アンスリューム、夜光性アミューズ、Chick-flick、マーキュロ　独自性に突っ走る超個性的なグループ｜「偶像音楽 斯斯然然」第90回

マーキュロ　バンギャもホイホイなサブカル系アイドル

なんとなくネットで見つけた、丸尾末広的なレトロなアー写＆アートワークに“センスよすぎだろ！”と一発で気に入ってしまった、マーキュロ。

しかも主宰イベントが＜グラン・ギニュルー＞だなんて、もう最高すぎる。最近の若い世代はわからないと思うので説明しておくと、サブカル界の超名作SF映画『帝都物語』（1988年）で主演を務めた俳優・嶋田久作（最近では『シン・ウルトラマン』の大隈総理役）を排出した、演劇と音楽活動を行なう超個性派劇団が『東京グランギニョル』（1983〜1986年）で、アートワークを丸尾末広が担当。その『東京グランギニョル』の代表作が＜マーキュロ＞（1984年、1985年）なのだ。ちなみにマーキュロとは、昭和生まれにはお馴染み、無敵の殺菌消毒液“赤チン”の愛称で親しまれたマーキュロクロム液のことである。傷薬としてマーキュロに敵うものはなし、と私は思っており、製造中止になる前にたくさん買い溜め現在も常備している。

おっと話は逸れたが、そんな『東京グランギニョル』の退廃的で耽美的な少女趣味をウマくアイドルに落とし込んだのが、この“サブカル系アイドルグループ”と名乗る、マーキュロである。

そのアートワーク＆ビジュアルもさることながら、楽曲も秀逸。かつてゼロ年代初頭に“ネオ・ヴィジュアル系”や“ネオ・ナゴム”を彷彿とさせる昭和レトロ感満載の楽曲が最高である。

マーキュロ「ぬいぐるみ。」

これはライブに行かなくては！と、先日主宰イベント＜グラン・ギニュルー＞に行った。想像以上であった。その日は“声出しOK”公演であったのだが、楽曲のブレイクで手バン＆折りたたみしながら“松たか子ぉ〜！！”とパンMIXが巻き起こり、挙句“土下座ァァァァー！！”と叫び、観客全員土下座させられるという、思わず“RUKIかよ！”とツッコミたくなる大日本異端芸者ガゼット「関東土下座組合」状態……いいぞ、もっとやれ！　めちゃくちゃ楽しかった。その日はちょうど2現場あったので、昼はライブハウスで主宰ライブ、夜はホールでのライブ、と思わず2現場回した。初見でライブハウスの空気感に飲まれたところもあったのかなと思うところもあったのだけれど、落ち着いてホールの椅子席で観ても、よかった。

メンバーの衣装もビジュアルも最高で、YOMIっぽい子いるし、武瑠っぽい子いるし、IKÜZÖNEみたいな赤青キカイダーカラーの子もいるし、もちろんMana様よろしくのゴスロリ少女もいるし。歌やパフォーマンスはまだまだこれからだなというところも多いのだけれど、逆にいえばこれからが楽しみと思えるようなポテンシャルを秘めている。コンセプトがしっかりしているのでスキル的なところは気にならない。

吉開学と密室ノイローゼが混在している大日本異端芸者的脳味噌逆回転絶叫状態のグループでございました。この辺りのワードにビビッときたバンギャのみなさんもぜひ！