
わーすたが挑んだ新境地、#ババババンビの大名曲|「偶像音楽 斯斯然然」第87回
わーすたが挑んだ新境地、#ババババンビの大名曲|「偶像音楽 斯斯然然」第87回
今回のテーマは、わーすたと#ババババンビの新曲。グループのさらなる成長と高い音楽性を感じさせる彼女たちの昨今の楽曲が放つ魅力を分析していく。また冒頭では、マニアックな視点で、このところ当コラムでたびたび取り上げている誰もシラナイ。のメンバー・こはくのベースプレイをピックアップ。
わーすたが挑む新境地
8月17日に新体制となって初となるアルバム『我々はネコである。』をリリースする、わーすた。本来であればアルバムリリース後にあれやこれやレビューした方がいいのだろうが、5月より連続リリースされている楽曲が新境地を開拓しながら、いい感じすぎて我慢できなくなったので紹介していきたい。
まずは、優しくてシンプルなメロディが印象的な「空とサカナ」。アーシーな響きのするピアノとギター。転がっていくようなサウンドコラージュが耳馴染みよい。
わーすた「空とサカナ」
ザラついた8ミリビデオ風のMVも楽曲のノスタルジックな雰囲気をいっそう引き立てる。
ClariSやsajou no hana、当コラムでもCYNHN楽曲でお馴染み渡辺翔の楽曲。渡辺とわーすたの邂逅は2019年『The Legend of WASUTA』収録の「ゆるぷれいる」に始まって以来、2回目。歌唱力と表現力に定評のある彼女たちが、起伏の少ないメロディをそっと歌い上げる様が新鮮な1曲に仕上がっている。
第2弾としてリリースされたのは「The World Standard Dancing Club」。軽快なエレクトロダンスポップながら、ジプシーやケルト音楽といった異国情緒をかぐわす不思議な曲。
わーすた「The World Standard Dancing Club」
これまでやっていそうでやっていない、クールに決めた歌い出し。そこからバンジョーロールっぽいサウンドがどこかコミカルっぽさを演出していく。昨今流行りの中低音ブラスもK-POP的なそれではなく西アジアからジプシーブラスを感じさせる使い方。サビはアイリッシュ風なフォルクローレっぽいリズムが支え、Dメロにぶち込まれるケルト音楽っぽい展開もよい。しかしながら、これらの民族音楽要素を生楽器ではなく、あえて打ち込みのプロダクトで仕上げており、いい意味でのチープ感がコミカルさとポップ性を纏いながらマニアライクにならない耳馴染みを生んでいる。民族音楽に寄せるようリバーダンスを取り入れながら、ダンス特化したMVもわーすたの実力に裏打ちされたアイドル性を充分感じられる作りだ。
作曲・編曲者の宮田“レフティ”リョウはRAIDO FISHや黒木渚など幅広くアーティストに楽曲提供しているクリエイターである、最近はOfficial髭男dismのマニピュレーター、キーボーディスト、ベーシストとしてやたら目立つサポートメンバーとして知られるマルチプレイヤーでもある。新たな作曲家がわーすたの新たな魅力を引き出していく。
先日リリースされたばかりの「Cat Walkin'」は気鋭のクリエイター、薮崎太郎の楽曲。
わーすた「Cat Walkin'」
要所要所で入るティンバレスといい、どこかラテンライクで80s’な雰囲気も漂いながら大人の色香を感じさせるダンスポップチューン。
声の芯を抜いて上顎で響かせるように抑えた三品瑠香と、声量抑え気味ながら鼻にかけるように艶やかな声色を操る廣川奈々聖。今まで聞いたことあるようでないようなボーカルに吸い込まれる。クールな表情を出す小玉梨々華と、正直一聴しただけではわからなかった松田美里のフェイク混じりの“大人にゃんこ”ボーカルもたまらない。大人の色香をさらりと出してくるわーすたの新しい魅力が詰まった楽曲だ。
わーすたのこれからを感じさせる楽曲群に驚かされっぱなしで、4人の今後が楽しみで仕方ない。
「偶像音楽 斯斯然然」次回は、8月13日(土)公開予定です。
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