26時のマスカレイド［解散ライブ密着レポート］ありったけの想いを届け合った愛あふれた終幕「私たちに出会ってくれて、本当にありがとうございました」＜26時のマスカレイド　LAST LIVE 「curtain call」＞東京公演密着レポート

【ライブレポート】
6年間の感謝と希望を全力で届けた5人のアイドル

“アイドルになってくれて、ありがとう”

“ファンになってくれて、ありがとう”


26時のマスカレイドの解散ライブが終幕した瞬間、この2つの言葉が自然と頭の中に浮かんでいた。

約3時間に及んだ公演中、メンバーもファンもたくさんの笑顔と涙を見せ、言葉にならないさまざまな感情を胸に抱いていただろう。それでも、ニジマスのメンバーがアイドルになってくれたこと、また会場や配信を通じてこのステージを観ていた人たちがニジマスのファンになってくれたこと。この事実に対する、お互いへの感謝の気持ちは終始変わらずに持ち続けていたと思う。

同時に、来栖りん、吉井美優、森みはる、江嶋綾恵梨、中村果蓮は、それぞれほかのメンバーに対して、“これまでニジマスのメンバーでいてくれて、ありがとう”という想いを持ちながら、ステージに立っていたのは間違いない。

6年という月日を通じて、メンバーとファンが心を込めて紡いできた愛あふれる“ニジマスストーリー”の集大成となったこの日は、彼女たちのこれまでの歴史を巡りながら、このライブに関わるすべての人たちが想いをひたすらに届け合う時間となった。

26時のマスカレイドのはじまりは、解散ライブのちょうど6年前の2016年10月30日に開催したお披露目フリーライブ。2022年10月30日17:30に、解散ライブの会場である東京国際フォーラム ホールAが暗転すると、ステージモニターにそのお披露目公演の会場であるエンタテインメントフードコート『JOL原宿』に、現在のメンバーが訪れるというオープニング映像が映し出される。グループの原点の地に再び足を踏み入れた5人は、笑顔を見せる。フロアの椅子を横一列に並べて座り、JOL原宿ステージを見つめる5人の姿を経て、スクリーンには解散公演のタイトル＜curtain call＞の文字が浮かび上がった。会場にメンバーを迎える大きな拍手が起きた直後、キラーチューン「ハートサングラス」のイントロが聴こえてくると、客席からどよめきが起きた。ステージに設置された宮殿のセットの2階に、ニジマスらしい“青”が印象的なドレス衣装で5人が登場すると、江嶋綾恵梨が“ニジマス、ラストライブ。みんな素敵な時間、一緒に過ごして行こうね〜！”と発して、冒頭からオーディエンスの気持ちを高めていく。これまで単独公演やライブイベントで、伝説的とも言える熱狂を生み出してきた「ハートサングラス」。コロナ以前は、時にメンバーの歌声に匹敵するほどの音量の熱いコールが起きることもあったが、コロナ禍以降は、メンバーが観客に身体を使ったレスポンスを求めて、それまでとは異なるアプローチで一体感を作り上げてきた。この日は、1番では“大きいハート！”“小さいハート！”、2番では“ニジマス好きな人〜？”“ずっとニジマス好きな人〜？”と問いかけると、観客は青いペンライトを振るなどして反応。声が出せなくても、メンバーもファンも、「ハートサングラス」を存分に楽しんでいることが伝わってきた。

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開幕から会場のテンションを一気に引き上げると、「トルマリン」「ニジマスエモーション」とニジマスらしいエモ感のあるバンドサウンドナンバーを連続投下。「トルマリン」ではメンバー全員で《青の軌跡を信じて進め》と高らかに歌い上げ、「ニジマスエモーション」ではメンバーの振り付けに合わせて、会場で青いペンライトが激しく前後に振られていた。そんな熱量のある“青の世界”から一転、和情緒のある「ハナイチモンメ」では、ステージと客席には赤を基調とした光が輝く。鋭いディストーションギターとパワフルなドラムが轟く同曲のハードなバンドサウンドに乗せて、5人も雅な雰囲気を醸し出しながらアグレッシブに舞い踊った。

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開幕から4曲を一気に畳み掛けると、この日はじめてのMCに。

