから”って、普通に注意もする。プロデューサー面というか、グループとしての理想像がある感じかな。“お前はこうした方がいい、こう言った方がいい”というのをメンバーそれぞれに言ったりもする。

——キングサリを今後どういうグループにしたいと思っていますか？

閻魔：
それぞれのキャラだったり、求められているものを理解して、もっとグループ全体の絆がこの先過ごしていくうちに生まれたら、全体的に輝けるのではないかなと。メンバーによっては迷走していたり、悩んだりもする中で、まだ1年未満だけど今後1年、2年経っていく中でみんなそれぞれが成長していったら強いんじゃないかなと思うよね。贔屓目ではなく、最初の勢いとかもだいぶすごいグループだなと思ってるんで。そこからまたさらに全体的にレベルが上がっていったら、1つのちゃんとしたアイドルグループとしてすごくなるんじゃないかと思ってる……って、グループの話なんてもういいんだよ！