映画『よだかの片想い』場面写真(©島本理生/集英社 ©2021映画『よだかの片想い』製作委員会)

映画『よだかの片想い』場面写真(©島本理生/集英社 ©2021映画『よだかの片想い』製作委員会)

松井玲奈[イベントレポート]映画化を熱望してきた同作に「やっと1つの夢が叶ったような気持ち」映画『よだかの片想い』プレミア試写会舞台挨拶より

映画『よだかの片想い』が、8月22日(月)に新宿武蔵野館にてプレミア試写会と舞台挨拶を開催。同イベントには、主演・松井玲奈をはじめ、中島歩、脚本の城定秀夫、安川有果監督が登壇。本記事では、オフィシャルレポートをお届けする。

以前から直木賞作家・島本理生の大ファンだと公言している松井。中でも『よだかの片想い』は、島本作品と出会ったきっかけの作品であり、それゆえ何年にも渡って映画化を熱望してきた想い入れの強い作品となる。“本当に長い時間をかけて映画という形になったので。やっと1つの夢が叶ったような気持ち。嬉しくありながらも、本当に大好きなこの作品、そして大好きなキャラクターのアイコという人を演じきれるのか、とても不安な気持ちの中にいたと思います”と語る松井は、“お話を知りすぎているというか。何度も読んでいる作品だったので、物語に自分を合わせにいってしまいすぎないだろうかとか。いろいろなことを考えていたなと思います”と振り返る。

アイコの半生を映画にしたいと思い、アイコの前に現れる映画監督・飛坂を演じた中島は“松井さんとは撮影で毎日会っていたんですけど、でも空き時間にそんなに話したわけでもないので、松井さんがどういう方なのかはわかっていないんですけど”と冗談めかしつつも、“でも出来上がった作品を観て、松井さん自身がお持ちの繊細さのようなものが、非常にアイコに反映されていて。生々しいアイコ像ができているなと思いました”と述懐。

さらに、松井が“初めましての瞬間から飛坂さんがいるという感じでした。本当にナチュラルなトーンのまま、映画の世界に中島さんがいてくれた。今でも飛坂さんといるような気持ちでいます”と語ると、“よかったです”とホッとした様子の中島。“やっぱり松井さんの想い入れのある作品ですし、映画化されるとなったら(誰だろうと)いろんな人を思い浮かべたと思うんですけど。だからなんだと思われたら嫌だなと思っていたので。その言葉を聞くことができて、泣きそうです”と付け加えた。

そして、この日は同作のテーマにちなんで“初めての片想い”というテーマでトーク。まずは松井が“私は『ファイナルファンタジー X』が好きで。そこに出てくる主人公のティーダが初恋です”と切り出すと、“今はそんなに熱はあげていないですが、二次元で片想いをしていました。ヒロインであるユウナという女の子を守ってくれる人という意味で、好きな人を守ってくれる人が好き、という屈折した片想いでしたね”とコメント。

中島は“僕はずっと片想いをしています”と語ると、“電車のホームの向こうの人とか、道路にいる人、喫茶店のお姉さんとか。1日に2、3回はしているんじゃないですかね。それが僕の片想いです”と冗談めかし、会場を沸かせた。

そんなイベントもいよいよ終盤。まずは城定が“この映画を観て、恋愛映画というのもそうなんですけど、すごく素敵な恋愛映画になっているなと思っていて。やはり松井さんの念願の企画ということで、その想いを無駄にしないように頑張って(脚本を)書きました。とても素敵な作品になっていると思うので、感想をお願いします”と語ると、続けて中島も“コンプレックスは誰しもが持っているものだと思うので。だから男女問わず、みんなが自分に重ね合わせられる映画かなと思います。気に入ったら広めていただけたら”とコメント。

松井は“私がずっとこの作品が好きだと言い続けていたら、たくさんの方が協力してくれて。素敵な1本の映画にしてくださいました。そんな自分の想いを抜きにしても、本当に誰かに寄り添える優しい映画になったと思います。ぜひ楽しんでいただけたら嬉しいです”と語った。

最後に安川監督が“撮影で印象に残っているのは、シーンについて松井さんに相談しに行く時に、そのかたわらにはいつも原作小説があって。その小説にはおびたただしい数の付箋が付けられていたということ。それを目にした時に、その熱量に負けないよう私も頑張らなきゃいけないなと思いました”と述べ、“一緒に撮影をしていく中で、意見が違った時もありましたが、それでも松井さんが、私の意見と、ご自身の考えるアイコ像をうまく融合させてくれて。松井さんがもつ凛とした部分や所作が、まったく嫌味なくアイコという人物に落とし込まれていて。本当に想い入れのある役を演じるって、俳優さんにとってすごく素敵なことなんだなと。そういう作品に携われて、ありがたい機会となりました”と晴れやかに話した。

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