#ババババンビ、NEO JAPONISM、ベンジャス！、Appare!……この夏、TIF2022で観た暑くて熱い風景｜「偶像音楽 斯斯然然」第88回

ベンジャス！　アグレッシヴなボーカルグループ

ベンジャス！を初めて観たのは、まだBenjaminJasmine であった2019年9月17日に渋谷O-EASTで行なわれた＜IDOL CONTENT EXPO @TSUTAYA O-EAST ～Autumn Premium Live～＞のこと。なんの予備知識もなく観た、聴いた「細胞」の衝撃。“me-al artじゃん！　黒虫芸術じゃん！（わかる人いたら嬉しい）”などと大興奮したことをよく覚えている。テレビアニメやゲーム音楽を多く手掛けるElements Gardenの楽曲制作であることはあとから知ったが、90年代末からの女性オルタナティヴロック系譜を感じられるメロディとバンドサウンド、負の感情のすべてを叩きつけるアグレッシヴなボーカルと歌唱力の高さに“何者!?”と、こてんぱんに打ちのめされたのである。

BenjaminJasmine「細胞」

しかしながらそう思ったのも束の間、次に披露された曲がまねきケチャの「冗談じゃないね」だったというジェットコースター級の緩急にこれまた打ちのめされた。しかしながら、陰と陽、シリアスとハッピーを巧みに使い分けるような、まねきケチャのシリアス部分にフォーカスしたと考えられるような楽曲、グループ特性に納得したのである。

高梨螢の情緒を薙ぎ倒していく破壊力ある歌声と、浅倉うみのアイドルでは珍しいダークな響きを持った歌声がたまらなく好きで、それから私の中でBenjaminJasmineは“実力派オルタナティヴロックグループ”という位置付けにいたわけだが、紆余曲折あり、最終的には新体制となって改名。ベンジャス！の名の通り“めっちゃポップになってる……”と、私が衝撃を受けた頃のグループではなくなってしまった……。

と思っていたら、最近になって印象が変わった。確かにあの頃のどこかシリアスさを帯びていたグループとはまったく違うのだが、改名当初に比べて完成度は着実に上がっている。先月行なわれた＜超NATSUZOME 2022＞然り、この＜TIF＞然り、ライブが確実によくなってる、という印象を受けた。音程や綺麗に歌うことに執着していない気持ちの入りっぷりは、BenjaminJasmine時代からのこのグループの大きな魅力だろう。

ベンジャス！「細胞」

あとはやはり浅倉うみの佇まいと歌声が好きだなと思った次第である。そんな彼女がNEO JAPONISMが好きなことは知っていたのだが、先日ツイートされたイラストを見て思わず笑ってしまった。

絵がウマい！　特徴を捉えてる！　似てる！というのは言わずもがな、これは2021年4月に行なわれたLIQUIDROOMでのワンマンライブ＜LOVE&FIGHT＞のイメージビジュアルを現在のアー写で再現しているという、細かすぎて伝わらない、実にヲタヲタしいことをやっている……いいぞ、もっとやれ！