エビ中、イコラブ、ジャムズ……この夏を騒がすポップチューンとマニアックすぎて伝わらないカッティングギターの話｜「偶像音楽 斯斯然然」第84回

私立恵比寿中学　メジャーデビュー10周年の青春

私立恵比寿中学「青春ゾンビィィズ」

こちらはメジャーデビュー10周年アニバーサリーなサマーソング。「ハイタテキ！」（2014年）、「紅の詩」（2017年）と楽曲提供してきたTAKUYAの作詞作曲。長年彼女たちを見てきたからこそ書ける、10年の盛り上がりを今ここに持ってきた。楽曲自体は以前に書き下ろしたものだそうだが、歌詞をはじめ新たに作り直されたものだという。

エビ中特有のわちゃわちゃ感と過去衣装を交えながらのMVは、長年応援してきたファンにもたまらないものがあるわけだが、楽曲から漂う“JUDY AND MARY”感も聴きどころ。サビの開放感然り、Bメロ入りのところであるとか、随所にTAKUYA節、JAM節を感じる。

そして何よりギターである。左チャンネル寄りで鳴っているギター。“ここまで弾く必要あるか？（褒め言葉）”というのが実にTAKUYAらしいところでたまらない。がっつりとしたパワーコードや分厚いディストーションといった音圧でサウンドの壁を構築するのではなく、テンションコードを絡めた手数の多いコードワークで隙間を埋めていくプレイはJAM時代からの氏の特色。同曲は、EFFYによる鮮やかなホーンセクションを主体としたアレンジメントで成立しているにも関わらず、さらにそこにギターを被せていくTAKUYAの遊び心が爆発している。TAKUYA のYouTubeチャンネルでは、そんな職人的な業が存分に堪能できるギターレコーディング動画がアップされている。

エビ中！【青春ゾンビィィズ】ギターレコーディング【プレイヤーさん向けドキュメント】