PassCode、バンもん！からAppare!、白キャン、ネオジャポまで カメラマン・真島洸［インタビュー前編］アイドルスチールの第一人者「アイドル写真を撮るのはゲームです、音ゲー」『偶像音楽 シン黒子列伝』第2回前編：真島洸

PassCode、バンドじゃないもん！MAXX NAKAYOSHI、NEO JAPONISM、我儘ラキア、真っ白なキャンバス、WILL-O’…… 撮ってきたグループの錚々たる並び。ライブアイドル好きであれば、このカメラマンの写真、クレジットを見たことがあるはず。

真島洸／KOH MAJIMA——。

その名前は、時にアイドル本人の口からも出ることがある。それだけ演者が信頼を寄せているカメラマンだ。

ロックバンドにはツアーに帯同する専属カメラマンがいることは珍しくないが、アイドルを撮るカメラマンといえば、媒体などのライブレポート用に普段バンドを撮っているカメラマンがアイドルのライブ写真を撮ることが多かった。しかしながら、そうしたシーンで“アイドルのライブスチールカメラマン”というポジションの第一人者というべき人物が、真島洸である。

私が氏の写真を見て感じるのは、“この人は、きっと音楽が好きなんだろうな”ということ。撮っているグループへの愛と、音楽への愛が伝わってくる。

真島洸はなぜアイドルを撮り続けるのか。その信条に迫っていく。

ライブハウスにいるためにカメラマンになった

——現在撮られているグループは、おもにどのあたりでしょうか？

真島：
NEO（JAPONISM）、SOL（2022年2月解散）、Appare!、白キャン（真っ白なキャンバス）、アンスリューム、パレパレ（Palette Parade）、INUWASI、Kolokol、Quubi、最近だとバンビ（#ババババンビ）、それから（我儘）ラキア、NightOwlのQOOLONGチームも。以前＜QUADRUPLET PHƠ TOUR＞っていう、NEVE SLIDE DOWN、Alloy（WILL-O’の前身グループ）、uijin、ラキアっていう4マンツアーがあったんですけど、それをやってた人たちともう1回やったツアー＜FANTASTIC PHƠ TOUR＞があって。RASCAL CLAN、NightOwl、Quubi、おすし（On the treat Super Season）っていう4マンツアーなんですけど、そこにスチールで入ったり。buGGも一緒にツアーを廻っていたり、QUEENSも撮らせてもらったり。バンもん！もそうだし、PassCodeもメインカメラマンではないんですけど、こないだの武道館（＜PassCode NIPPON BUDOKAN 2022＞／2022年2月12日）を撮らせていただいたりとか。

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——ライブアイドルのヲタクであれば、絶対に真島さんの写真を見たことがあるであろうメンツですね。そもそも真島さんがカメラを持つきっかけはなんだったんですか？

真島：
入りはバンドだったんですよ。RYO-Pがやってるバンドに手伝いというか、そんな大したことはやってないんですけど、名ばかりのスタッフをやってました。僕が22歳とかその頃の話なんで、10年くらい前かな。でもライブ中は特にやることないじゃないですか。それで、観てるだけだとつまらないんで、家にあったコンデジでライブ写真を適当に撮り始めたんですよ。“Twitterとかに上げればいいじゃん”っていうノリで。当時は普通に仕事してたサラリーマンだったし、RYO-Pのバンドもサラリーマンバンドだったんで、平日は会社に行って土日はライブについていく生活。それでちょっといい写真撮りたいなと思って、ボーナスで試しに一眼レフを買って。そこからっすね、ちゃんと撮り始めたのは。

——RYO-Pさんとは長い付き合いなんですか？

真島：
あいつは、友達の中で1番付き合いが長いんですよ。18歳の時から知ってるんで。もともとは僕が大学1年の時のバイト先に、RYO-Pが前に組んでたバンドの子がいて。“バンド好きなら1度観に来てよ”と言われて、下北屋根裏に観に行った。そこで知り合うんですけど、最初は全然仲よくなかったんです。いけ好かない野郎だなとか思ってたんですけど（笑）。知らない間に仲よくなって、今でも仲よくしてる感じです。

——RYO-Pさんがアイドル楽曲を手がけるようになってから、真島さんもアイドルシーンに来たのですか？

真島：
一緒のタイミングでアイドルの方に来て。で、そこから一緒にやってるというほどではないですけど、ずっとアイドル業界にいるという感じです。

——バンドからアイドルに来た時はどんな感じだったんですか？

真島：
最初は、もう解散しちゃったんですけど、プティパ-petit pas!-（2016年9月解散）っていうグループがいて。そこがバンドとツアーに出たんですよ。RYO-Pは“外で曲を作ってみたい”という話をしてたし、僕も当時はまだカメラマンの“カ”の字もなかったんですけど、バンド以外も撮ってみたいなという気持ちがあって。ちょっと試しに営業を掛けてみようかって。そこからですね。その対バンがなかったらこっち（アイドルシーン）には来てなかったと思います。だから、アイドルをめちゃくちゃ撮りたかったというわけではなかったですね。バンド以外のものを探してた時に、ちょうどいい出会いがあったという感じです。

