#ババババンビ、夜光性アミューズからFES☆TIVEまで コレオグラファー・いどみんインタビュー[後編]「教え子たちをお茶の間に突っ込む!」

#ババババンビ、夜光性アミューズからFES☆TIVEまで コレオグラファー・いどみんインタビュー[後編]「教え子たちをお茶の間に突っ込む!」

#ババババンビ、夜光性アミューズからFES☆TIVEまで コレオグラファー・いどみんインタビュー[後編]「教え子たちをお茶の間に突っ込む!」『偶像音楽 シン黒子列伝』第3回後編:いどみん

『偶像音楽 シン黒子列伝』第3回、コレオグラファー・いどみん編の後編。今回は、現在振り付けを担当しているさまざまなグループとのエピソードをはじめ、アイドルの体型や最近のシーンなどについて深く話を訊いた。アイドルとヲタクに対して深い愛を持ついどみんの想いをお伝えしたい。

いどみん
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日本とタイの感覚の壁は乗り越えられなかった

——そして、今年6月にはFES☆TIVEとタイに行かれましたよね。そもそもFES☆TIVEとの出会いはいつからなんですか?

いどみん:
昨年、FES☆TIVEのプロデューサーから連絡が来たのがことの発端で。それまでワンマンを観に行ったことはあったけど、メンバーとしゃべったこともなかったんです。それでいきなりDMが来て。最初は、最近流行りの“当選しました”詐欺かと思って無視したんですけど(笑)。それで“1回会いましょう”ということになって。自分、台湾によく行くんですけど、台湾の人って冠婚葬祭含めてとにかく踊るんですね。“結婚しました、踊りましょう!”“人が死にました、踊りましょう!”“野菜が採れた、踊りましょう!”……そういう文化が好きで、っていう話をして。プロデューサーはもともとタイが好きでお祭りが好きで、そういうコンセプトでFES☆TIVEをやっていて、という自分の好きなこととウマが合ったんです! そこから始まって、カップリング曲を任されるようになりました。そこからいろんなことがあって、「微笑ノ国」っていうタイをテーマにした曲が表題曲になることになったんです。

FES☆TIVE「微笑ノ国」

——タイに行ったことはあったんですか?

いどみん:
タイのBLドラマは大好きなんですけど、タイには行ったことがなくて。「微笑ノ国」にはタイの言葉が入ってるし、これは生半可な気持ちではできないと思って、タイ料理を1週間食べ続けたんですよ。そこからタイに行きたくなるような演技っぽい振りを付けたらタイでバズって。それでFES☆TIVEがタイでワンマンライブをすると決まった時に“タイを知らないまま終わるのは嫌だからメンバーと一緒にタイを感じたいです!”って言ったんです。そしたら、タイで活動しているFES☆TIVEの妹グループのSumomoの振り付けもお願いしたい、FES☆TIVEカバーの振り付けもお願いしたい、と言われてメンバーより先に前倒しで行かせてもらったんです。言葉もわからないし、ドラマに出てくるようなハンサムな男もいない(笑)。

——言葉は大丈夫だったんですか?

いどみん:
Sumomoはメンバー6人いるんですけど、1人日本語が少ししゃべれる子がいて、1人韓国に留学してた子がいるから言葉はどうにかなったんですよ。日本語わかる子が通訳してくれて、それでもわからない言葉があると韓国語でいくんです、韓国旅行で培った語学力。それで自分が通じなかったタイ語をホテルに帰って勉強する。そんな感じで3日間で3曲振り入れしたんですけど、そしたらタクシーに飛び乗って道案内できるまでにはなりました。“次を右、真っ直ぐ行ってそこ左”って、レッスンと同じだから(笑)。メンバーと雑談もできるようになりましたね。

——それはすごい。タイのアイドルって、日本人とは違うところがあったりするんですか?

いどみん:
「夏リア旋律」っていうFES☆TIVEの曲、バラードというか、エモーショナルな曲があるんですけど、夏終わりの刹那曲なんです。侘び寂び曲。“想い出のアルバムを開いたら、アルバムから音楽が流れ出し、それが音符となって空中に溢れ出た、それを掴んだら貝殻になって、それを耳に当てる”っていう振り付けをしたんです。青葉(ひなり)がすれ違いざまに髙木(ゆりあ)のスカートを掴んでハッっとなるっていうところがあるんですけど、それがタイの子たちにはまるで通じなくて……。自分の語学力以前にそもそもタイの子たちには持ってない感覚だった。その映像を見せたら“いたずらしてる!”って笑い出したんです。青葉が髙木にちょっかい出してると思ったんですね。後ろ髪を引かれながらまだ離れたくなくて袖を引っ張る、という感覚をどうやったらわかってもらえるかなと悩んでいたら、“じゃあ、肩叩けよ”って言われて、“お前らそうか”って(笑)。だから振りそのものを変えて、エモーショナルな振り付け曲にしちゃいました、Sumomoバージョン。そこは1番苦労しました。感覚の壁を乗り越えられなかった。

——日本特有の侘び寂びが伝わらなかったと。

いどみん:
でも逆に向こうの感覚がわからなかったこともあって。最終レッスンの時にドーナツを買って行ったんです。それで“休憩時間にみんなで食べよう”って言ったら“訓練の時間なのでいただくことはできません”って言われたんです。そういえば、レッスンの休憩時間はみんな手を合わせてからお水を飲みに行くんです。“訓練の時間に師匠が休憩をくださる”という認識なんですよ。“じゃあ、レッスン終わったら食べてくれる?”って聞いたら“食べたいです”って言ってくれて。でもそしたら、1番歳下の新メンバーが真っ先に取ったんですよ! 日本では先輩の歳上のメンバーが先だったり、先輩から“いいよ”って言われたら取ってもいいんだよ、っていうのをタイ語混じりの日本語経由韓国語で伝えました。そしたら“私、日本にいたらクビじゃんー!”って、ギャアギャア笑い出して(笑)。それにAKBが好きで育ってきた日本語の通じるメンバーには“お弁当”っていう単語が伝わらなかった。“カフェ”なんです。秋元(康)先生の歌詞に“お弁当”はないんです。日本語の勉強の仕方でだいぶ変わるんだなって。面白いですよね。

Sumomo「RUNAWAY」(東京でロケしたの by いどみん)

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