江嶋綾恵梨：
今日は歴史に残る1日に一緒にしていきましょう！

中村果蓮：
今日は、みなさん悔いなく終われるように楽しんでいきましょう！

来栖りん：
これまでの感謝と愛を全部伝えられるように、最後まで一緒に楽しんでいきましょう！

吉井美優：
今日は素敵な時間を一緒に過ごせたら嬉しいです。最後まで見届けてください。

森みはる：
今日はみんなで一緒に、たくさん泣いてたくさん笑って、最高の1日にしましょう！

併せて、森が10月24日に2nd写真集『Lastart』を発売したことを報告すると、メンバーも“おめでとう！”と祝福。解散ライブであっても、変わらず5人の仲のよさを伺わせた。

江嶋は“ついにラストやってきましたけど、リハーサルと楽屋の感じだと、「本当に私たち解散するの？」ってノリで（笑）”と述べながら、本番前にデビュー時から変わらないダンスの先生とハイタッチした時に突然、解散の実感が湧いてきたそうで、“初めて先生に近づかないでください！って言った”と舞台裏の模様を笑顔で明かした。登場した際の多数のペンライトの美しさに感動したことも口にし、“ここからたくさんたくさん大事な曲をやっていくので、1曲1曲身体で感じながら、最後の最後まで楽しんでいってください！”と呼びかけた。

疾走感のあるビートと広がりのあるストリングスが印象的な「二人だけの初めてをもっと」では、5人は感情をたっぷりと込めながら声を重ね合わせて、どこか哀愁を感じさせる旋律を表情豊かに聴かせる。終盤には、江嶋と吉井によるハイトーンでの美しいハーモニーが解き放たれた。刹那メロディが胸を打つ「ゼンキンセン」では、メンバーはフォーメーションを変えながら、ステージ上にエモーショナルな情景を描いていく。ピュアでありながら楽曲のシーンに応じて多彩な色合いを見せる来栖、優しさと艶やかさをまとう森、純粋無垢で温かみのある中村、この日は中音域にも強さを出しながら美しいハイトーンを響かせる吉井、安定感抜群で歌でもグループの屋台骨を支える江嶋、という個性豊かな5人の歌声。解散ライブのステージを観ていて、改めてニジマスのグループ全体としてのボーカル力の強さを実感した。

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「仮面に隠れたセレナーデ」では、ステージ上空のミラーボールから無数の光が放出される中、煌びやかなステージングを展開。5人はステージ全体を移動しながら、客席に手を振ってキュートにアピールした。

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2回目のMCでは、江嶋が開演前に衣装のレース部分の濃い青が特別に染め上げられたことを知ったということを語ると、それを受けて森がニジマスに入って自分たちが“青”の人である実感が湧いたとコメント。続けて、“26”という数字にまつわるトークをくり広げた。

＜26時のマスカレイド LAST LIVE 「curtain call」＞福岡公演、大阪公演でも披露されたメドレーコーナーは、「マスカレイドは眠らない」からスタート。冒頭ステージ前方にCo2が噴出され、メンバーが魚のぬいぐるみの「ニジマスくん」を振り回すと、観客も同じく「ニジマスくん」を振って一体感を高めていく。同曲の最後に5人は「ニジマスくん」を客席に投げると、アッパーな雰囲気から場面をがらりと変え、横一列に並んでミディアムナンバー「ワスレナグサ」を気持ちを込めて歌い上げる。ハードなバンドサウンドを聴かせる「トワイライト」を経て、「ビタースイート」では“みんなのところに行っちゃいますね！”と、江嶋＆森、中村が2組に分かれてステージの左右からトロッコに乗り込み、ホール1階席の中央通路を周回。3名は客席に笑顔をたっぷり届けた。「チャプチャパ」のサビでは会場全体でジャンプをして盛り上がり、「ハローハロー」で江嶋、森、中村がトロッコからステージに戻ると、「妄想シンドローム」ではラテンのリズムに乗って躍動。「アイスティーラブ」「メロサマ」でアイドル然としたキュートなパフォーマンスを魅せると、テーマパークのテーマソングのような賑やかなサウンドを放つ「トゥインクル・ディバディ・ドゥ」では、指先にまで感情を込めたかのような可憐なパフォーマンスでファンを魅了し、約10分に及ぶメドレーコーナーを駆け抜けた。

