わーすたが挑んだ新境地、#ババババンビの大名曲|「偶像音楽 斯斯然然」第87回
わーすたが挑んだ新境地、#ババババンビの大名曲|「偶像音楽 斯斯然然」第87回
今回のテーマは、わーすたと#ババババンビの新曲。グループのさらなる成長と高い音楽性を感じさせる彼女たちの昨今の楽曲が放つ魅力を分析していく。また冒頭では、マニアックな視点で、このところ当コラムでたびたび取り上げている誰もシラナイ。のメンバー・こはくのベースプレイをピックアップ。
#ババババンビがこの夏に贈る大名曲「ネモフィラBLUE」
#ババババンビが7月17日に配信リリースした「ネモフィラBLUE」が名曲すぎる。「大阪まいしまシーサイドパーク・ネモフィラ祭り2022」CMタイアップという同曲。音符の取り方が大きい刹那系メロディがなんとも美しい。であるが、重心低めのどっしりとしたバンドサウンドが印象的でもある。#ババババンビのドラムを中心とした重厚なバンドサウンドは、当コラムでも幾度となく触れてきているが、この「ネモフィラBLUE」においてもそうしたババババンドというべきものが、#ババババンビの大きな武器となっている。
#ババババンビ「ネモフィラBLUE」
クレジットがないので不明だが、サウンドを聴くにいつものメンバーだと思われる。シンバルカウントから入るイントロ、流麗なフレーズを奏でるストリングスに対して、タイトなフレーズを刻んでいくギターの絡みが面白い。Aメロのタイトで捲し立てていくようなリズムから、円を描くようなグルーヴのBメロで助走をつけてサビで一気に解放させていく。いわばポップロックの王道パターンでありながらも、これが#ババババンビ節ともいえるオリジナリティに昇華されている。後半の《ラララ〜》でタメておきながらスネアで追い込み、キメサビから大サビへと向かっていくダイナミックな展開は、#ババババンビの伝家の宝刀。アウトロがほとんどなく終わる潔さもいい。
アイドルポップスとしてはオケバンドの自己主張も強く、バランス自体も大きめだと思うのだが、野太いバンドサウンドに負けない真っ直ぐな歌声もいい。7人全員がきちんと歌えるグループではあるが、この曲では歌い出しと歌い締めの対比を含め、随所でスッと耳に入ってくる水湊みおの、凛としながらも潤いあるしなやかな歌声が印象的だ。
ポピュラリティを意識しながらきちんとオリジナリティの主張を怠らない、#ババババンビのバランス感覚が滲み出た「ネモフィラBLUE」。この夏、アイドルシーンに残る名曲誕生である。
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