PassCode、バンもん！からAppare!、白キャン、ネオジャポまで カメラマン・真島洸［インタビュー前編］アイドルスチールの第一人者「アイドル写真を撮るのはゲームです、音ゲー」『偶像音楽 シン黒子列伝』第2回前編：真島洸

ポスト

どんなにカッコいいアイドルだとしても、あくまでアイドルとして撮る

——今はバンドよりアイドル撮るのがメインですか？

真島：
9割9分アイドル。バンドは神聖かまってちゃんをベタ付きで廻らせてもらってるんですけど、メインで撮ってるのはそれだけですね。あとは友達のバンドとかを“スケジュール空いてたら撮りに行くよ”っていう感じです。

——バンドとアイドル、撮る時の心持ちは違います？

真島：
全然違いますね。バンドでカッコいいところと、アイドルでカッコいいところは全然違うんですよ。撮り方自体も違うというか、変えてるところもあります。バンドでカッコいい瞬間をアイドルで切り取ってもイマイチだったり。同じ構図で撮ってもアイドルはハマってるけど、バンドだとハマらないなとか。ちゃんと試したわけではないんですけど、同じハコで同じ位置から撮っても、バンドとアイドルじゃ、ハマるハマらないがあると思うんですよ。だから同じステージでやるもの同士なんですけど、まったく別物。バンドメインで撮ってる人が撮るアイドルの写真を見て、“自分はこういうふうには撮らないな”と思うこともあって。バンドをずっと撮ってきた人ならではの画があるんです。僕はアイドルをそういうふうに撮る発想がないというか。僕はどんなにカッコいいロックアイドルだとしても、あくまでアイドルとして撮るんです。バンド寄りには撮らない。加工でゴリッとさせたりはするんですけど、あくまでアイドルは“アイドルのライブ写真”だと思っているので、そういうところが違うのかとは思います。

——ああ、わかります。自分もアイドルとバンドは分けたいんですけど、写真に限らずそこを一緒にするのが正義だと思っている人も多いですよね。ちなみに“アイドルとして撮る”とは、具体的にどう撮るんですか。

真島：
例えば、キメを撮ること。バンドと違って、アイドルには振りがあって、どこかしらにキメがある。イントロなのか、アウトロなのか、サビの振りなのか。運営的にもここは絶対押さえてほしいと思うところがあるだろうし、観ていても絶対に押さえておきたいところもある。そこを撮り逃がさないことですね。バンドにはそれがない。

——何度も観て曲を知っているグループはともかく、初見だと難しくないですか？

真島：
初見でも大体1サビまで行けば、どんな展開かは予想できるというか、パターンがあるので。この展開だから、最後はみんなで中央寄るよね、みたいなものは感覚としてあるので。稀に180度違うことやられて“マジか！”と思うこともあるんですけど（笑）。撮り慣れてるところは全部展開が頭に入ってるんで。こないだは前から撮ったから今回は後ろから、みたいな変化をつけたり、そういう感じでやってます。

——初見でもちゃんと踊れる振りコピヲタクと同じ感覚ですね。ある意味、駆け引きをしながら撮っていると。

真島：
ここは振りがこう来るから照明さんも後ろか来るだろう、“いや、来ねえ……！（汗）”みたいな（笑）。仲よい照明さんだと、“お前はここ潰すよな、やっぱそうだよね”と思いながら撮ってます。ステージ観て、歌聴いて、音聴いて、シャッターを押す。アイドルのライブスチールを撮るのはゲームですよ、音ゲー。