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ステージが暗転すると、モニターに映像が映し出される。日本武道館公演の最後の挨拶からはじまり、グループ結成オーディション、デビューステージ、TIFメインステージ争奪LIVE、中村の加入、解散と日本武道館公演の開催発表、武道館の前での撮影風景、リハーサル、武道館公演本番と、これまでの彼女たちの活動を振り返るものとなった。映像の最後には、“駆け抜けた6年間”“何度も足を止めた”という文字が浮かび上がる。この6年間全力で活動をし、アイドルシーンの中で大きな存在感を放っていた26時のマスカレイド。数々の功績の裏では、たくさんの逆境に直面し、そのたびに歩むことをやめて、我々の目の届かないところで奮闘してきたのだろう。その大きな壁をひたむきに乗り越えていくことによって、彼女たちはより輝きと強さを増し、解散を決断してから夢であった日本武道館のステージに辿り着き、最後に満員の東京国際フォーラム ホールAのステージに立つことができたのだ。

映像が終わると、5人のアカペラによる美しいハーモニーが会場を包む。「アイリス」だ。解散ライブにおいて、この曲の《儚い虹のように 永遠なんてなくたって 強く 強く 強く 色付くんだ あなたの心に》《ここまでの道 全部 全部 宝物》という歌詞は、いつも以上に胸を打つ。メンバーは1つひとつの言葉に、ありったけの想いを注いで観客に届けた。

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やさしいピアノの旋律と壮大なストリングを聴かせるバラード「それは素敵な、ノヴェレッテでした。」では、ステージモニターにセピア調のパフォーマンス映像が流れ、抒情的な雰囲気に。同曲はメンバー主演ドラマ『君の名前を好きって書いた』の挿入歌。『君の名前を好きって書いた』の撮影はタイトなスケジュールで行なわれ、5人はライブステージとはまったく異なるドラマの演技にも苦戦したという。しかし、ドラマやバラエティなどのテレビをはじめ、ラジオ、グラビア、モデルなど、さまざまな活動を通じて、アイドルとしてより表現力を磨くことができたのだろう。

現体制はじまりの曲「君は青のままで」では、観客のペンライトで会場が青に染まり、「ダンデライオンに恋を」は黄色を基調としたライティングのもと笑顔満開でポジティブな空気感を作り上げた。

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MCタイムになると、森が“まだ（解散の）実感がない”と素直な気持ちを口にする。続けて、解散ライブ当日の日付が変わった瞬間に最後の贈り物として行なわれた未発表曲のサブスク解禁、日本武道館公演と解散ライブの映像作品のリリースなどの告知をしながらも、森が＜26時のマスカレイド LAST LIVE 「curtain call」＞大阪公演中に空腹になったこと、その反省から解散ライブの直前に少し食べすぎてしまったこと、当日のリハーサルでステージ演出に驚いたことなど、微笑ましいエピソードを披露。しまいには、このMCパートを締める来栖が“いよいよ最後の……コーナー……コーナーじゃない（笑）”と言い間違えると、“え!?　今から何をやるの？（笑）”とすぐさまツッコみが入り、最後のステージでもニジマスらしい自由奔放なトークを聞かせた。

サンバのリズムが高揚感を誘う「ちゅるサマ！」では会場全体でジャンプが起こり、歯切れのよいクランチギターとボトムを支えながらも動きのあるベースが印象的なロックチューン「GoWay」では、力強いバンドサウンドに合わせて、メンバーは緩急をつけながら力強く舞い踊った。「GoWay」は、中村がニジマスのオーディション合宿で練習していた曲で、メンバーも当初かなり苦戦したという。当時、ダンスの先生から“この曲は、今は踊れなくてもいいから頑張ってついてきなさい。みんなが成長して踊れるようになったら、すごいものになるから”と告げられたそうで、ニジマスの集大成となるこの日は、その言葉どおり“すごいもの”と言える躍動感のあるパフォーマンスを魅せていた。

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「オレンジデイズ」では、曲名に合わせて会場がオレンジ色となり、冒頭メンバーはステージセットの階段に座って歌唱。この曲の後半に差し掛かると、来栖と森の目に光るものが見えた。

本編のラストは、ニジマスにとって最後の楽曲となった、哀愁感のあるメロディと開放的なバンドサウンドを聴かせる「未来へのハーモニー」。

《ありがとう、君が大好きだよ》
《未来を越えて生こう》

解散の日を迎え、6年間の感謝と、これからへの希望を5人は高らかに歌い上げて、ステージを後にした。

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