——そこからカメラマンとして、ウマく滑り出したきっかけはいつですか？

真島：
きっかけは、2019年のゴールデンウィークだったんですけど、白キャンの渋谷クアトロ（3rd ワンマンライブ＜Pure White Palette＞／2019年5月3日）と、バンもん！の日比谷野音（＜バンドじゃないもん！MAXX NAKAYOSHI JAPAN TOUR 2019令和元年！NAKAYOSHI幕府♡＞／2019年5月19日）があって、カメラマンとして頼まれたんです。そこから急に仕事が増え始めました。それまでは写真の仕事はほぼなくて、スタッフやってなんとか食いつないでたんで。普通にチェキ撮ってましたよ。それで時々頼まれたらライブ写真を撮る、という感じでやってたんで。

——スタッフをやっていたんですね。今だから話せるその頃のエピソードはありますか？

真島：
運転がつらかったな。最初は普通にサラリーマンやりながらだったし。週末大阪まで運転していって、日曜の朝に帰ってきて、そのまま会社のそばに車止めて出勤して、みたいな。それで、これ会社やめても、ギリ仕事あるんじゃね？と思って、会社をやめたんですよ。そしたらなかったです、あはは（笑）。だから2年くらいはスタッフやりながら、バイトもやって。プティパとか、Alloyとか、uijinとか、いろんな現場でスタッフやってましたね。チェキマンと運転のオファーはめちゃめちゃ来るんですよ。カメラを持たずによく大阪行ってました、ただのスタッフだったんで（笑）。でも、カメラマンの仕事もほぼ営業というか、人付き合いだと思っていて、その当時に知り合ったり、仲よくなったことが今の仕事に繋がってる。スタッフやってたのもそういう面ではメリットだったと思います。僕は仲がいいところをメインに仕事させてもらってるので。

——カメラに興味があったのではなく、ライブありきでカメラを持つようになったわけですか。

真島：
ええ。カメラマンになろうと思ってカメラマンになったタイプではないですね。ライブハウスにいるための口実という言い方はあれかもしれないですけど、それがカメラだったんですよ。ずっとバンドが好きで。高校、大学の時は時間さえあればライブハウスに行ってライブを観る、そういう生活だったんで。かといって、自分が表側に立つ人間でないことはわかってたし。PA、照明ができるわけでもないし、1番手っ取り早かったんですよね、カメラが。当時“ライブカメラマン”というのが、界隈で増えてきていて。いわゆるメタルコアと呼ばれるところにいたんですけど、1バンドに1人必ずカメラマンを連れている、みたいな時期だった。だから、タイミングもちょうどよかったんですよね。そのためにライブについていくという口実ができた。なので、それがカメラマンを始めた1番の理由。方法はなんでもよかったんですよ。カメラならなんかできそうだなっていう。めっちゃ怒られそうだけど（笑）。

——ああ、自分が真島さんに興味を持ったわけがわかりました。写真を見て、カメラ以前にすごく音楽が好きな人なんだろうなって思っていましたから。そもそも音楽好きになったきっかけは何だったんですか？

真島：
幼稚園くらいの時、バイオリンをやってたんですよ。両親が音楽好きなんですね。でも自分はそこまでバイオリンが好きではなくて、中学に上がるくらいでやめたんですよ。父親が昔のロックが好きで、エリック・クラプトンとかドゥービー・ブラザーズとかが車で流れてた。中学生くらいまではそれをなんとなく聴いていたり、普通に流行りのJ-POPを聴いてたんですけど、なんかのタイミングで海外のポップパンクを聴いたんですよ。それで“ギターって、こんなに歪むんだ！”と衝撃を受けて。そっからもうめっちゃくちゃバンド聴き漁るようになって、TSUTAYAを端から端まで借りるとかそういうことをしだした。

——ちなみに何を聴いて衝撃を受けたんですか？

真島：
ニュー・ファウンド・グローリーだったと思います。

——おお、がっつり骨太なポップパンクですね。

真島：
そうですね、今でもパンクとかハードコアが好きです。NOFX、バッド・レリジョン、ぺニーワイズとか、いわゆる王道ですよね。エピタフ（・レコーズ）、ファット・レック（・コーズ）信者みたいなところがあるんで。日本だとピザオブ（ピザ・オブ・デス・レコーズ）、ハイスタ（Hi-STANDARD）……、そういうバンドのライブばっか行ってました。半袖短パンでダイブしてましたよ（笑）。

——自分でバンドをやったりは？

真島：
お遊び程度ですね、ギターも全然ウマくならないし。パワーコードと3コードしか弾かないから、まったくウマくならない（笑）。

——アイドルは聴いてました？

真島：
アイドルは全然聴いてなかったです。興味なかったですね。

——アイドルに偏見はありませんでした？

真島：
バンドでツアー廻ってる時にカーステからでんぱ組（.inc）が流れてきたことがあって。それがアイドルを知るきっかけでもあったんです。確か「でんでんぱっしょん」だったと思うんですけど、“アイドルってこんな曲やるの？”ってびっくりしました。そこからちょこちょこ聴いてはいたので、そこまで偏見というものはなく。客がいないバンドのブッキングライブよりも地下アイドルの方が盛り上がるじゃないですか。だからそれより全然いいなという感じでしたね。

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