振りコピヲタクが売れっ子振付師になったワケ コレオグラファー・いどみんインタビュー[前編]「振りコピの精度を高めるためにダンス教室に通い始めた」

振りコピヲタクが売れっ子振付師になったワケ コレオグラファー・いどみんインタビュー[前編]「振りコピの精度を高めるためにダンス教室に通い始めた」

振りコピヲタクが売れっ子振付師になったワケ コレオグラファー・いどみんインタビュー[前編]「振りコピの精度を高めるためにダンス教室に通い始めた」『偶像音楽 シン黒子列伝』第3回前編:いどみん

Pop’n’Rollにて連載中の「偶像音楽 斯斯然然」の兄弟企画『偶像音楽 シン黒子列伝』。音楽ライターの冬将軍が、今気になるアイドルグループのプロデューサーやクリエイター、マネージャーなど、“黒子=裏方”にインタビューを実施。普段なかなか見ることのできない彼らの仕事や生き様にスポットライトを当てていく。第3回目に登場するのは、現在のライブアイドルシーンを賑わす数々のグループの振り付けを手がけているコレオグラファーのいどみん。全2回となるインタビューの前編では、アイドルヲタク時代を中心に、振付師になったきっかけ、現在の活動、さらにコロナ禍における振り付けの重要性などについてじっくり語ってもらった。

アイドルにとって、歌と同様に重要なのがダンスだ。キラキラと煌びやかに見せるのも、愛らしくキュートに見せるのも、テンポよくコミカルに見せるのも、はたまたバシッとフォトジェニックに見せるのもすべてダンス、振り付け次第である。

今回の『シン黒子列伝』では、ライブアイドル好きなら絶対にこの方の振り付けを見たことがあるであろう、コレオグラファー・いどみんを迎える。モーニング娘。に憧れ、ハロー!プロジェクトの振りコピヲタクだった氏が、なぜ売れっ子振付師となったのか。その半生に迫りながら、コロナ禍で声が出せないライブにおける振り付けの重要性について大いに語ってもらった。

こういう振りをすれば楽しいんだろうなとか、わりとヲタクのためにやっている

——今、おもに手掛けているグループを教えていただけますか?

いどみん:
ゼロイチファイミリアは、#ババババンビ(以下、バンビ)、#2i2、#よーよーよー、ekomsはクマリデパート、クロスノエシス、RIZEプロ(ダクション)は、FES☆TIVE、I MY ME MINE、BUGS MART、JamsCollectionとMyDearDarlin'はちょっとやっていて、HEROINES(twinpale、夜光性アミューズ、iLiFE!など)もほとんどのグループをやっていて。コレット(プロモーション)は、ベンジャス!とわんふぁす!を。あとはFRUITS ZIPPER 、アキシブprojectとSANDAL TELEPHONE、アンスリューム、タイトル未定、iluxion、きゅるりんってしてみて、ONE BY ONE、nuance、HULLABALOO……ほかにはタイのグループやメンズアイドルもやってます。今年、7月で80曲いきました。昨年が1年で140曲だったんですよ。そう考えるとペースは伸びてます。ちゃんと休みたいなと思うんですけどね。

——おお、改めて聞くとすごいラインナップ……。ライブアイドルのヲタクなら絶対にどこかでいどみん先生の振り付けを見ていますね。

いどみん:
そうですね、ありがたいことに。キラキラ系もインフルエンサー系も、楽曲派もそうだし。イベントでメインステージを張れる子たちも振り付けさせていただいてるので、本当にありがたいです。

——振り写しまでの流れを簡単に教えてください。

いどみん:
曲ができて、デモが送られてきて、めっちゃ聴き込みます。そこから振り付けと構成を考える。振り入れは1曲大体2、3回のレッスンという感じなんですけど。いつものレギュラーチームは“音源ができそう、新曲を発注してる”という時点からスケジュールを押さえてくれるんです。これは時間掛かりそうだなという時はあらかじめ宣言してくれます。逆に曲の納期がギリで、一晩で考える時もあります。

——一晩!? 1日何レッスンくらいやるんですか?

いどみん:
1日3〜4時間を2、3回。多い時は4レッスン。10時スタートで14時に終わって、そのまま16時までやって、そこから20時までやって、そこからまた終電までやって、帰る。家に帰ってからまた振りを考えるみたいな1日です。自分のせいですよね、1レッスンの時は休みも同然。

——ハードすぎる……。

いどみん:
よく“ネタ尽きない?”って訊かれるんですけど、やらせたいことがそれぞれのグループとそれぞれのメンバーにあるので、尽きないんです。曲とプロデューサーが天才で、アイドルがいて、その先にはヲタクがいる。わりとヲタクのためにやってるというか“こういう振りをすれば楽しいんだろうな”とか、そういうこと考えてると尽きる暇がないんです。尽きる前に、アイドル、プロデューサー、楽曲、ヲタクが何かをくれるので、全然作れますね。

——いろんなところからインスピレーションをもらっているわけですね。例えば、同じ事務所でもクマリデパートとクロスノエシスでは方向性がまったく違うと思うんですけど、そういう棲み分けはどうされているんですか?

いどみん:
使ってる脳みその場所が違うんですよ。音、歌詞、曲の方向性が違うだけで、振りを作る時のテンションが変わる。クロスノエシスは朝方に振りができることが多いんですけど、クマリは旅行先でできることが多いんです。旅館や新幹線のトイレとかで自撮りして、っていう。ポケモンと同じで、昼タイプ、夜タイプの曲みたいな(笑)。クマリの曲は楽しいものが多いので、楽しい時に浮かんだり。ちゃんとシチュエーションが違うのでイケるんですが、振り入れが同じ日のことがあるんですよ。クロスノエシスのあとにクマリとなると、やってることが暗黒世界とお花畑くらい違うから大変(笑)。さすがにその日は1日2レッスンで自分を許しました!

クマリデパート「あみだ☆ふぉーちゅーん」(熱海の旅館で創作した、あみだくじの起源を辿る振り付け by いどみん)

——グループと楽曲が持つ世界観、イメージを第一に考えていくと。

いどみん:
そうです。ダークな夜の曲も、天気のいい夜なのか、雨が降ってる夜なのか。光ひとつにしても、一筋の光が差し込んでいるのか、向こうに明かりが見えるのか、朝方のなんとなく照らされた光なのか、しっかり照らされた光なのか……って、それだけで大きく変わってくるので、細く説明するようにしてます。みんなが同じ情景でフロアを包んでほしいから。蝋燭と言ってるのに1人だけLEDでも困るし。そういう細かなニュアンスを共有するようにしています。

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