のんふぃく！からNEO JAPONISM、誰もシラナイ。にマーキュロまで　極悪ヘヴィに攻めまくりアイドルソング｜「偶像音楽 斯斯然然」第93回

誰もシラナイ。「0.(ゼロピリオド)」 激情と和情緒が鳴らす比類なきもの

このところ、より強く戦士感が増している誰もシラナイ。の9月24日にリリースされたニューシングル「0.(ゼロピリオド)」。

誰もシラナイ。「0.(ゼロピリオド)」

イントロのリズムどうなってるんだ？　手癖足癖ある打ち乱れるドラムに絡むアタックを効かせたザリザリとしたベースが最高だ。そして和情緒を感じる優美なメロディが駆け抜ける。Aメロの儚さのあるメロのバックで、リズムのウラとオモテを鬩ぎ合うようなドラムとベースの絡みにゾクゾクとし、開放されるサビの旋律を受け継ぐようにサスティーンの長いヌルっとしたギターソロの調べが心地よい。イントロ＆アウトロでは、マスロック風の奇妙なフレーズとのコントラスト。Dメロのアコギ、落ちサビのピアノの旋律も美しく耳に届く。音数が多いわけではないが隙間はなく、各楽器の自己主張が強いながらもきちんとまとまっている巧妙さ。5人の歌が強靭であることが大前提としてあるが、歌を邪魔していないフレーズの構築美が見事。

ボーカルに関しては5人ともに存在感もその強さも増すばかり。猫守ぼうの腹筋、ではなく圧倒的説得力を持った声量たっぷりのよく通る声、桃瀬シオンの腹筋……じゃなかった、スポーティなシルエットから放たれるソリッドな声とフロントマンオーラ、タカラジェンヌばりの男前で凛とした湊の歌声はアイドルではあまりいないボーカルスタイルだ。そうしたハンサムチームとのコントラスト、妖しく美しい艶っぽさを備えた愛狩ノアと、倍音成分たっぷりで二次元キャラ的な不思議な響きを持ったこはくが紡ぎ合う。5人全員が説得力のあるスキルとスタイルを持っている稀有なグループだ。余談だが、猫守のローライズなスカートの履き方を見ると、ハイウエスト気味のアイドルシーンにもY2Kリバイバルの波が押し寄せてきているんだと実感。

そして、この楽曲の魅力は何と言ってもメロに対する歌詞の当てはめ方が美しいことだ。英詞的字余りな作り方が多い中で、符割りにきっちりハマっている日本語詞の美しさ。

《明くるその日が深い霧の中でも 強く瞳を見開き在れ 来たるその日に輝き在れ》

それでいて、タイトルを「0.(ゼロピリオド)」とつけるセンスのよさだ。

現在のロック系アイドルといえば、海外のEmoバンドや日本のラウドロックバンドの影響下にあるが誰もシラナイ。はそうした中でも、和情緒の雰囲気を漂わせながらオリジナリティとしていることが強み。ロックバンドの真似事では辿り着けない境地に達している。

誰もシラナイ。「うらめしや」（Live Clip）

YouTubeにバンドセットライブがアップされている。私の個人的な好みではあるのだが、アイドルのバンドセットライブには正直懐疑的だ。というよりもバンドセットをやっておけば、ヲタクは喜ぶだろう、ロックファンも巻き込めるだろうという安直な考え方が好きではないのである。しかしながら、誰もシラナイ。はきちんとバンドセットでやる意味を見出している数少ないグループであるように思う。この先もますます目が離せなくなってきた。

誰もシラナイ。1st Anniversary 「MORE YOU KNOW TOUR FINAL」-BAND SET ONEMAN LIVE- at Nagoya ElectricLadyLand

本筋とは関係ないのですが、このツイートを見て、KORGのクリップチューナー（同タイプのギター用、KORG AW-OTG）を買いました。

めちゃ快適なチューナーでございました。っていうか、ワーウィック！　しかもStreamer LX JAZZMAN！　私も昔持ってたベース！　Nirvana Blackのヤツ。ボルトオンがいいのよね。